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その7の1『木の実の話』

「チエきちー!見つかったー?」


 ある日の放課後、知恵ちゃんと亜理紗ちゃんは博物館の裏にある林へとやってきていました。今日は2人の他に知恵ちゃんの同級生が一緒に来ており、どんぐりを探しているのも彼女のお誘いによるものでした。


 「でも、佐藤さん。どんぐりは、今の季節じゃないんじゃない?」

 「え?チエきち。どんぐりって季節関係あるの?」

 「秋なんじゃない?」

 「……じゃあ、ちょっと休もう。チエきち。こっちこっち」


 どんぐりを欲しがっている女の子の名前は佐藤凛ちゃんといい、知恵ちゃんの友達の一人ではあるのですが、やや高飛車なところがあり人を振り回す面がありました。それに加え、やけに知恵ちゃんのことを気に入っていて、このあだ名で呼ぶのも学校では彼女だけでした。

 

 「チエきち、お茶のむ?」

 「私は大丈夫」

 「ちょうだい。何茶?」

 「ピーチチー」


 すわりこんだ二人のところへ亜理紗ちゃんもやってきて、凛ちゃんからピーチティーをもらいます。しかし、水筒のコップが一つしかないせいで、それを使わせてもらうのが気になり知恵ちゃんは遠慮してしまいました。


 「リンリンは、なんでドングリが欲しいの?」

 「えー?テレビでリスのキャラが持ってて、かわいかったし。かごに入れて部屋に飾るの。コップ返して」

 「はい」


 亜理紗ちゃんは凛ちゃんにコップを返すと、またドングリを探しに行ってしまいます。残された知恵ちゃんは亜理紗ちゃんの姿を遠目に見ており、その知恵ちゃんを凛ちゃんは横目にうかがっていました。

 

 「見つかったら、チエきちにもあげる」

 「でも、どんぐりって、たまに虫が入ってるし」

 「えっ……そうなの?じゃあ、いらない!アリサ、こっちきてー!」

 「あった!」

 

 凛ちゃんに呼ばれて走ってきた亜理紗ちゃんの手には、なにか黒くて丸くて、ツルツルしてテカテカとしたものが入っていました。しゃがみこんだ亜理紗ちゃんをのぞきこむように二人もヒザをついて、その発見したものをまじまじと見つめます。


                                      続く

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