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異なる世界で見つけた○○!  作者: 珈琲に砂糖は二杯
prologue《未知なる扉へと》
2/69

第2話 『-夢の扉-』

――――――――――

――――――

―――

―っていう感じで色々と実験してたんだよね、んで此処にいるんだよ俺?


改めて彼、加藤かとう ひろは目の前の光景に目を細めた。

先ほどまでよりは幾分と落ち着いた感じで、そう、改めてソレを見た。


「やっぱり、地球じゃないよな」


彼がそう言うのには理由がある、それは彼がいる場所に関係していた。


「だってこんな草原? なんて地球には無いし……。あったとしても俺が何も着けないでこうして生きていられるわけがない」


そう、環境が悪化していた地球では街などでは各所に機械が設置されてそれなりに汚染を中和し何とか人が過ごせる環境を維持していた。

その街中でさえ今の彼の格好、つまりは簡易な上下の洋服のみ。

これでは浄化装置があったとしても、かなりの息苦しさを感じるはずなのだ。

その機械のない外部、つまりこのような場所では即座に呼吸困難に陥るはずなのだから、彼の感じている事は間違いでは無い。


「いやまぁ、此処が何処かってのは一先ず置いて……。なんで此処に来たんだ? 俺は……、えーっと確か……」


――

―――――

―――――――――

――――――――――――


「この実験は簡単に言えば『異世界』『並行世界』『パラレルワールド』への道を探す、というものです」


――何を言うかと思えば昔からあるSFの代名詞じゃないか。

なんでファンタジーな事を研究なんてしているんだろう。

それよりもコロニー設置のための何かを考える方が、余程意味がありそうなものだけど……。


「皆さん、顔を見れば分かりますよ? 何を馬鹿な事を言っているんだ、という顔ですからね。そして現実としてそれは間違いではありません。かなりの昔から可能性自体は有るとされてきて、そしてその仮説も10年、20年そして100年単位で進化し現実味を帯びてきてはいます。しかし、それは現実『味』です」


――いや、出来ないならそう言えよ、何を勿体ぶってるんだ。


「しかし、我々のその仮説の一つ、そう太古の昔より異世界、異なる世界と繋がっていると信じられていたモノがあるのです。皆さん、きっとご存知ですし、その異世界とも言えるトコロに行かれた方も大勢いることでしょう。私も行った事がありますしね? それが何だか分かりますか?」


――ないから、異世界行った事ないから。

あ……、もしかしてアレか?妄想か?R18な妄想は学生時代には大変お世話になったなぁ、何せモテなかったからさ……。


「そう! 皆さん、もしかして? という顔をなさっていますね、その通りですよ! それこそが異世界への現実『味』ではない……」


――マジかよっ!? 妄想だとっ!?

なんてこった、研究者、偉そうに言ってるわりには唯の変態かよっ!?

そういう妄想はマジで人前で言っちゃダメだって! 何周りの人達もしきりに頷いてるんだ?

おいおいおいおい、変態の集まりかよっ新興宗教だったのか!?

いやまぁ男として何かしら惹かれるものが……。


「っと、質問がありましたね、そうですね。……正解を言うべきですね、そのモノとは『夢』です」


――いやまて、妄想ってもR18なアレでソレな妄想って言われた訳じゃないだろっ!

……いや妄想だとしたらソレも当然!あるだろうし、そっち専門でならアリかも? 

ハッ!!目を覚ませ俺! ……そうさっ、モテないからってそっちに逃げてちゃダメだ!

逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃって、え?


「夢、これは何故見るのか? いろいろな説がありますよね? そしてこの夢とは何か? これ自体は比較的安定した社会構造の時代から活発に研究されてきました。いろいろな理由からです、占いのために、安眠するために、学習するために、健康のために、医療のために、そして未知のモノを知るために、と様々です」


――んだよっ! 夢かよっ! それこそ俺の一時の夢を返せ!

くっそっ! あんなことやこんなこととか妄想してた俺が馬鹿みたいじゃんか!

……ってか変態とか思ってすいませんでした! 変態は俺だけでした!


「さて、異世界への道に夢という可能性を示しましたが、まず夢ではなく異世界についてです。っと、ここでまた話を変えてすいませんが、皆さんタイムマシーン、この言葉を聞いた事はありませんか? 過去や未来に行ける装置の事ですね」


――おいおい、ガ○ダムな事が起こった次はドラ○もんですか?

どんだけ古典アニメ勢揃いなんだよ、ってことは俺はの○太くん? いや俺宇宙一のガンマンじゃねーし。

ってか○び太くんって実際いたらかなりの好青年、いや好少年だよね?

