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8/11

用意は周到に

 私はよく同じ夢を見る。その夢には頼もしい父、美しい母、優しい兄、そして辺境だが長閑で活気のある村人達。とても楽しい夢だ。しかし、それは一変して地獄へと変わる。辺りは火の海と化す。逃げ惑う村人を襲う一人の男がいる。その男は村人達を切り裂き、周辺には血の池ができている。父と母は私と兄を逃がそうとしている。すぐ近くには男が迫っている。私と兄はそこから離れ、父と母は男を食い止めようとする。また一変して私と兄は森を駆け抜けている。後ろを見ると男が追ってきている。前で手を引いて走っていた兄が急に崩れ転ぶ。足を見るとナイフが刺さって血がたくさん流れている。男が兄の目の前に立ったところでこの夢は終わる。そして決まって、この夢で目覚める。冷や汗がじっとりと服や肌に染み気持ち悪い感覚になる。

「……くそったれ」

 アカードはそう呟いた。


 アカードはよくこの悪夢を見る。30年前に起きたベルファングの悲劇だ。ずっとこの夢が嫌いだった。自分が何も出来ないのを痛感するからだ。ベルファングの悲劇以降、アカードは強くなる努力をした。知識を身につけ武の鍛錬をした。そして今、復讐の計画を立てている。この街で一番腕のいい情報屋との定期会合が終わり、店の外に出て歩きながら

「しかしアカードさんはどうして赤髑髏盗賊団の復讐に執着しているんです?僕の情報網では近日冒険者組合が赤髑髏盗賊団討伐に乗り出すそうですよ。それじゃダメなんですか?」

「おい、あまり外でそういう事を口にするな。誰が聞いているのか分から…」

「え!?アカードさん赤髑髏盗賊団に復讐するのか!?」

 後ろを振り返るとそこには2人の少年が立っていた。


 カイルとの模擬戦闘から数日後、街を歩いているとたまたまアカードさんが誰かと一緒に店から出てくるのを見かける。

「アカードさんに強くなったってこと伝えに行こうよ!」

「ああ、そうだね。改めてお礼をしようか」

 アカードさんはこちらには気がついてないらしくもう1人と会話をしている。会話の中から赤髑髏盗賊団と復讐という単語が聞こえてきた。

「アカードさん赤髑髏盗賊団に復讐でもするのか…?」

「え!?アカードさん赤髑髏盗賊団に復讐するのか!?」

 アカードさんともう1人はこちらを振り向き驚いた様子を見せる。驚いた表情はすぐに険しい表情に変わりこちらに向かって歩み寄ってくる。

「今の話どこから聞いていた!?」

 アカードはシンの肩に掴みかかり尋ねる。

「赤髑髏盗賊団と復讐が出てきた辺りからですが……」

「頼む。この話は他言無用でいてくれ。ましてや赤髑髏盗賊団関係者には絶対離さないでくれ」

「やはりアカードさんは赤髑髏盗賊団に復讐をしようとしてたんですね。大丈夫です。というか僕も手伝いますよ」

 突然のシンの提案にアカードは困惑する。

「いや、しかし……出会って間もない君たちに手伝わせる訳にはいかない」

「戦闘技術を教えてくれたアカードさんへのお礼と思ってください。それに冒険者組合にも依頼しないようなら味方はいないんじゃないんですか?」

 アカードは俯き考えている。そしてしばらくたった後

「分かった君たちに手伝ってもらう。ただし、決行日まではまだ時間がある。私の屋敷に来て特訓をしてもらう。今のままでは少々不安だからな。特訓はキツいがやれるか?」

 シンは縦に首を振りカイルも元気よく返事をする。今ここに対赤髑髏盗賊団戦力が完成した瞬間である。


 そしてそれから数日後、アカードの屋敷で戦闘訓練をしている2人の姿があった。

「カイル君!もっとバリエーションを豊かにしないと戦闘中に見切られるぞ!それと攻撃密度も低い!同時に3つの魔法を継続的に使えるようになりなさい!シン君は防御が甘い!それだと構えている場所以外は攻撃してくださいと言っているようなものだぞ!もっと全身から隙を無くすように!」

