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彼女は魔法少女  作者: あんぶる
3/7

心配


 昨日も魔法少女るいが怪人をやっつけてくれたらしい。

 彼女は相変わらず、颯爽と去ったそうだ。

 見返りも求めず、ただ救ってくれる彼女に尊敬する。

 そんなことを考えていると学校のチャイムが鳴った。


「よーし出席を取るぞー」


 すぐに佐々部先生が入って来て、教卓に着いた。


「安倍ー」


 先生が順番に名前を呼び上げ、生徒が返事していく。

 すると教室のドアが開いた。


「すみません!寝坊しました」


 虹川さんだ。


「珍しいなー虹川が遅刻なんて。受験勉強で大変なのはわかるが、体調管理も大事だぞ。まあギリギリセーフにしといてやるから早く席につけー」


「あ、ありがとうございます!」


 虹川さんが遅刻なんてほんとに珍しいな。

 それに最近はどこか元気が無い。

 受験勉強が不安で頑張り過ぎてしまっているんだろうか。


 出欠が取り終わり、先生が教室を出て行った。

 すると虹川さんに神崎さんと郷さんが駆け寄った。

 二人は虹川さんの友達だ。


「めずらしいね、るりが遅刻なんて。大丈夫?」


 自分も虹川さんが心配だったので、聞き耳を立ててしまう。


「うん、大丈夫だよ。ちょっと寝るのが遅くなっちゃって」


「勉強も大事だけど、しっかりとした睡眠を取らないと効率良く学習なんて出来ないわよ」


「ちゃんと寝ないと頭がぼーっとしちゃうもんね。心配かけてごめんね...」


 虹川さんはいつももっとハキハキしているイメージがある。

 マネージャーの時は元気過ぎるくらいだった。

 心配だなあ...。

 なにかあの子の気持ちを少しでも軽く出来る方法は無いかなと考えてしまう。


 そんなこんなで放課後になった。

 体力作りの為に日課の走り込みをしていた。


「あー虹川さん大丈夫かなあ」


 公園のベンチで休憩している時に彼女の事をふと思い出した。

 どこの高校に行きたいのかは知らないが、彼女自身それ程成績が悪かったイメージは無い。


「そんなに難しいところに行くつもりなのかな」


 ベンチに深くもたれ掛かり、ペットボトルの水を飲みながらサッカー部の頃を思い出した。

 彼女がマネージャーとして入部して来た時は、ルールもよくわかっていなかった。

 でも彼女は頑張ってルールもすぐ覚えたし、部室も綺麗になった。

 俺たちが入部した時から散らかっていて、誰も手をつけていなかった。

 よく気がつくし、俺も部活が楽しくなった。

 ボールを止めた時や、フリーキックを決めた時チームメイト達ではなく、一番最初に彼女の顔を見るようになっていた。

 その事に気づくと顔が熱くなってしまった。

 熱を冷まそうと顔を振ると、遠くから悲鳴が聞こえた。


「また怪人が出たのか?」


 最近ほとんど毎日怪人が出ている気がする。

 こんなに頻繁に怪人が出ていたら、流石の魔法少女るりもやばいんじゃないかと、ふと思ってしまった。

 いつもピンチに駆けつけて颯爽と去る彼女を一目見れるかもと下心もあった。

 取り敢えず、悲鳴の聞こえた方へ様子を見に行く事にした。

 いつもならこんな危ない事はしないのだが、気になるあの子に似てる魔法少女の事を考えると、居ても立ってもいられなかった。

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