天の川を観に行こう!
私は今夜空を見ていた。世間では今日は七夕らしい……
「はぁー七夕なのにー……」
雨が降っていたのだ……だから夜空が見えない。
「あーあ、せっかくの七夕なのにー……」
「そんなに天の川が見たいなら連れて行ってあげようか?」
私の後ろから聞き慣れた声が聞こえた。振り返ると1人の男の子が私のベッドに座っていた。
「あなたは誰?」
「あれ?忘れたの?冬にあの時計台まで連れて行ってくれたじゃないか。」
「……もしかしてあの時のお星様?」
「そうだよーついこの間人の形に変化出来る様になったから来たんだ。」
「そうなんだ。でも今日は雨が降ってるからどこにも行けないわよ?」
「君は天の川が見たいって言ってたよね?」
「だから、雨が降ってるから見えないでしょ?」
私は少し怒った風に言ってしまった。でもお星様は笑って吹っ飛ばした。
「あはは。それなら雲の上に行けば良いんだよー」
「えっ?どうやって?」
「僕は星だからね。空に登るのは簡単さ。」
そう言うとお星様は私の手を取ってそのまま窓から飛び降りる。そして……
「うそ、飛んでる……それに濡れてない。」
「あはは、当然さ!僕の力で防いてるんだから!」
そうして雲を越えれば満点の星空があった。
「凄い綺麗!」
「天の川はもっと綺麗だから飛ばすよー」
「あれ?急いでるの?」
「うん、朝日が昇ったら帰らないといけないからね。」
私たちの時間はそんなにないらしい。
「ほら、見えてきたよ!天の川だ!」
「す、凄い……」
私は言葉を失った。そこには小さなお星様が水と共に流れて行っていたからだ。
「天の川の水に触れてみる?」
「えっ?いいの?」
「勿論だとも。」
私は恐る恐る天の川に手をつけてみた。
「冷たくて気持ちいい!」
「この時期はこんな感じさ。冬は凄く冷たくて触られないけどね。」
「へぇー、冬の天の川も見てみたいな。」
「今年の冬にでも連れて来てあげるよ。」
「うん!約束だよ!」
私はお星様と指切りをするのでした。
「それじゃあそろそろ帰ろうか。」
「うん!」
こうして私たちはお日様が昇る前に帰ってきた。
「今回はお別れが言えるね。」
「そうだね。じゃあまたね。」
「うん、またね。」
こうして私のお願いを叶えたお星様は空へと帰って行きました。
次の日の夜……
「遊びに来たよ!」
「えっ⁉︎」
何とまたお星様が来たのでした。どうやら私たちは友達という事になった様だ。それから数年後。このお星様に告白されるとは知らない私……
そしてそれはまた別の話。
ここまで読んで頂きありがとうございました。七夕に合わせて作りました。
楽しんで頂ければ幸いです!