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その31の3『右か左の話』

 亜理紗ちゃんと知恵ちゃんは家の前まで歩いて来ると、家に帰った後の予定はどうしようかと話し合いを始めました。亜理紗ちゃんは駄菓子屋さんへ行きたい様子ですが、本日の知恵ちゃんは運が悪い自覚があるので乗り気ではありません。


 「ちーちゃん。駄菓子屋さんに行く?」

 「くじが当たる気がしないからいい……」

 「ちーちゃんの家、行っていい?」

 「お母さんに聞いてみる……えっ」


 亜理紗ちゃんを家に呼んでもいいかお母さんに確認すると言い、知恵ちゃんは自分の家の玄関の扉へ向かいます。すると、知恵ちゃんの家の入口の扉が不自然に2つに増えていて、全く同じ模様の、同じ大きさの扉が並んで家に張りついていました。


 「あ……アリサちゃん」

 「どうしたの……あれ?」


 知恵ちゃんの家の異変は目に見えて明らかで、すぐに亜理紗ちゃんも変化に気がつきました。どちらのトビラが本物なのか、どちらもニセモノなのか、どちらかが本物なのか、じっと見つめてみても見分けはつきそうにありません。そこで、亜理紗ちゃんは思い切って開けてみることを提案しました。


 「せっかくだから、開けてみようよ」

 「なんか中から出てきたらイヤなんだけど……」

 「私が、もう1個の方を開けるから」

 「今日の感じだと、私がハズれる気しかしない……」


 今日の知恵ちゃんは星座占いで最下位なので、トビラを開くのに乗り気ではありません。とはいえ、開かなければ家の中に入れないので、渋々ながら知恵ちゃんは左のトビラについているノブを、亜理紗ちゃんが右側のトビラのノブをにぎります。トビラにカギはかかっておらず、どちらのトビラも軽く引いただけで動きました。


 「ちーちゃん。開けるよ?」

 「せーの……」


 知恵ちゃんの合図を待って、2人は一緒にトビラを開きます。亜理紗ちゃんの開いたトビラの先は玄関につながっていました。一方、知恵ちゃんの開いたトビラは、知恵ちゃんの部屋へと直につながっています。


 「……すぐ私の部屋なんだけど」

 「そっちが当たりなんじゃないの?」

 「こっから入ると、玄関までクツ置きにいかないとダメなのに……」


 2人はパタンとトビラを閉めます。すると、知恵ちゃんの開いた方のトビラは小さくなって消えてしまい、2人が気づいた時には玄関のトビラは1つに戻っていました。再度、知恵ちゃんがトビラを開くと、そこには普段と変わらない家の玄関がありました。


 「じゃあ、ちーちゃん。遊びに行ってよさそうなら教えてちょうだい」

 「うん」


 ちゃんと知恵ちゃんが玄関を見つけられたのを確認し、亜理紗ちゃんは自分の家へと帰っていきました。玄関でクツを脱いでリビングへ向かうと、知恵ちゃんのお母さんがお茶を飲みながらテレビを見ていました。


 「ただいま」

 「あ、お帰りなさい」

 「今日、アリサちゃん家に呼んでもいい?」

 「いいよ」


 お母さんが見ている番組は地方局のニュース番組で、ちょうど誕生月占いをやっているところでした。自分の部屋へ行く前に、知恵ちゃんは自分の誕生月の占い結果を見て行くことにしました。


 『8月生まれの方は……』

 「……」

 『11位です!』

 「……微妙だ」


                                 その31の4へ続く


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