第277話 「黒い呪歌」
「はっ、―――――――実にくだらない結末だったね!」
ジークの蔑んだ言葉がアギト達全員の怒りに触れた、下らなさそうに頭をぼりぼりと掻いて―――――――未だ泣き崩れるフィアナを一瞥しながら罵る。
「僕が見たいのはさぁ、そういうんじゃないんだよねぇ。
お前達にはわかんないかなぁ? もっとこう―――――――醜い様を見せてくんなきゃ! 人間らしく!」
ジークの発言にぴくりと反応したオルフェは、小さな肩を震わせて泣き続けるフィアナを抱き抱えて立ち上がると―――――――その瞳の奥には氷のような冷たさと、激しい怒りを同時に宿したような鋭い眼光でジークを睨みつけていた。
ディアヴォロの眷族であるジークでさえもさすがに悪寒が走ったのか、ぞくりと背筋の凍る思いを一瞬感じながら無意識に後ずさりする。それからまたすぐに偉ぶった態度を全面的に見せつけるようにふんぞり返ると、口元を歪ませて笑みを作った。
「何? 怒ったの? 言っとくけどあんたがキレても全っ然説得力ないんですけどぉ?
誰よりもアビス人をぶっ殺して来た奴が、命の大切さを語るって? ははっ、可笑し過ぎて涙が出るね!
お前達人間がどんなに正当ぶったってさぁ・・・、ただの綺麗事にしか聞こえないんだよっ!
―――――――この世で最も醜く質の悪い生き物さ、人間って奴は・・・っ」
「ほわちゃあああああああっっっっ!」
突然発せられた奇声と同時に、ジークは短い呻き声を上げながら遠くにあるフロアの壁まで蹴り飛ばされ激突した。突然の出来事に何が起こったかわからなかったアギト達は、先程まで胸が悪くなるような台詞を並べていたジークの立っていた場所に目をやる。
そこには龍の姿が刺繍されている衣装に身を包んだ赤い髪の男、サイロンが優雅に着地して蹴り飛ばしたジークを睨みつけていた。
「お前―――――――っ、馬鹿君じゃねぇかっ!」
サイロンとは闇の塔で別れて以来である、闇の塔にあった移動用シグナルゲートを使ってクジャナ宮に来たアギト達とは異なり、シグナルゲートを作動出来ないサイロンは自らの力でここ―――――――クジャナ宮までやって来たのだ。
「闇に堕ちたお主が言うでないわ、ジークよ・・・!」
そう小さく呟きながらサイロンはぽかんと呆けているアギト達の方へ向き直ると、そこにはいつもの笑みはなく―――――――真剣そのものの表情をしたサイロンがいた。
自分達の加勢に来たのかと思いアギトが声をかけようとするも、サイロンはすぐにまたジークの方に向き直り後から走ってやって来たハルヒに訊ねる。
「ハルヒよ、―――――――イフォンを連れ去ったという眷族はあやつで間違いないのか?」
「はい若様。フードで顔を隠してはいましたが背格好も声も・・・、あの時に見聞きした人物と同一です。
―――――――間違いありません。」
サイロン達の話の内容が見えて来ないアギトは首を傾げながら蹴り飛ばされたジークの様子を、サイロンと同じように窺った。すると余程の威力だったのか、闇のように真っ黒い壁はとても硬い材質で出来ていそうだったが、その壁にひびが入る位に叩きつけられたジークはそれなりのダメージを食らったのか―――――――苦渋に満ちた表情を浮かべながらゆっくりと立ち上がる。
「サイロン―――――――っ、お前・・・また僕に逆らうつもりか・・・!」
「逆らうも何も、余はお主の事なんぞ正当な闇の戦士とは認めておらん!
そんなことより答えよ、―――――――余の大切な付き人であるイフォンをどこへ連れ去った!」
サイロンはいつになく厳しい表情でジークを問いただす、彼のそんな姿を今までに見たことがなかったアギトはほんの少しだけ委縮してしまっていた。しかしサイロンの態度と話の内容からジークとの間に何かがあったと察したアギトは、遠慮気味にハルヒの方へと事情説明を求める。
「イフォンって・・・、そういやいつも一緒に居るもう一人の女みたいな顔した奴がいないよな?