 アカードはシンとカイル2人を相手にしている。それでもなおアカードは優勢だ。カイルには攻撃、シンには防御を教えている。同時に2人分の攻防をできるアカードはさも余裕そうだが、シンとカイルはもうバテそうだ。シンの斧が弾き飛ばされカイルが組み伏され決着が着く。2人は息も途絶え途絶えで喘いでいる。

「なんで2人分の攻防できてアカードさんはそんなに余裕なんですか…バケモノなんですか?」

「ホントにおかしいよ!アカードさんどうなってんだよ!」

「戦闘分岐を何種類も考えて予測することで無駄な動きを減らし体力を温存する。君たちにはこれをできるようになってもらう。でないと決行に役に立たない」

(何言ってんだこいつバケモノかよ…)

(でも自ら志願したんだし文句を言っている暇は無いよ?)

 決行日今からおよそ1ヶ月後の3月の宴の日だ。赤髑髏盗賊団は定期的に宴を開催する。構成員の多くは酒を大量に呑みベロベロに酔っている。そうなれば警戒するのは巡回兵、幹部そして団長だけだ。この機会を逃すと次はいつになるか分からない。赤髑髏盗賊団はその活動範囲をすぐに変える。今回の活動範囲がたまたまこの街だから情報をこんなにも早く集められたのだ。故に、失敗は許されないのである。来る1ヶ月後までシンとカイルの特訓は続く……。


 私は今年の夏もこの避暑地に来ていた。長閑な農村の近くにある大きな屋敷だ。私はここに来るとよく、こっそり屋敷を抜け出して村の子供達と遊ぶ。子供達は私の知らない遊びを知っていていつもワクワクドキドキが止まらない。そして屋敷の者に見つかり連れてかれるまでがオチだ。子供達は私が貴族出身でも普通に接してくれているから好きだった。しかし父はそれに関しては厳格だった。

「アカード。お前は彼らとは住むべき世界が違うんだ。お前がよくても向こうがいいと思うとは限らない。それが階級社会なんだ」

 当時の私は齢8歳だった。それがさっぱり分からなくて部屋で泣き喚いていた。それを見かねた優しい兄と屋敷の者が屋敷から連れ出してくれた。屋敷の者は私と兄が貴族の服である事を懸念して平民の服を用意してくれた。村について子供達とまた遊ぶ。屋敷の者と兄は食材の買い出しをしている。どうやらついでに私を連れてきたようだったが私は遊びに夢中でそんなことはすっかりだった。数時間遊んだ後買い出しを終えた兄達が戻ってきた。

「そろそろ屋敷に戻ろうか。父上にもバレてしまうよ?」

「嫌だ!もっと遊んでいたい!」

「アカード様。明日も一緒に来ましょう。その時に遊んだらいかがですか?」

 アカードは渋々、子供達と明日も遊ぶ約束をして屋敷へ帰って行った。その日のディナーは半分ほど兄が作ったそうだった。そのために買い出しについて行ったらしい。兄は齢12にして料理がとても上手だった。貴族出身でなければ宮廷料理人になれたのではないかと思ってしまうほどだった。食べ終わると私は母上のところに行った。母上からは読み書きの勉強を教わっているのだ。勉強が終わると必ず母上から物語りを聞く。それは決まって勇者の英雄譚だ。とある小国に召喚された勇者は仲間と共に世界を支配する魔王を倒す物語りだ。

「アカードは本当にこの英雄譚が大好きなのね」

「はい、母上!この勇者は民のために悪を滅ぼすなんてカッコイイじゃないですか!僕もこのようになりたいです!!」

「アカードならきっとなれるわ。でもそれにはちゃんと勉強してご飯を食べて寝ることです。いいですね?」

 もう寝る時間だった。私は自分の部屋に行きパジャマに着替える。

「ああ、幸せだな。ずっとこれが続いて欲しいな」

 私は窓の方を見た。何故か少し赤い。急いで窓に近寄り外を見ると村の方向が赤く燃え黒い煙が立ち上っている。急いでパジャマを着替え屋敷を出る。村に着くともうそこは地獄と化していた。家は燃え火の海になっている。辺りには人が血まみれで倒れていて血の池が出来上がっている。まだ息のある村人に近寄り体を揺する。

