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「では、どうやって・・・」
難升米は夜邪狗にその胸の内を聞いた。
「それは、お前の得意分野だ。まずは死に物狂いで包囲網を突破し王殿を目指す」
「はぁ」
思いもよらない夜邪狗のざっくばらんな作戦に、難升米は呆れた声をあげる。
彼は関せず話を続ける。
「それから王殿にいる把流を討ち、壱与様に即位していただく」
「無理だ!」
難升米は断言した。
「果たして、そうかな」
「何故」
「理由はある」
「教えろ」
「壱与様が正統な卑弥呼様の後継者であること。これは大いなる大義、それに対して把流は敵国、狗奴国、呉国以外に後ろ盾を持たぬ。一度、我らが声をあげれば、多くの邪馬台国の民は立ち上がるだろう・・・それと」
夜邪狗は言葉を選びながら、
「もし張政殿がご健在なら、大きな力だ。それに前回の大戦とは違い、逆に相手が今度は出張ってきている。邪馬台国の機能をこちらが手にする事が出来れば、難升米・・・お前が軍を率いれば簡単に退けるだろう」
「簡単に言う・・・しかも、随分希望的な見方だな」
「ああ、楽観的かもしれん。が、考えようでは時は今かもしれん」
「わかった」
「わかりました」
四人は意を決した。
小さな希望の道を信じて。




