その名は魔法少女るい!
俺、谷口真斗!中学3年生!
今街がピンチだ!
悪の怪人ダークジュピターに襲われている。
『この星は我々ダークジュピターが頂く!死ねぇ人間どもよ!』
怪人が手からビームを出した。
道路に止めてあった車が爆発し、爆風で車が跳ね上がる。
衝撃がこちらまで届き、顔に熱が残った。
「逃げろー」
街の人達がパニックになる。
「きゃあ!」
逃げようとしていたおばあちゃんが躓いた。
俺は咄嗟に老人に近寄り声をかける。
「大丈夫ですか!立てますか?」
ダークジュピターは突如現れた怪人で、この星を侵略しようとしているようだ。
怪人が初めて現れた時、警察官が発砲しても倒せず、自衛隊まで動いた。
しかし歯が立たず、戦闘機や戦車が破壊される光景はもうこの世の終わりなのかと思った。
でも大丈夫、この街には彼女がいる!
「魔法少女 るい!街の危険にびゅびゅんと登場!」
そう彼女、魔法少女るいだ!
『来たな魔法少女るい!今日こそ我が同胞の仇を取ってやる!』
怪人はまた手からビームを出した。
「マジカルバリア!」
るいが持っているステッキからバリアが出で、ビームを防いだ。
『なにぃ!?』
「んーもう悪いことなんてさせません!」
『くっ!』
るいがステッキを構え、怪人も対抗するように腕を出した。
「ディバインシュート!」
るいのステッキから虹色の光線が放たれる。
『グギャアアアア!!!』
怪人が光の粒になり消え去った。
「よしっこれで街は救われたねっ!」
そう言って彼女は飛び立って行く。
「ありがとう魔法少女るい!」
彼女の背中に俺がお礼を言う。
すると他の人達もありがとう、ありがとうと何度も繰り返した。
そして次の日。
「昨日はラッキーだったなあ、魔法少女るいがあんな近くで見れて」
俺は登校しながらそんな事を考えていた。
と言っても昨日助けられてから帰る時、ご飯の時、お風呂の時ずっと考えていた気がする。
彼女は強いだけでは無くとても可愛い、この街のちょっとしたアイドルである。
彼女が現れてあまり経っていないのにグッズまで出ているのだ。
そんな彼女に俺も憧れていた。
学校は眠たい、中学校3年になって部活も無くなり、みんな受験の為に通っている。
みんな受験のせいで少しピリピリしてる。
俺はと言うと実は、高校からスポーツ推薦を貰った。
3年生の俺らが引退する話になった時に俺だけ担任の佐々部先生に呼び出された。
サッカーの大会で優秀な成績を残した俺は、ある学校から声がかかったらしい。
そこは進学校でスポーツにも力を入れている学校だった。
俺は進学校と聞いて勉強についていけるか少し不安だったが、高校でもサッカーを続けるつもりだったし、受験で悩むのも嫌なので喜んで受けた。
ただ俺だけ部活を続けると言う話になったのだが、一人だけ3年生が混じっていても気を使わせるので基本的に自主練をし、たまに顔を出すくらいにしている。
「虹川、この後少し手伝って貰ってもいいか?」
佐々部先生が放課後のホームルームで虹川さんに用事を頼んだ。
「先生、俺が手伝いますよ!」
放課後一番暇なのは俺なので立候補した。
「そんな!悪いよ谷口くん」
彼女は虹川るい、サッカー部の元マネージャーだ。
ちなみに佐々部先生はサッカー部の顧問でもあり、よく虹川さんに雑用を頼んだりしている。
彼女ももう引退しているし、先生も部に関係無い雑用まで頼んだりするが、先生が虹川さんに頼るのに慣れてしまっているんだろう。
「気にしないで俺暇だし!虹川さん最近受験勉強で寝不足って言ってたじゃん」
虹川さんが慌てて両手を前で振る。
「申し訳ないよ!谷口くんだってサッカーの練習あるでしょ」
「いいから、いいから!虹川さんにはマネージャーの時すごい助けられたから。と言うわけで先生!俺が手伝います!」
先生は嬉しそうな顔で。
「ありがとう谷口、お前優しいな」
「ありがとう谷口くん...」
虹川さんが申し訳なさそうにお礼を言っていたので、笑顔でまた「気にしないで」と言っておいた。
その後思ったより先生の雑用はめんどくさく、代わった後悔も有ったが、虹川さんがこの苦労を味合わなくて良かったと思った。