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王の宮殿に着くと、狗呼、把流、難升米、夜邪狗、張政と邪馬台国を支える重鎮達がいた。
「平伏せよ。巫女壱与」
狗呼は冷たく言い放つ。
壱与は無言で従い平伏する。
「此度の戦の敗戦。すべては姫巫女である壱与そなたにある」
「・・・・・・」
「よって、女王の称号の剥奪、および死を・・・」
「そんな!」
十六夜は悲痛な叫びをあげる。
「黙れ」
把流が声を荒げる。
「よい」
狗呼は制した。
「死をもっての償いと思ったが・・・この臣下の者達に懇願されてな。特別にそれは免ず」
狗呼は満足気に居並ぶ重臣たちを見た。
把流以外の者達は苦渋の表情を浮かべている。
壱与の命の嘆願と引き換えに、狗呼を大王と認め、忠誠を誓わされた。
難升米、夜邪狗、張政の3人である。
「では、巫女壱与に命ず。森神殿に、この大王の許しがあるまで、一歩もでてはならぬ。よいな」
「はい」
壱与は平伏し、ぼろぼろの姿でその場を後にした。
十六夜は俯き、憤りの気持ちを抑えきれずに何度も頭を振ると、壱与の後を追った。
「はははは」
大王狗呼の高笑いが響き渡る。
風雲急を告げる邪馬台国は、これより大王狗呼の圧政により、邪馬台国の民は苦しむこととなる。
しかし、新たな大王の権勢は長く続かなかった。




