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その31の2『右か左の話』

 世間でいう血液型占いが知恵ちゃんには当てはまらないのを受けて、なぜ占いの話になったのかまで話をさかのぼります。そこで、さっき凛ちゃんが星座占いの結果を教えにきて、自分が最下位だったと知恵ちゃんは桜ちゃんたちに伝えました。


 「私、今日の占いで最下位だったらしい」

 「へえ。それで占いの話になったんだ」

 「なになに?私の話した?」


 知恵ちゃんの話し声が聞こえたようで、珍しく凛ちゃんが知恵ちゃんたちの会話に加わります。それと同時に、自分が占いで1位だったことも明かしました。


 「私は1位だったから、チエきちに運を少しあげたのよ!」

 「じゃあ、凛ちゃん。私の消しゴムを持ってる方、当てて?」


 今日は運がいいのならばと、百合ちゃんは握った右手と左手を凛ちゃんに差し出しました。一方には消しゴムが握られていて、もう片方は何も入っておりません。唐突に勝負を仕掛けられ、凛ちゃんは気圧されながらも消しゴムの入っている方を探し始めました。


 「こ……こっち!」

 「はずれ~」

 「……おぼえてなさいよ!」


 消しゴムの入っている方の手を当てることができず、悔しそうな捨て台詞を残して凛ちゃんは去っていきました。ちゃんと片手に消しゴムが入っているのを証明し、百合ちゃんは嬉しそうに知恵ちゃんへ笑顔を見せます。


 「凛ちゃん。知恵ちゃんにあげちゃったから、運がなくなっちゃったのかなぁ?」

 「佐藤さんが私たちのところに来ない理由、なんとなく解った……」

 「そうかもしれない」


 凛ちゃんが百合ちゃんに対して苦手意識を持っていると桜ちゃんは予想し、知恵ちゃんも桜ちゃんの意見に理解を示しました。凛ちゃんにもらった運のおかげもあってか、午後の授業では何も不運な事件は起こらず、いつものように亜理紗ちゃんが来るのを待って知恵ちゃんは家へと帰ります。


 「アリサちゃん。消しゴム、どっちに持ってるか当てて」

 「こっち!」


 通学路の広い歩道にて、知恵ちゃんが百合ちゃんの真似をして亜理紗ちゃんへと問題を出します。でも、知恵ちゃんの消しゴムがお徳用の大きなものだった為、手の膨らみからして持っている方はバレてしまいました。そして、知恵ちゃんは亜理紗ちゃんとも運の良さについてお話を始めました。


 「星座占いって、当たるのかな?」 

 「わかんないけど……でも、ちーちゃん。いつも運悪いから……」

 「え……」


 亜理紗ちゃんに言われ、知恵ちゃんは自分が運のよくない子だと初めて認識します。不運だったエピソードを具体的に記憶から探し始めますが、本人より先に亜理紗ちゃんが次々と思い当たる節を述べました。


 「ちーちゃん。駄菓子屋さんのきな粉棒、当たり出ないし」

 「そういえば……」

 「自動販売機でジュース買っても、出てこない時あるし」

 「うん……」

 「……」

 「急に黙らないで……」


 亜理紗ちゃんは知恵ちゃんの両手を手をギュッと握り、笑ったらいいのか困ったらいいのか解らなそうな顔をしながら元気づけました。


 「ちーちゃんには、私がいるからね……」

 「……あ……ありがとう」


                                   その31の3へ続く


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