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06 困惑


 何が正しくて何が間違いなのか、判断する能力も気力も、もはや自分からは尽きかけていた。


 それなりに数奇な運命を辿ってきた私であるが、さすがに今の自分の現状はどうかしていると思う。


 まさに今、私は全てをぶん投げたくなるようなあきらめの気持ちに包まれていた。



「モノカお姉さん、大丈夫?」


 天使のささやきが聞こえる。


「起きて、モノカお姉さん」


 もっと祝福しておくれ、子猫ちゃん。


「いい加減に起きて、モノカ」



 ちゅっ



「なぜかぶった毛布を払い退けてまでちゅーするのかな、ノルシェ」


「毎朝変な小芝居するから嫌でもやりたくなっちゃいますよ、モノカ」


「お姉さんたち、朝かららぶらぶしちゃだめだよ」




「「ごめんなさい」」




 旅の途中、こんな感じでしょっちゅう甘やかされることに私の精神は決壊しかけていた。


 逃げないでくださいとノルシェに言われるが、私なりの自衛手段も尽きようとしている。


 治療終焉のめどは未だ遠いが、ここしばらくマンネリ感を感じている安心感もある。



 何より、唯一昔と変わらない態度で接してくれるマクラには出来るだけ普通でいてもらいたい。



「朝ごはんさめちゃう前に、起きてきてね」


「任せろっ」


 跳ね起きて、全力で身支度を整える。




 私を起こすマクラの声、


 ノルシェのちゅー、


 美味そうな朝食の香り、




 私の名前は秘崎萌乃果。


 これがあるから、今日も困惑しているのだ。



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