一体何があったんだよ!?」
普段のハルヒは心を許した相手にしか口を利かないがアギトには借りがある、ジークの方を睨みつけたままハルヒは龍神族の里で負を植えつけられ静養していたイフォンを、ディアヴォロの眷族が連れ去ったのだとアギトに話して聞かせた。
ジークはサイロンの威圧に圧されているのかアギト達と対峙していた時の余裕が感じられない、それからちらりと遠くで倒れている4軍団に視線を走らせ―――――――にやりと邪悪な笑みを浮かべた。
そんなジークの視線を見逃さなかったオルフェがサイロン達に向かって叫ぶ。
「若君―――――――、奴は4軍団に負を植えつけて私達に攻撃させようとしています!」
オルフェの言葉にすぐさまサイロンは事情を把握すると、涼しい顔で素早く倒れているヴァルバロッサ達の方へと駆け出した。
「無駄だ無駄だぁっ! どんな治癒術を施そうと無駄なあがきなんだよっ!
闇のオーラに憑かれた奴を浄化することなんて、光の精霊の力でもない限り―――――――っ!」
そこまで言ってジークは困惑した顔になる、サイロンは今までに見せたことがない俊敏な動きで一番近くに倒れていたヴァルバロッサの元に辿り着くと、右手にマナを込めて彼の首根っこを掴み上げるようにし―――――――自分のマナを送り込んだ。
するとサイロンは次にブレア、そしてゲダックに同じようにマナを送り込む。彼が4軍団に何をしたのか理解出来ていないジークは構わず片手をかざして闇のオーラを放出した。
「―――――――何っ!?」
ジークが放った闇のオーラは彼等を冒そうと体に纏わりつこうとするが、まるで見えない壁に阻まれているように体内に溶け込めないでいた。何が起こっているのかわからないジークは何度も何度もヴァルバロッサだけではなく、ブレアやゲダックにも同じように闇のオーラで冒そうと試みる。
それでも彼等の体内にまで闇のオーラが侵入出来ないので、とうとうジークは闇のオーラを放つ行為をやめてしまった。怪訝な顔でサイロンを睨みつけると、優雅な仕草で立ち上がり―――――――ジークに向かって威風堂々とした態度と口調で言い放った。
「どうした、もう闇のオーラは使わんのか?
無理もないじゃろうのう、余がちょちょいと細工してやったんだからな。
余が今さっき施したのは、マナ循環を逆流させる為のツボを突いてやったのじゃ。
負を植えつけられたイフォンの状態を見てわかったことなんじゃが、対象に負を植えつけるという行為はとどのつまり
体内を循環するマナの流れに沿って、汚染された負のマナをその流れに乗せて体内に巡らせるというもの。
―――――――そうじゃろう?
あらゆる生物のマナの流れる方向は常に一定方向、マナの量や濃度、流れる早さなどに個人差はあるがのう。
眷族どもは無意識の内にその流れる方向に従って負を巡らせようとする、しかし余が流れる方向を逆流させたから
その流れに逆らう形となって、うまく溶け込むことが出来んかった―――――――というわけじゃ。
よってもうこれ以上こやつらを使って、自分の代わりに戦わせようという卑劣な行為は出来んぞ!?」
「―――――――くっ、小癪な真似を!」
サイロンの言葉が正しかったと証明するようにジークは4軍団を手足として操る行為を諦めた様子で、再び両手に脇差を構えて戦闘態勢に入ろうとした―――――――その直後、突然周囲が明るくなった。
アギト達がクジャナ宮の最下層に到着した時にも、まるで自分達を出迎えるように真っ暗闇だったフロアに照明が付いたように明るくなったが、今度の明るさはまるでレムグランドの日差しの下に居るようだった。
真っ黒い壁自体が光を放っているのか周囲全体が煌々(こうこう)と輝いているように、ここが地下深くだと思えない明かりを急に目にしたせいか、目の奥が少しだけ痛くなる。
「な―――――――なんだ!? 一体何が起こったんだ!?」
きょろきょろとフロア全体を見渡しながら何が起きたのかわからないアギト達は警戒するように、全員で背中合わせになる陣形を取って周囲に注意を払った。
するとフロア全体が明るくなった途端―――――――、ジークは今の劣勢が嘘のように再び不敵で邪悪な笑みを浮かべると満足そうに、喜々とした口調で言い放つ。
「くくっ・・・、あははははははははっ!