「大丈夫ですか!?何があったんですか!?」

「う…うぅ……アカード坊ちゃんですか?今すぐ…ここからお逃げ……」

 突然喋らなくなったその感覚が気味が悪くて思わず吐いた。少し涙目になっていると後ろから兄の声が聞こえてきた。

「アカードが急に屋敷を出ていくから何事かと思ったらこれは一体どういう事なんだ?」

「僕にも分からないよ……たまたま窓の外を見たら村の方が燃えてて何も考えずに来ちゃったんだ」

 村の奥の方から悲鳴が上がる。その悲鳴は徐々にこちらに向かって来てついにその声の主が現れる。こちらの事は気づいてない様子で何かから逃げているようだった。数秒後黒いマントを羽織った人が現れ逃げている村人に襲いかかった。村人は倒れ血が拡がっていた。私達は逃げた。一瞬で脳で理解した。ここにいては殺されると。後ろも確認せず、途中何度も転んでも走った。屋敷に戻ると玄関に屋敷の者がいた。兄が事情を話し屋敷の者はここに残ってその人が入ってこないか見張るそうだ。私達は父上と母上の部屋に向かった。勢いよくドアを開けると父上と母上は驚いたが兄が事情を説明すると表情を引き締めた。説明が終わると父上は屋敷の中を確認しに行った。しばらくして重そうな顔で戻ってきた。

「玄関と廊下で死体があった。ここもいずれ見つかる。私達も脱出しよう」

 脱出しようとドアを開けた瞬間そこにいた。すぐにドアを閉め鍵をかける。父上と母上はお互いの顔を見合い何かを決心したかのように頷く。

「いいか?今からお前達に渡すのは我がベルファング家の家紋だ。これを失くすことの無いようにしっかりと持っているんだぞ。これを持って南東の方へ逃げなさい」

「そんな待ってください父上!それでは父上と母上はどうするのですか!?」

「私達はあなた達がが逃げられる時間を稼ぎます。だから早く逃げなさい」

「そんなの嫌だよ!!みんなで逃げればいいじゃないか!!」

 ドアは大きな音を立てて破られる。マントの人が中に入ってくる。父上は私達を掴んで窓から投げ捨てる。

「走れ!とにかく走るんだ!!」

 何も考えずに足が動いていた。森の方へ逃げる。

 しばらく森の中をかけていると洞窟を見つけた。しばらくここで休むことにした。

「どうしてこんなことになっちゃったんだ……」

「分からない。けどあのマントの人に捕まってしまったらもうおしまいだ。そうならないように逃げよう」

 洞窟を出て周囲を確認する。100mほど先に人影を見かける。幸い南東とは真逆なためそっと移動して逃げる。しかし、気づかれてしまった。100mのアドバンテージも数分も経たないうちに無くなってしまう。突然前を走っていた兄が崩れ転んだ。足にナイフが刺さっていた。兄が呻いているところにマントの人が上に乗った。

「やめてよ!お兄ちゃんに手を出さないで!!」

 マントの人はこっちを一瞬見たがすぐに兄に視線を変えナイフを突き下ろす。私は涙で何も見えなかったし恐怖で泣き叫んでもうそれどころではなかった。マントの人はこちらに歩み寄ってきたが、何かを思い立ったのかそのまま森の中に消えていった。この事件は後にベルファングの悲劇と呼ばれることとなる。


 シンとカイルが特訓を始めて1ヶ月後が過ぎた。決行日まではもうすぐそこだ。屋敷での戦闘訓練も仕上げへと差し掛かっている。ここ数日シンとカイルはアカードとの勝率が上がってきた。およそ五分五分で勝てるようになった。

「うん。だいたいこのレベルまで上達したなら問題無いか。お疲れ様」

「俺たちめっちゃ強くなったよな!実戦が楽しみだぜ!」

「アカードさん決行日までは数日ありますがどうします?ギリギリまで特訓しますか?」

「いやいい。休みが取れてなかったし、数日は休憩していてくれ」

 決行日までは3日ある。その間は体調を万全に整えておく期間に当てるようだった。シン達はアカードの屋敷で3日間のびのびと過ごした。そして当日の朝。庭でアカードと待ち合わせている。

