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異なる世界で見つけた○○!  作者: 珈琲に砂糖は二杯
第二章《右折と左折と直進と》
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第2話 『○○→講釈!』


「さて、何から話したらいいかね?」


「知らんがな、俺はこの世界の事なんてさっぱりなんだからさ……」


「キュク~」


「おや?飛びリス君から聞いていないのか?」


「それは冗談か?それともマジなのか?俺が動物と同じだと?」


「キュクー!」


「って、違う違う!先輩を馬鹿にしてるわけじゃないって!

いてぇ!引っ掻かないで!」


「ははっ、跳びリス君も許してやってくれ。オレもカトーも冗談だよ。

だが……、すまないねカトー、事実としてオレはそう思っていたんだ。

ちょっと前までね?」


「は?まじで?」


「あぁ、そうだ。

その訳もこれから言う事に関係しているんだ、だからまず聞いてくれないか?」


「いや、聞かないなんて言ってないし……まぁ、うん。お願いします」


「うん、それにはまずこの世界の形から、だな」


「世界の形?なんていうか分からんが、それをこれから教えてくれるんじゃないのか?なのにまずって?」


「あぁ、そうじゃなく……地図っていうか、場所というか……」


「地図?世界地図って事?あぁ、大陸とかそういう?」


「あーうん、そういう感じだ。

この世界は主に5つの大陸から出来ているらしいんだよ、いや出来ていた……」


「へぇ、随分分かりやすいんだね。

っていうか、出来ていた?今は5つじゃないの?」


「そうだ、今は1つの大陸しかない、まぁ一応5つなんだが……ほぼ離れていないからね、1つみたいなものだ」


「なんで5つの大陸が1つの大陸に……そこまで変化したんだ?

地殻変動?大陸移動?そうだとしても急激すぎるし、人間とか生き残れないんじゃ?」


「地殻…変動?大陸移動?なるほどな、カトーの言うもの。それが原因かもしれんな……」


「は?どゆこと?」


「あぁ、5つの大陸は恐らく元々今とほぼ変わらない位置にあったんだと、今分かったんだよ」


「はぁ……でも今では1つなんでしょ?なのに変わらないの?」


「そうだ、それぞれの大陸の周りには大きな氷山が……まぁ、壁があったんだそうだ。

それもかなり高かったという。」


「氷山ねぇ?それがあるからなんなの?別に5つが1つに~ってのと関係なくね?」


「あるんだよ、それが……そう。丁度この街みたいなものなんだ、そして街に住んでいる人々は決して街から出られない。

だからほんの少し行った所にある他の街にも気が付かない……」


「あー、なるほど。そういうことね。

でも高いっても山みたいなものなんでしょ?誰かしら越えそうなモノだけどなぁ……」


「……確かにな。だがソレは今は措いておけ、話が進まないからな?

ともかく、その山があって人々は自分達の住む大陸だけだと思っていたわけだ」


「うん、それが5つあったって事でしょ?」


「そう、そして300年前にその氷山が突然崩れたらしい。まぁ、それでも今の状態になるまでにはそれなりに掛かったんだろうが……。

とにかく、きっとその原因は大陸移動とか地殻変動とか言うやつなんだろうな」


「なるほど、そして他にも大陸があったって気が付いたと……」


「そういう事だな、いやぁ5つあったのが1つになったってのだけが長くなってしまったな」


「まぁ、いいんじゃない?飯っても晩飯だし、多少遅くなってもさ?」


「キュウ!」


「ははっ、跳びリス君も大丈夫そうだね?なら続けるとしようか……」


「うんうん、んで?5つが1つにってのは分かったけど、それと俺の異世界の話、俺が動物みたいだと思っていた訳、んであの女将さんや女の子の耳の理由にどう関係あるんだ?」


「まぁ、焦るな。ゆっくり順番にいこうか。

まず君の異世界から来たという事をオレが信じた訳からだが、これは簡単だな」


「簡単なのか?」


「あぁ、簡単さ。さっきも言っただろう?5つの世界、いや違うな……1つの世界が5つの世界だったとね?

それが理由だ。我々は昔のその事を代々語り継がれてきているんだ。

考えても見てくれ、いきなり越えられない壁が崩れたと思えば、自分達とは違う姿をしたヒトが分からない言葉を話して来るんだぞ?

