言花の猫～言葉にできなかった、本当の気持ちはどこで枯れてしまうのだろう？～

第２話 愛の花

◆あの日の手紙◆

「ママ、何を書いてるの？」

「おにいちゃん、ママはね、おてがみをかいてるの！」

「おまえには聞いてない！　ねえ、ママ、おれも手紙書いていい？」

「いいわよ。でも、彩夢(あやめ)は誰に書くの？」

「大好きなママに！」

「わたしも！　わたしもママが大好き！」

「あら、それはとっても嬉しいわ。私も……ママも二人のことが大好きよ」

　母さん、あなたに初めて書いた手紙はあなたの心に届いていましたか？

　花を咲かせることはできましたか？

　俺はあなたのいない未来でも生きていきます。

　あなたではない誰かに言葉を届け続けます。

　そして、花を咲かせるたびにきっと俺はあなたを思い出します。

　大好きなあなたを思い出します。