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たどり着いた森神殿は、紅蓮の炎に包まれていた。
見る影もなくひたすら燃え盛っている。
「これは・・・」
夜邪狗はこの惨状を見て絶望感に襲われた。
「夜邪狗!まだだ。まだ諦めるな!」
「しかし・・・」
神殿から脱出した巫女達は、無残にも何者かに命を奪われ、物言わぬ骸と化していた。
多くの巫女がその場に倒れている。
「これでは・・・」
夜邪狗は絶句する。
難升米は自らを奮い立たせ、大剣を振りかざす。
「我らの希望!女王ぞ!」
そう言うと、馬腹を蹴り、馬を走らせる。
群れなす敵を瞬時で斬り伏せる。
その刹那、遠くで女性の叫び声があがった。
わずかな希望に二人は託す。
「夜邪狗!」
難升米は叫んだ。
「ああ」
夜邪狗は頷いた。
彼等は声のあがった方へ馬を走らせる。
眼前に立ちはだかる敵を鬼人の如く退けながら。
希望を信じて。