醜い欲は人並みに持っているし、頭は基本悪いし、基本的な運動はダメときている。

なのに映画版のあのヒーローっぷりはどういう事なんだろう。

そうでなくともここぞという場面では漢になりやがる、そりゃーしず○ちゃんも惚れるってもんだよ。


「タイムマシーンと言いましたが、本題はそこではありません。つまるところ過去、未来、これらの内未来では、つまり私達は今実験のためにその事を話しているわけですが、途中から私が趣味の話しかしていない未来があるかもしれませんよ? しませんけどね、そして過去の場合……、そもそもコロニーが……、テロが……起こらなかった。安全に移住しこの問題が解決に向けて大きく前進していた過去があったかもしれない」


――急にシリアスな顔はやめて欲しい。

折角無理に硬い事を考えないでアホになって気楽に実験とやらに向き合おうとしてたってのに台無しだろうが……。


「つまりはそういった可能性、そう……。それらが分かりやすい異世界であり、平行世界、パラレルワールドと呼称されるものの一つなのです」


――それはいいとして、何故に夢が出てくるんだろう?


「それら、これ以降は異世界で統一しますが、その異世界の可能性として宇宙の誕生というものは外せないのです。皆さんの腰掛けている椅子、それらに使われている物質はなんでしょう?金属? それで結構です、ではその金属はどういった用途、効果、作用があるのでしょう? ……、硬い? そうですね、肩凝りに効く? この椅子のものは残念ながらそういったものではありませんが……、確かにそういったものもありますね」


――金属ねぇ、やっぱり刀、銃とか武器系? あとは飛行機とか、そしてコロニー……とかだ、な。


「私達は長い時間をかけてそういったものを発見、そして把握して来ました。ですが未だ見たこともない物質が、或いは発見しててもどういったモノなのかが分からないモノが多くあるのです。分類が違いますが、先ほどの夢もまたどういうものなのか? それは未だ多くが謎なのです」


――なんだっけ? 暗黒物質? これを支配したものが宇宙の覇者となるのだっ!的な?

お、いいね俺がんばれ俺、アホになってきたじゃないか。


「つまり、それらの物質がその異世界の道へ何かしらの作用を持っているかもしれない。また未だ見つけられていないモノ、それこそが異世界への扉なのかもしれない……。夢物語だと……あ、上手いこといいましたかね? ってすいません。あー、つまり有り得ない事を妄想していると思っている方も大勢いるでしょう。自分で言っていてそう感じる私がいるのも事実ですからね」


――妄想だとっ!? って違うか、扉ねぇ……。

まぁそーいうのもいいよな、空を飛びたいっていう妄想、夢から飛行機が生まれた訳だ?

異世界に行きたいってのから扉とやらが見つかるかもしれないしな。


「話がズレましたね、何故宇宙誕生とそれら物質が関係あるのか? 簡単な話です、宇宙誕生の際、失われた、そして限りなく無になった物質があるとされているためです。これらの中で極僅かですが、研究及び実験でそれらを再発見、再取得に成功しています。そして色々な分野でそれらは有効利用されているんです、そうコロニーにも使われていたのです」


――すげーな、また創った? いやまぁ元々そういうものに成りえたのを発見したのか?

ともかくすげーわ、見直したよ研究者さん!ってあんたが見つけたわけじゃなかったか……って、コロニー……にも?


「そして夢というものはこれらに大きく関係しているのではないか? そう考え研究しているのが我々なのです」


――なんでそれと夢が関係あるんだろうな、普通無いだろ?

だって夢って必要な情報とそうでない情報の取捨選択のためのものって、ずっと昔から言われてるだろ?


「夢というもの、これについては皆さんそれぞれに常識からの知識があるでしょう。そしてそれらの多くは正しいと私達も考えています、しかし同時にそれらが主目的ではないと考えているんです」


――副次的なものっていう事かね? なら本来のソレはなんなんだろうな。


「勘違いしないで頂きたいのは夢、というよりも睡眠時の脳の働き、それ自体は恐らくその常識の通りでしょう。そして一般的な夢もまたその通りでそれらが主目的でしょう」


――訳が分からない、どっちも主目的?

んじゃなんで主目的じゃないなんて言ってるんだ?


「では私達が言う夢とは異世界への扉、そのものだと思っていませんか? 残念ながら違います、夢を見てよさそうな異世界を見つけ、そこにいけたら楽なんですがね? 我々の見解ではそうは、成りえないのですよ」


――前々から思ってたけど、勿体振るのやめてくれないかな……。

簡単に言ってくれよ。


「そう、我々の言う夢というのは異世界からの情報を受信したもの。そしてほぼ消え去った、あるいは有っても見つけられていない物質、それこそが異世界の情報を発信、あるいはこちらの世界の情報を異世界へと送信しているものだと考えているのです! これであれば夢というものが人間だけではなく他の恒温動物でも……」


――発信だの、送信だの、アレだ、まさしく……電波だ!?

