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異なる世界で見つけた○○!  作者: 珈琲に砂糖は二杯
第二章《右折と左折と直進と》
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第0話 『○○→勉強!』

 

~ここでは加藤がこの世界の言葉を会得していく様を見て行こう~


「ルークタさん、『あれ』『なに』?」


『あれか?あれは……「鳥」だ。「とり」……いいかな?』


~加藤の言っているのは、なんと発音するのかという質問の意味で二人では通っている~


「『とり』……『鳥』……、良し!『たじょぶ』!」


『いい感じじゃないか。このままだと片言でも話せる日は遠くないかもな?』


(いい感じだ。どう言うのか教えてもらう流れに持っていけてるし、イエスノーくらいなら普通に分かるし言える。)


「ルクータさん、『鳥』……えっと飛ぶ……『なに』?」


『ん……鳥が?両手でバタバタ?ははっ。飛んでいるって事かい?

あの動きは「飛ぶ」……「とぶ」って言うんだ』


「『と、ぶ』……『飛ぶ』!『鳥』『飛ぶ』!」


『うんうん、そうだね?鳥が飛んでいるね』


~こうして彼等は加藤が質問をして、ルクーツァがそれに答えるという流れを会得していった~


――


――――


――――――――


~時は流れて、そんな事をしながらもようやく道と言えるだろう場所に着いた頃~


「ルクータさん、『ここ』の『道』は『どっち』に『行く』の?」


『うん、オレ達がこれから行く街には右へ行くんだ。こっち……「みぎ」……「右」だよ』


「『だじょぶ』……じゃない『わかつた』。『みぎ』に『行く』んですね?」


『そうなるね、いずれは方角とかも教えないといけないかもな』


「キュッキュ~」


「ふぅ、先輩どうよ、俺の成長率!

俺の秘められた才能が開花していくぞ?凄くね?」


「キュ~!」



~別に秘められていた訳ではない、彼のいた時代では彼の年代の子ども達は皆さまざまな言語に触れて、尚且つそれを習得していた。

その経験が新たな言語にも適応されているのだろう~


『ここからは馬に乗ってもオレが引いていける。「乗って」みるかい?』


「『乗る』って『だじょぶ《いい》』んですか!?やった!『乗る』ます!先輩も来いよ!乗馬だ乗馬!」


「キュク!」


――――


――――――


――――――――――――


~時は更に進む、彼等が街へと続く道を進み始めて5日ほど経った頃だ~


『さてカトー、「今日」は「この辺り」で「寝る」と「しよう」か』


「『分かった』ました『この辺り』で『寝る』ん『ですね』?

うん、尖った石とかも無いし『ここ』なら『寝る《ねて》』も『大丈夫』そう『ですね』?」


『そうだね……。それじゃ、準備が終わったらいつも通りに勉強だな?』


(くそっ!楽しそうな顔をして!ったくいきなり難易度上げすぎなんだよ!)


~彼がそう思ってしまっているのには訳がある。

ルクーツァは加藤が覚えただろう単語を多く使った物語を自分で作り、それがどういったものだったかを聞いてくる、というのを始めたのだ。

そしてソレは加藤には難しく、ルクーツァには楽しいものだった。~


『今日はオレの自信作!その名も「鳥と鳥」!

登場人物が鳥ってだけで、あとはただの会話なんだけどな!』


「えぇい分からんわ!『早口』『止めて』ろっ!」


『ははっ、単語自体は変わってないけど、言い方が……なんだろう?

遠慮が無くなってきたな?いいぞいいぞ、その方が会話は覚えやすいだろうしな』


「くそぉ、『早く』『はなし』を『話す』てくれよ……悩んでる間にルクータが寝てるなんてのはもう御免なんだよ」


『そう「急ぐ」な、それじゃあ「始めよう」か。あるところに……』


――――――


――――――――――


――――――――――――――――


~そして街道を進み始めて4週間ほど経ったときのこと、街に着く前日だ。~


『明日には街に着くと思う。かなり遠い道のりだったが、普通の人間にはこちらの方が今なら安全……。

というかオレが近い方を通りたくなかっただけなんだが、まぁ……うん』


「『良く』『分からない』ってば。『何で』『そんな』『回り道』を『通った』んだ?」


『おいおい、その回り道のおかげでカトーは野犬にやられずに済んだんじゃないか。

むしろ感謝して欲しいね?』


「くそっ!言い返せない!」


「キュウ…?」


「って『違う』だろ!俺が『聞きたい』のは『それ』じゃ『違う《ない》』って!」


『分かっている。だけどこれは説明が難しくてな?

今の会話できるかできないか程度じゃ多分言っても分からないし、何より人名や地名とか言っても何がなんだか分からないだろ?

だが約束しよう、俺はカトーの味方だ。それは覚えていて欲しい』


(なんなんだ?このくらいの年齢の人って研究者のおっさんといい、ルクータといいギャップが激しいのはお決まりなのか?)


『まぁ、そんな事は今はいいんだよ!明日には街なんだ!凄いぞぉ、カトーが見たら驚いて失神してしまうかもしれないな!』


「所々まだ分からないけど、まぁ……、『それは』『楽しみ』だね。『楽しみ《きたい》』させて『する《もらう》』よ!」


(やっぱり行き成りコレだもんな?しかし……何かあるのか?

それにルクータの言う人間ひとっていう単語……他の意味合いもありそうだった、これに関係するのか?)


『あぁ、楽しみにしてくれ。さて、今日は街に行く際に気をつける事をおさらいしておこうか、まずは……』


―――――――――――――――


――――――――――


――――――


――


~そして翌日、加藤かれは知ることになる。

曰く人間は人間、それは変わるものではない。良い事も悪い事も……~





次回第2章、第1話からは『』の異世界語枠を取り外して全て「」で表記します。

全てではないですが、大事な部分は通じている。

そういった感じで取っていただけると有り難いです。

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