第17話 囚われる覚悟
「……エドワウ、私を王宮に迎えたのは、あなたの意思だけではないのね?」
私は静かに問いかけた。
彼の表情が、ほんの僅かに動く。
「……それがどうした?」
「王妃様が裏で動いていたのなら、私は利用されている可能性がある」
私がそう告げると、エドワウの腕に力がこもる。
「誰がどう考えようと関係ない」
彼は私の腰を強く引き寄せ、耳元で低く囁いた。
「お前は私のものだ。それさえ変わらなければ、それでいい」
「……!」
体が熱を帯びる。
彼の囁きが、まるで甘い毒のように私を絡め取っていく。
「ミレーユ、お前はそれでいいのか?」
アレクセイが、静かに問いかける。
「エドワウに守られるだけの人生で、満足できるのか?」
彼の青い瞳は、どこまでもまっすぐだった。
「それとも、お前自身の意思で道を選ぶのか?」
——私の意思
「……私は」
私は、ゆっくりとエドワウの腕をほどこうとした。
その瞬間——がしっ
「っ……!」
彼の手が、私の手首を強く掴む。
「お前は……本当に逃げるつもりか?」
エドワウの声が低く、鋭くなる。
「……違う。ただ、考えたいの」
「考える時間など、やらない」
彼は、私をもう一度抱き寄せ、そのまま私の額に唇を落とした。
「っ……!」
「ミレーユ、お前はもう私の妃だ」
「……決めた覚えはありません」
「決めるのは、お前じゃない」
エドワウの瞳が、強い支配欲を湛えて光る。
「俺が決めるんだ」
「……ミレーユ」
アレクセイが苦々しげに呟いた。
「本当にこのままでいいのか?」
彼の手は、まだ鉄格子の向こうで伸ばされている。
私はその手を取るべきなのか、それとも——
「……私の選択は」
言いかけたその瞬間、突然 地下牢の扉が激しく開いた。
「姉さま!!」
駆け込んできたのは——ルイスだった。
「姉さま、早く逃げて!!」
「え?」
「王宮が……王妃様が姉さまを!」
「……っ!」
私は、全身に戦慄が走るのを感じた。
王妃が動いた? それはつまり——
「……エドワウ、これはどういうこと?」
私は振り向き、彼を問い詰める。
エドワウは、無言で私を見つめていた。
——彼は何かを知っている。
でも、まだ言わないつもりなの?
「ミレーユ、お前の居場所はここしかない」
彼はそう告げると、私の手を取り——
強引に引き寄せた。
「っ……!」
「俺のそばにいろ。それ以外の選択肢など、ない」
王太子としての絶対的な支配を示すかのように。
「ミレーユ、俺と逃げろ!!」
アレクセイの声が響く。
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