遂に準備が整ったんだ! 本来のクジャナ宮の機能が復活した!
そして雷の精霊ヴォルトの使いから奪った情報―――――――、シグナルゲートの設計図!
このクジャナ宮にシグナルゲートの機能を追加することで、ようやくここは最強の要塞と化したんだ!!」
「―――――――っ!?」
全員の顔色が変わる、しかしジークの放つ言葉の意味を全て理解したわけではない。ただ―――――――シグナルゲートとはアンフィニの力が絶対不可欠の為、その機能をディアヴォロの眷族が手に入れた所で自由に操作できるものではないと思っているからだ。
機能を追加したところでザナハが眷族の言いなりになって起動させるはずもない。
アギト達の顔色を見て、眷族がシグナルゲートの機能を手に入れても無駄なんだと―――――――そう考えていると察したジークは、彼等の疑問を―――――――誤りを解いてやった。
「お前達はひとつ、間違っている。
確かにシグナルゲートの起動にはアンフィニの呪歌が不可欠だ、例え設計図通りに作ったとしても・・・。
完璧に再現したとしても・・・、起動させることが出来なければ―――――――ただの無駄骨さ。」
「それがわかっていてなぜシグナルゲートに関する情報を欲しがったのです?
お前達眷族がフィアナを使ってヴォルトの使いの住処であった教会を襲撃させ、情報を奪ったのは知っています。」
オルフェは抱き抱えているフィアナの方にちらりと視線をやり、それから再び冷たい眼差しでジークを見据えた。今オルフェの胸の中で震えるように泣いている小さなフィアナ、彼女は自分の願いを叶える為に眷族と取引をした。
眷族に依頼された内容は三国の碑文にすら遺されていなかった情報、シグナルゲートに関する知識を受け継いでいる雷の精霊ヴォルトの使いである正当な知識伝承者―――――――リヒターを襲い、彼の脳内に蓄積されている情報を奪うというものであった。
そのことに関しては脳内を冒されずっと意識不明であった彼がアギトの力で覚醒し、彼自身がフィアナに何をされたのか―――――――それを逆探知することで解明されたものである。
「何を企んでいるかはわかりませんが、シグナルゲートの起動にはザナハ姫の呪歌が必要になる。
ザナハ姫を冒し、操って呪歌を歌わせようと考えているようなら―――――――それこそ無駄なことですよ。
ここにいる私達―――――――光の神子を守るガードがいる限り、ザナハ姫には指一本触れさせません。
・・・仮にルイドを使って言うことを聞かせようとしても、彼女はそこまで愚かじゃない。
お前達の思い通りには絶対にならないと、断言します!」
オルフェは揺るぎない言葉で言い切った。それはこの場に居る自分達の仲間を心底信頼しているという思いから、そして光の神子としての責任を十分に理解してこの場に立っているザナハのことを信じているという思いから、オルフェはジークを説き伏せた。
その言葉にアギトは嬉しそうに微笑む、こんな場面で不謹慎かもしれないとわかっていても喜ばすにはいられなかったのだ。今まで目的の為ならどんな犠牲も厭わない、誰を踏み台にしてでも目的を達成させる為なら手段を選ばないと割り切っていた彼の口から『仲間を信頼している』という言葉を聞けたのが―――――――アギトには嬉しくてたまらなかったのだ。
だが、アギトは知らない―――――――彼の本当の思惑を、彼の真意を。
最終的には犠牲を伴う結末しか残されていないことを、―――――――真実を知らないアギトに見抜けるはずもなかった。
「くくくっ・・・、はは・・・っ!」
ジークは堪えても堪え切れないという仕草をわざとしているのか、全身を震わせるように―――――――面白おかしく堪え笑いをする。そんな彼の挙動ひとつひとつが全員の癇に障り、腹の奥底がむかむかしながら怒りを抑えるアギト。
「なんだよ・・・、何がおかしいってんだテメー。」
「おかしくって堪らないさ、―――――――お前等の馬鹿さ加減にはね!」
「―――――――ンだとコラ!」
カチンと来たアギトは奥歯を噛みしめながら怒りの余り右足を前に突き出しながら、今にもジークに向かって突っ込んで行きそうな勢いになっていた。勿論これがただの挑発なんだと察し、あと一歩という所でとどまる。
だがジークにとってはどちらでもいいことだった、再びアギト達を見下すような仕草でなおも言葉を続ける。
「口で説明するまでもなく―――――――もうすぐ真なる絶望をその目で、耳で! 体験出来るさ!