って違うか、最初の方でも言ってたしな、妄想だって。


「……すいません、つい熱くなってしまいました。事実、最近になって、具体的に言いますとコロニー事件の暫く後からそれらを顕著に発見できるようになったのです。そうは言ってもそれら物質、あるいは現象それ自体が扉への情報だという意味ではなく現状、人体に害はありませんがなにかしら作用している可能性がある……、と」


――コロニー事件の後に、ねぇ?

まぁそういう物質を使ってたっていったし、あんだけデカイんだ、それなりの量を使ってただろうし、なんかあっても不思議はない……のか?


「さて、長い話に付き合わせて申し訳ありませんでしたね。つまりもうお分かりかと思いますが、皆さんにお願いする実験、それは夢を見てもらう。そしてその夢の内容、つまり異世界の、この世界には無いなにかの情報を得てもらう。そういう実験です」


――あれ?扉とかいうもんだから、異世界に行けるようにして、そっちに移住しようぜ!

って話じゃなかったのか?てか意外と楽?なのかね、夢を見るって要は寝るだけだろ?


「色々と疑問に思っている方もいるようですが、この実験の最終目的は恐らく皆さんが思われている事です……。が、それは夢物語でも未だハッキリと描けていないのです、仮にも各国を挙げての計画ですからね? それなりに見通しが無ければ立案自体が不可能なんですよ、まぁこの計画を推し進める私達がそれを言うのも皮肉というかアレなんですが……。要は現状、可能性が見えるのはその異世界の情報を得て、この状況を打開できるのでは? というものです。お分かり頂けましたでしょうか?」


――えっと……。


「最後に大事な事をはっきりと申し上げましょう、安全の保障は御座いません。これは皆さん、事前の通知でご存知かと思いますが、その上に言いましょう、命の保障はありません」


――……っ!くそっハッキリ言うなよ……。

家族にも大丈夫だからって励まされて、ここに来てアホになっても耐えようとして、寝るだけだって安堵したところにソレか……。

寝るだけでそれって、余計に怖くなってくるじゃないか……。


「コロニーのランダムと同じく完璧にランダムに、そう■×□国の元首のお子さんもいる……。まだ幼いのに……自分が嫌になりますね、そう思うのに我々の研究が更に進むという点で興奮しているのも事実なのです。罵ってくれて構いません、呪ってくれて結構です……。

ですがコロニー計画が頓挫した今、なんでもいい、現状を打開するための方法を探しているです。だから私達は言いません、ごめんなさい等と、大人の責任を子供にまで押し付けて情けない等と、許してくれだなんて言いません!」


――。


「しかし同時に誓いましょう、全力を賭すと、いえ見つけてみせると……。決して無駄にはしないと! 貴方方は本来であれば『死んでくれ』という命令にも等しいこの実験を受諾して下さっている……。地球のため? 国家のため? いえ違うでしょう……家族、或いは親しい隣人、友人のためかもしれない、そんな人達を無意味に……、いえ……」


――。


「折角の出発の門出……と言って良いのか……、なのに暗い話を失礼しました。ですが! その上で更に言いましょう! 保障はありませんが、現状では我々がテストを行った限りでは即座に死に至る事は無いようです。……なにせ私、生きていますからね?」


――は?テスト?なんでだ?てか、え?豹変しすぎじゃね?

一気におっさんから、ダンディズムなおじさまだったのに、また一気におっさんに戻りやがった……。


「テスト? という顔を為さってる方が大勢いますね。それはそうでしょう? 万が一それを行って大爆発でも起きたら大変じゃないですか? 故のテストですよ、我々研究者一同、一ヶ月の間テストを受けています」


――つまり、一ヶ月は大丈夫ってこと?


「ちなみにその実験の内容はその未知の物質が多くある場所。つまり……、コロニー跡地のほど近くで人体に害の無い宙域が実験を行う舞台となります」


――。


「嬉しい、いや悲しい事に我々がテストを行った時には、今までに無い反応を観測出来ました、が。それらはスグに消えてしまいました、そして同時にそれらを見、解析する我々研究者がテストしていたので十分にそれをできなかった」


――なるほど、そのための1000人の老若男女、それも人種も幅広くってことなんだ……。


「さて、お話はお仕舞いです。これより実験のために移動しましょうか……、それでは」


――

――――

―――――――

―――――――――――



「それで移動して……、んーっと?」



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