「やあ待たせたね。さて行こうか」

 アカードは馬車に乗って登場した。その馬車に2人は乗り込み出発する。いざ決戦の地へ。


「ところでどこで戦うんですか?僕達まだ知らないんですが」

 シンは率直な疑問をぶつけた。

「ああ、そういえばまだ言ってなかったな。場所はここから北西の廃村だ。私にとっては……」

 アカードさんの顔が曇る。何か思い入れのある場所なのだろうか。しばらく空気が重い時間が流れる。

 目的地の廃村までは数日かけて到着した。廃村の様子を見て察しがついた。廃屋の煤と奥に見える屋敷が特徴的なこの廃村はベルファングの悲劇の舞台だ。アカードは哀愁漂う顔をしている。

(まさか決戦の地が因縁の地になるとはね…。アカードさんも不愉快だろうね)

(そうだよね……私達はアカードさんをできる限り援護しよう!)

 討伐作戦は実にシンプルだ。まず大前提として相手は100人を超える大盗賊団だ。しかし宴で構成員の大半が酔っているため戦力にはならない。注意すべきは巡回兵と2人いる幹部、そして目的の団長だ。酔いが回る頃に奇襲をしかける。巡回兵を気づかれないように無力化して屋敷内に侵入する。なるべく構成員との戦闘は避け、2人の幹部をシンとカイルが相手をしている間にアカードは団長と決着をつけるという作戦だ。それまでは盗賊団の動きを監視しながら廃村で身を隠す。

 日が暮れた頃に盗賊団に動きがあった。宴を始めたようだ。今から一時間後に突入を開始すると合図を受ける。一時間後。ついに作戦開始だ。まずは屋敷周辺の巡回兵を手際よく無力化していく。玄関の扉を開け、中を確認する。どうやら人はいないようだ。宴はどこでやっているのか分からないがとりあえず食堂を目指す。目的地の食堂は二階にある廊下や階段では注意深く進んでいく。途中何度か屋敷内を徘徊している酔った構成員に出くわしたがそれも手際よく無力化していく。目的地の食堂に着いた。扉は開いていて中を確認すると構成員が乱癡気騒ぎで酔っている。この中に一つだけ見覚えのある顔がある。ジュリアだ。そしてそのジュリアが今酒をついでいる、初老の男が団長だ。もう1人の幹部は他の構成員と騒いでいる。アカードの方を向くと怒りの表情で顔が歪んでその手は固く握りしめている。今にもここから飛び出して殴りかかりそうな勢いだ。

「アカードさん冷静に。作戦通りにいきましょう」

 シンはアカードをなだめる。

「ああ、大丈夫だ。おかげで冷静になった」

 シンはアカードと合図をし初撃の氷の壁をぶっ放す。構成員のほとんどを巻き込み氷漬けに成功する。残った構成員は訳が分からないといった顔をしているところにカイルの炎で撃ち漏らしを処理する。一瞬で残り3人にまで減った。

「ヘヘッやっぱり親父の言う通りだったなーヒック。宴の時に邪魔を入れるとかお宅ら常識とか無い訳?ヒック」

(親父の言う通り?もしかして討伐作戦はバレてたのか?)

「え…とその……お、お久しぶりですシンさん……」

「久しぶりですねジュリアさん。あなた達には興味無いのでどいて貰えますか?」

「シンってお前がこの前失敗した妨害してきた奴か?ヒック。こんな小僧に負けるとかお前ホントに弱えなーヒック……でも親父には指一本すら触れさせねえよ?あーあ酔いが覚めちまった」

 幹部2人が戦闘態勢に入る。こちらもすかさず構える。刹那、両者の間に火花が散る。アカードは戦闘には興味なく団長まで一直線に歩み寄っていく。

「させるかよ!!」

「させるかよをさせないよ!!お前の相手は俺だ!」

 幹部の片方が歩み寄るアカードを攻撃しようとするがカイルに妨害させる。幹部は舌打ちをし、しょうがなくカイルの相手をする。今度はジュリアがアカードにナイフを投げるがシンが斧で弾く。

「アカードさんの邪魔はさせないよ。あなたの相手は私だよ!」

「お、よく見るとこいつベルファング・アカードじゃねえか。初めましてだな()()()()