さぁ・・・ここからが本当の地獄の始まりだ、シグナルゲートの真の恐ろしさ・・・っ!
とくと味わうがいいよ!」
まるでジークのその言葉が合図にでもなったかのように、突然アギト達の足元―――――――否、町1つ分はありそうなこのフロア全体に巨大な魔法陣が浮かび上がった。青白い光を放ちながら現れた魔法陣を見て、ザナハは絶句する。
「これ―――――――っ、シグナルゲートの・・・呪歌の魔法陣っ!?
あたしが作るやつより遥かに大きい、―――――――大き過ぎる!?」
「はぁっ!? なんでそいつが発動してんだよ!
シグナルゲートってのはアンフィニの呪歌がなけりゃ、作り出すことも出来ねぇんじゃなかったのかよっ!!」
するとアギト達の耳にメロディーが響き渡った、これもザナハが呪歌を発動させた時と全く同じ現象である。その曲はこの場に居る全員の耳に届いているようで、突然アギト達を虚脱感が襲った。
「な―――――――っ、何だ突然!? この激しいロック調の曲聞いた途端・・・全身が重たくっ!
つか何でロック!? 異世界じゃ音楽文化とかそういうのも何でもアリなのかよ、くっそ!」
文句を言いながらアギトは思わず全身を襲う脱力感に、構えていた剣を杖代わりにして何とか持ち堪えようとする。呪歌による効果はアギト以外にも現れているようで、全員が表情を歪めながら立っていた。しかしジークにだけはその効力が無効となっているようで、不敵な笑みを浮かべながら見下している。
そして―――――――。
シグナルゲートの起動により、このメロディーの呪歌がどこからともなく聞こえてきた。
美しい女性の歌声が―――――――。
『憎しみの海にたゆたい、身も心も全て委ねた絶望の果て―――――――。
本当はあなたに愛されたかった、でもそれももうおしまい。
あなたを失ってしまえば何も残らないように、あなたがいない世界なら
いっそこのまま、何もかも消えてなくなればいい。』
その詩には―――――――、歌声には―――――――、絶望と憎しみが込められていた。
激しいまでの感情を込めて歌われる呪歌、とてつもなく美しい歌声も―――――――荒々しいまでの怒りと憎しみによって聞く者の心を抉るような、そんな激情だけが伝わる。
そしてその激しい呪歌をまともに受けているアギト達は、精神的ダメージを受けて呻いていた。仲間が苦しんでいる姿にアギトは床に這いつくばりながらも後ろを向いて様子を窺おうとする、そんな中―――――――ザナハは膝をついてショックを受けたように固まっていたので、アギトは自分の苦しみそっちのけで声を張り上げた。
「ザナハ―――――――っ、おいザナハっ!? 一体どうしたってんだよ、しっかりしろよおいっ!!」
アギトの呼びかけが聞こえているのかいないのか、ザナハは焦点が定まっていないように―――――――目線はただ一点を見つめたまま小さく呟いている。
「なんて・・・激しい悲しみ・・・っ!
