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『…オレンジ色の水…』

 これは、私が幼い頃に……。

 体験した本当にあった……。

 世にも恐ろしい…怖いお話し…。

挿絵(By みてみん)

 …あの日…私は、世にも恐ろしい……。

 ……オレンジ色の水を飲んだ……。


 これは、私が幼い頃に体験した本当にあった……。

 世にも恐ろしい怖いお話です…。


 私は幼い頃。暑い常夏のとある県に住んでいた。

 両親は共働きで忙しく小学校が夏休みに入ると私は母に手を引かれ炎天下の太陽(てぃだ)の下を少し離れた祖母の家まで歩き両親の仕事が終わる夜まで祖母の家に預けられていました。


 「ねぇ。お母さん。おばぁちゃん()の台所にさー。変な(おっ)っきい灰皿みたいなのあるさーねー?あの線香刺さってる(ヤツ)。あれ(なん)ねー?」


 ミンミンと真夏の蝉時雨が降る木々のトンネルの中で幼い私は、まだ若い母に訊ねた。


 「あれはねー。ヒヌカンって言ってさー。火の神様を祀ってあるわけさー」ミンミンと鳴る蝉時雨にまだ若い母の声が混ざって溶ける。


 「火の神様?聞いただけで暑くなるねー。熱いから火の神様より水の神様の方がいいさーねー!!」うへえ。と不満を漏らした幼い私にまだ若い母は「シッー!」と。水仕事で荒れた指を紅を引いた薄い唇に当て幼い私に静かに諭すように言う。

 「ヒヌカン様の悪口言ったらダメさ!罰当たるよ!」


 「罰なんて当たらんさー!!」幼い私は、まだ若い母にあかんべぇ。と赤い舌を出して見せて大好きな祖母の家へと母の手を引いて駆けたーーーー。


 目一杯駆けて祖母の家へ着いた幼い私を祖母は「あい!!いらっしゃい!!と」いつもの様に暖かいシワクチャの笑顔で家へと迎え入れてくれた。「おばあちゃん!喉渇いた!」挨拶もそこそこに私は勝手知りたる人の家とやらで、赤い島草履を玄関に脱ぎ捨ててヒヌカン様の祀られている。広い台所へと走るーーーー。

 台所の奥に鎮座する白い大きな冷蔵庫を開けて、いつも中で冷やされているおばあちゃん特製のみかん水の入った水出しポットを手に取り、透明なグラスにそのオレンジ色の水をトポトポと注ぐーー。


 いつもと変わらない。夏休みの一幕。

 いつもと変わらない。おばあちゃん()の台所。

 いつもと変わらない。おばあちゃん特製のみかん水。


 変わったことと言えば、おばあちゃん()にくる前にヒヌカン様の悪口を言ったことだろうか……。広い台所の磨り硝子の小さな窓辺にヒヌカン様は祀られていて、何だろう。微かにチリチリと供えられていた線香の焼ける音が強く聞こえ白い線香の煙が激しく揺らいだ……。チリチリ焼ける線香が静かな怒りを湛えているようだった……。幼い私は、不意に祖母の家に来る前に母が言っていたことを思い出す『ヒヌカン様の悪口言ったらダメさー!罰が当たるよ!』まさかやー(嘘でしょ)。そんなことで怒るわけ?幼い私は、謎の居心地の悪さを感じながらも。いつもの様に大好きなおばあちゃん特製のみかん水を一気に煽ったーー。炎天下の太陽(てぃだ)の日差しの中を駆けて来てーー、凄く喉が渇いていた。


 「ーーっゔゔ……!?」そこで幼い私は、口中に広がる違和感に呻いた。何これ!?なにこれ!?ナニコレ!?


 ーー口中に広がる地獄の様な味!!

 ーーこの世のものとは思えなかった!!

 ーーこれは!!これは、みかん水じゃない!!

 ーーこのオレンジ色の水は、一体ーー!?!?


 「おばあちゃん!!これ!!みかん水じゃない!!」

 幼い私は得体の知れぬオレンジ色の水に恐怖する!!

 

 ーーカタカタカタ!!

 すると不意に。ヒヌカン様の祭壇が、

 ーーカタカタカタ!!と。其処だけ揺れている!!


 「ーーおばあちゃん!!!!」

 恐怖が最高潮に達し幼い私は大声で祖母を呼ぶ!!


 「ーーハハッ!!ハハハハハハッッッ!!」

 台所に来た祖母が何かに取り憑かれた様に嗤う。

 そして聞いたこともないドスの利いた声で云った。


 「ーそのオレンジ色の水は、みかん水じゃないー」


 「……え?」幼い私は混乱する頭で考える。

 ーーみかん水じゃない。だとしたら私が飲んだ。

 ーーこのオレンジ色の水は一体…何…!?

 恐怖に震える幼い私の思考をまるで読んだかの様に、祖母はドスの利いた声で云うーーーー。 


 「ーお前が飲んだ。そのオレンジ色の水はー」


 ーー何!?このオレンジ色の水は何だっていうの!?

 恐怖に震える幼い私の前に祖母は一歩踏み出し云う。


 「ーーお前の苦手な《ニンジンジュース》だ!!」


 「ーーいやぁあぁあぁあぁあぁあぁ!!!!」

 幼い私の絶叫が祖母の広い台所で木霊したーー。

 

 ーー広い台所の磨り硝子の小さな窓辺に祀られたヒヌカン様が、チリチリと嗤っていたような気がした……。



 ーーあの日から。大人になった今でも……。

 私は…あのオレンジ色の水…《ニンジンジュース》を。

 一滴も飲めない躰になってしまった…………。


 ーーこれは好き嫌いとかでは断じて無い。

 ……きっと。ヒヌカン様の呪い(トラウマ)なのだろう。


 『…オレンジ色の水…』ヒヌカン様ごめんなさい(おしまいにします)


 ……ホラー!?二作目。

 挿絵と言うか表紙?は、私が実際に飲んだ……。

 世にも恐ろしい……オレンジ色の水のイメージ絵です。

 皆様も神様の悪口にはお気をつけて下さい。

 謎に呪い(トラウマ)をかけられますよ……。


 誤字報告頂きました有難うございます。お陰様で!!

 2025/7/30/(水)のランキング!!

31位 [日間]ホラー〔文芸〕 - すべて

24位 [日間]ホラー〔文芸〕 - 短編

 にランクインさせて頂きました。

 一層の励みになります。

 これからも小説家を目指して頑張ります!!

 

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