 幹部の片方はそう言うとシニカルな笑みを見せる。

「初めまして。俺は義兄さんの()()のアルカスだそっちのどんくさいのは義兄さんの()()のジュリア」

 ここでついにアカードさんが口を開く。さすがに堪忍袋の緒が切れたのだ。

「どういう事だ!!ディアブロ!!」

「お前の母親は美しかったから殺さずにしばらく傍に置いていた。そしたら双子を孕んでいた。双子を産んでから殺した。それだけだ」

 団長ことディアブロは淡々と答える。アカードは表情はみるみるうちに怒気が膨れていく。アカードはディアブロに飛びかかり床に組み伏せ胸ぐらを掴む。

「どうした?殺さないのか?絶好のチャンスだぞ?」

 ディアブロは余裕そうに笑みを浮かべる。アカードは苦悶の表情で顔を歪ませる。

「一つだけ教えろ!なぜあの時私だけを生かした!!」

「そんな事か……。ただの気まぐれだよ。そっちの方が面白いと思ったからだ。どうだ?これを聞いて俺を殺したいと思ったか?」

 ディアブロは挑発を続ける。

「ただ、俺を殺したところでお前の大事な人は帰ってこないぞ?ただの自己満足だ。そしてお前はその自己満足ですら達成する勇気がない。違うか?」

「黙れ黙れ黙れ黙れ!お前のような人殺しに!大切な者を奪うようなやつに!!」

 後ろからシンとカイルが寄ってくる。どうやら戦闘は終わったようだ。2人ともかなりボロボロになっている。

 シンはアカードの方に手を置きなだめる。しばらくしてアカードは掴んでいた胸ぐらを離し立ち上がる。

「お前たちの身柄を拘束し王都に引き渡す。死刑を免れると思うなよ」

「なんだ?自分では殺せないから王立裁判所の力を借りるのか?とんだ腰抜けだな!?」

 シンがディアブロを拘束しようとした時突然崩れ落ちる。

「シン君どうした!?」

「分からない。体が痺れて動けない…!」

 アカードとカイルが一瞬の同様をしている間にディアブロの体が消える。辺りを見渡すとディアブロを担いで窓から逃げようとするジュリアの姿があった。

「し…シンさんに盛ったのは数分程度痺れるだけの毒だから……。こ…後遺症とかは無いから安心してね。そ…それじゃバイバイ……」

 カイルが魔法を放つがジュリアは窓から去っていった。窓際に駆けつけて外を見ると闇に紛れてジュリアの姿はもう無い。

 数秒遅れで食堂に10人くらいの人が流れ込んでくる。

「あれ?もう終わってる?というか何でベルファング・アカードがここにいるんだ?どういう事?」

 彼らが困惑している中に見知った顔があった。

「あれ?ジキーダさんじゃないですか。て事はこれ冒険者組合の依頼?」

「お?兄ちゃんじゃねえか!兄ちゃんこそなんでベルファング・アカードと一緒にいるんだ?」

「それよりもそこに転がっている赤髑髏盗賊団幹部と構成員の拘束と周辺の捜索をしてくれ。ディアブロと幹部が1人逃げた。……シン君大丈夫か?立てるかね?」

 アカードはシンに手を差し出し引き起こす。冒険者達は捜索隊を急遽編成する。一晩中捜索したが手がかりすら見つけることは出来なかった。

はい。どうも作者のグレンです。多分ここまで読んでる人いないんじゃないかなって思いながら書いてます。まあ僕もメモ書き程度にしか書いてないので気にしてはないんですがねw

なんかね時系列がごちゃごちゃし始めたので年表をここに置いておきますね。


西暦2078年 5月 異能の種がばら撒かれる。同時にシンが異世界送り。


帝国歴1743年(西暦2078年) 7月 シンが大陸に渡る。この時カイルが仲間になる。


帝国歴1743年(西暦2078年) 10月 シン一行が大陸に到着する。シンとカイルが冒険者になる。秋の収穫祭もこの時。


帝国歴1743年(西暦2078年) 12月 次の街へ行くついでに護衛任務を受ける。ジュリアとはここで会う。


帝国歴1744年(西暦2079年) 1月 ジュリアが赤髑髏盗賊団だと知り、襲撃を受ける。次の街に到着する。アカードと出会う。


帝国歴1744年(西暦2079年) 2月 アカードに知識を教わる。


帝国歴1743年(西暦2079年) 3月 赤髑髏盗賊団壊滅。ディアブロとジュリアは逃亡。

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