世界は同じだったとしても、当時の人々にしてみれば、まさしく異世界人じゃないかい?

……他のヒトは知らないが、オレはね?……だからかな?」


「んー、そういうもんなのかね?まぁ別にソレは俺としてもいいや。信じてくれるってんなら何の問題もないからね」


加藤かれはそう言いながらも、顔には隠し切れない喜びの色が現れていた~


「……そうかい?それじゃあ次、君が動物と変わらないモノだと思っていた訳だ。

これも簡単。

嫌な事だが、そういうヒトがいるんだよ。ヒトだが動物というね?

それは捨て子なんだ、とは言ってもほぼあの女将さん達のようなヒトの子の捨て子なんだが……」


「女将さん達のようなヒトの子に多い?俺みたいなのが?」


「あぁ、違う違う。オレがカトーに抱いていた印象のソレがって事だ。

言っただろう?捨て子だと、捨てられた子が動物に拾われて育てられる事が極稀にだがあるのさ……。

そしてその子は野生児とも言われている」


「それが俺だと思っていたと……」


「まぁ、最初から疑問はあったがね?

その理由としてカトー……君の年齢、そして跳びリス君だ」


「年齢と先輩が?」


「野生児はある程度の年齢までしか生きられないと言われている。

親、つまり動物の庇護が無くなれば簡単には生きていけない、そしてこの世界の動物には非常に獰猛で恐ろしいのがいるから尚更な?」


「なるほど、だから俺みたいな年のはいないと思ったって事か」


「その通り、そして同じ理由で跳びリス君だよ。

この子では君を護れないと思った。

事実として野犬という危険な存在として知られている動物ではかなり可愛い部類のソレにすら負けそうだっただろう?」


「うっ……あれは……その、俺が戦わないといけなかったんだろうけども……」


「キュウ……」


「いや、そう落ち込むものじゃないさ。

可愛いとは言ったが、それはオレを含めた戦いに慣れている人に取っては、だ。

普通のヒトにはアレでも十分脅威なんだからな、……それは措いて置こう」


「ん、話を逸らしてごめん」


「ともかく、その野生児の特徴としてヒトの言葉が分からない。

そして聞いたことも無いような言葉のようなモノを話すと言われている。

まぁ、ソレは厳密には動物の鳴き声に近いモノらしく、言語とは到底言えないんだがな?」


「俺はこっちの世界のじゃないとは言え、ちゃんとした流れがある言語だったから違うと思ったのか?」


「まぁ、それでも微妙ではあったけどね。

あのテントだったか、あんなモノを作れるという事実や、助けたとは言え、オレをあっさりと住処、いや住居に招いた事……会話を試みようとしていた事。

数えればキリが無いが、そういった点で君が唯の野生児ではないと思った。

そしてそれは当たりだったよ」


「まぁ、そういった子がいるってのも分かった。

んであの女将さん達……、あの人たちは?」


「そう、それがさっきの5つの大陸の話に最も関係している事だ」


「5つの大陸の話に、ねぇ」


「さっきも言ったが昔は5つの大陸、それぞれで独自の文化があったんだ。

それこそ言語に食文化、身分やら戦い……色々だ」


「うん、まぁそうだろうね?」


「だが、今、言いたいのはそこじゃない。それこそがあの女将さん達なんだ」


「女将さんが問題?いや、いい人っぽかったけど?」


「……そうじゃない。5つの大陸で一応の頂点として君臨していた動物。

つまりヒトなわけだが、それぞれの祖先……というのかな?それが違ったのさ」


「……っていうと」


「なんとなく分かったようだね?そうだ、オレらは猿。

女将さんは動物、まぁ猿も入ってるかもしれないが、基本犬や猫など……見た目で判断するしか無いからね。まぁそれ以外にもいるらしいが」


「なるほどね、女将さんやあの娘さんは見た目からして猫って感じかね?」


~事実、宿の主とその娘の耳は、地球で言うところの猫のソレに近いものだった。そこから、この世界と地球はどこか似ている事が伺える~


「さぁどうだろうね?それは分からないよ、オレにもきっと彼女達にもね?