痛み、苦しみ、憎しみ―――――――絶望、それらが渦を巻くように・・・呪歌の中に全て込められているっ!
こんな呪歌、聞いた事ない・・・っ! これはアウラの作った呪歌じゃない―――――――っ!
憎しみだけが込められた呪歌なんて―――――――、あたしは知らないっ!!」
ザナハの言葉の意味を理解出来ないままどうしたらいいのかわからず、アギトは無意識にオルフェの方へと視線を投げかけていた。こんな時は色んな分野に精通しているオルフェを頼る他ない、そう判断したアギトであったが―――――――オルフェだけではなくミラですらも今の状況について聞いても無駄なんじゃないかと、アギトは察した。
オルフェやミラの顔を見た時、彼等の表情は青ざめ凍りつき―――――――まるで幽霊でも見ているような驚愕した顔で固まっていたのだ。彼等の反応は決して今歌われている呪歌による影響ではないと、直感的に悟った。
わけがわからないままアギトは全身を襲う虚脱感と戦いながら、もう一度ジークを睨みつけようとした時―――――――オルフェの震えた声を初めて聞いた。
「この―――――――声、は・・・っ!
嘘だ、そんなはずはありません・・・そんな馬鹿な・・・っ!」
「―――――――オルフェ!?」
するとずっとオルフェが抱き抱えていたフィアナがようやく涙を拭い、声を絞り出した。
「お兄様・・・っ、逃げ・・・て!
あたしにヴォルトの使いを襲わせて―――――――、シグナルゲートの設計図を求めて―――――――、そして・・・。
ミズキの里からあたしを連れ出した眷族の女は―――――――、あの女の正体は・・・っ!」
―――――――刹那、ジークが立っている場所のすぐ近く・・・隔壁の間へと続く通路の前に映像が浮かび上がる。
以前サイロンがシグナルゲートを使って映像を各国に配信したように黒いローブを来た眷族の姿が映し出されていた、しかしそこにはサイロンが使用していた鏡を使用しておらず、まるでフロア全体に描かれた魔法陣の力によって立体映像を映し出しているようだ。
今も流れている激しいメロディーの合間―――――――、立体映像として映し出されたもう一人の眷族が目深に被っていたフードを取り去り、その正体を現した。
「―――――――っっ!!」
その姿を見て絶句したのはオルフェだけではなく、ミラもアギトも・・・瞳孔が開き凍りつく。
流れるような細い線の、淡い―――――――ピンク色の髪がなびき・・・加えて青白い肌、水色の瞳は強い意思を宿しながら、本来ならとても美しかったはずの女性の顔は、邪悪な笑みを浮かべていた。
「・・・久しぶりね、オルフェ・・・そしてあたしの可愛い義妹―――――――ミラ。」
胸を張り、威風堂々とした―――――――凛とした口調でそう語りかける女性の姿に、アギトは確信した。
そしてそれは名を呼ばれたオルフェやミラも、アギトと全く同じ反応である。
邪悪で不敵な笑みを浮かべる女性の姿を見て、アギトはやっと彼女の名前を呼んだ―――――――震える声で。
「お前―――――――っ、本当に・・・あのユリアなのか!?」
アギト達の目の前に現れた黒いローブを着た眷族の女、―――――――それは。
幼少時代のオルフェ達の師であり、かつての神子であり、アンフィニであったユリア―――――――本人であった。
彼等の衝撃を蜜の味だと楽しむように、ジークは悦楽に浸った笑みを浮かべながら嫌な口調で言い放つ。
「さぁ・・・、闇に堕ちたアンフィニの呪歌を―――――――!
たっぷり堪能するがいいさ、あ―――――――はっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」
今回ユリアが歌った呪歌のフルバージョンを以下の作品「アンフィニの呪歌」にて公開いたします。どうぞ「ごはんのおとも」によろしくお願いいたします。でも本当は恥ずかしいのでスルーしてくれて構いません。
*多少のネタバレも含まれますので、ご注意ください*
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