ウェイトレスの声を聞いてはいけない
俺はいつも行ってる喫茶店へ足を運んだ。三月だというのにまるで桜が咲く様な暖かい日の午後だった。ウェイトレスが「何になさりますか?」と言うので、俺はオリジナルコーヒーを頼んだ。数分後、コーヒーが手元に置かれた。
俺はコーヒーを手に持ち口元に近づける。すると何だろう?声がした。男性の声、よく聞くとそれはコーヒーの中から聞こえてくる。俺は「頭が変になったのか?」と思い、ウェイトレスを呼んだ。彼女は笑いながら「そんなこと、ある訳無いじゃないですか」とアッサリ否定した。ウェイトレスは続けて「そういえばこの付近で運送会社の人が襲われたそうですよ。その人はこのお店にも来てくれていた人なんです」と気味の悪い事を言った。俺は、「ヘェ、そんな事が?」と半ば半信半疑だった。
その時、お店のドアが開いてチャイムが鳴った。「こんにちは。荷物をお届に来ました」と運送会社の人が荷物を持って入って来た。その時、俺は耳を疑った。それはさっきコーヒーの中から聞こえてきた声と同じ声だった。ウェイトレスはこっちを見てニッコリと笑った。俺の体は恐怖で震えていた。
コーヒーの中から聞こえてきた声が言ったこと。「助けてくれ、女のウェイトレスに突然襲われたんだ。誰でもいいから、助けてくれ」だったのだ。