……話を戻そうか、1つの大陸にはオレら猿が、2つ目には女将さん達のような動物が、3つ目にはヘビとか爬虫類、4つ目には鳥と、5つ目はそれら全てであり全て違う、そんな感じにまったく違う」


「4つ目までは分かったけど、5つ目?」


「5つ目こそがさっき言った恐ろしい動物のソレなんだよ。

4つ目までのヒトは、猿を祖先としているオレらは当然として、言い方は悪いかもしれないが、そのヒトが動物や爬虫類、鳥らの何らかを身につけているモノだと思ってくれ」


「えぇっと?」


「つまりだ、大部分はヒトなんだよ。

ただ動物からのヒト……獣人と言われるヒト、女将さん達だね?彼女達は見たら分かったと思うが耳が特徴的、そして尻尾もある。

爬虫類からのヒト、彼等は目が特徴的、そして爪や牙が発達している。これは他のヒトにも言える事だがね。

そして最後に鳥からのヒト、彼等はそのまんま、翼があるんだ。

それ以外はほぼ人間と変わらない、勿論違う所もあるけど……そこは今はいいだろう」


「なるほど、そういう事か」


「そして5つ目。そこにいたのは俺たちヒトとは違った進化をしたんだろうね?

まず、とにかく獰猛だ。言葉は無いし、交渉の余地もない。

モンスターと言っていいだろう。

それに、かなり大きい奴もいる。姿は様々だ。

それこそ人間のように立っているものから、獣のような四足歩行なもの、爬虫類のようなものに鳥のようなものとね?

知恵を進化させた我々がヒト、暴力に特化した奴等がモンスターと言っていいだろう」


「モンスターってのには驚いたよ……まるでゲーム、いや違うか。

俺達の世界にも猛獣ってのはいたらしいし。……昔は確かにそれがモンスターだったんだろうな」


加藤かれは野犬との遭遇を思い出しているのか、若干顔色を暗くしていた~


「まぁ、つまりそういった人々がいるって事だね。

どうして5つの種族があるのか、それは分からない。きっと昔色々あったんだろうさ。

祖先がどうのだって、皆違うってのを理由付けするために、似ていると言われるものを上げているだけだしな?」


「最後は思いっきり投げっ放したな、かえって気持ちいいくらいだよ」


「ははっ、まぁそういう訳で彼女達は獣人だね、だから耳はああだし、尻尾もあるんだよ」


「うん、それは分かったよ」


「しかし、アレだな?

やけにアッサリと受け入れる……いや、理解しているな?」


「だから言っただろう?俺はこの世界のヒトじゃないんだってさ。

俺のいた世界、ちきゅうって言うんだけど、そこはココよりも色々と凄かったんだよ。

まぁ、耳が特徴的な人間だとかには驚いたし、どうやってそうなったのかってのは俺にはサッパリなんだけどさ?」


「ははっ、そうか。特徴のある人間か……、そうだな。確かに人間だろうな。

凄いな、カトーの世界ってのは、オレが悩みぬいて出したモノを遥かに越えた答えだよ」


「は?いやだってルクータが言ったんだろ?耳が特徴的で尻尾が~ってさ?」


「その通り、昨日……カトーはオレになぜ遠回りをしたのか?って聞いただろう」


「あー、そう言えばしたかな?」


「おいおい、大事な事だったんで驚いたんだがなぁ……。

まぁいい、それが関係しているんだ。そっちは長くなるからな……」


「いやぁ……こっちも十分長かったと思うんだけども」


「むっ、これでも短くした方なんだが、長かったか?」


「そうでしょ?もう晩飯時をかなり過ぎてるぞ?」


~話を始める前は窓から見える空の色はまだ青も見えていたが、今はほぼ黒色だった~


「……そうらしいな」


「飯食いに行かない?その話は飯の後でってことでさ?」


「そうだな、それじゃあ何か軽く食べに行くとするか……」


「宿から何までお世話になってる身としては、大変言いづらくはあるのですが……。

言わせて頂きます!何か軽くってなんじゃ!門のトコで旨いモン食おうって言ったろ!楽しみにしてたんです!どうか旨いの食わせて下さい!」


「おぉ!?あぁー……、そう言えば言ったな……。

分かった分かった、旨い店を女将さんにでも聞いてソコに行くとしよう」


「やった!先輩、旨いモノ食えるってさ!どんなのなんだろうな?」


「キュ……?キュッキュ~」


加藤かれらの話は小動物せんぱいには長すぎたのか、若干眠そうな声を返した~



「ははっ、ほら、カトーに跳びリス君。着いて来ないと置いて行くぞ?」



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