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その3の1『探検の話』

 とある日曜日の午後、知恵ちゃんは亜理紗ちゃんの家に遊びに来ていました。知恵ちゃんのお父さんは日曜日に仕事へ出かけるので、こういった日はお母さんと一緒に亜理紗ちゃんの家へ遊びに来る事が多くありました。

 

 「ジュース、何がいい?」

 「牛乳にする」

 「私も同じで大丈夫です」


 亜理紗ちゃんのお母さんが飲み物をたずね、亜理紗ちゃんと同じものを知恵ちゃんもいただきます。お菓子は鈴のような形をしたカステラで、亜理紗ちゃんが好んでいる訳でもなく、知恵ちゃんが選んだ訳でもなく、いつも決まって同じお菓子です。


 亜理紗ちゃんに兄弟姉妹はいないので、亜理紗ちゃんの部屋はベッドが一つだけ。そこに2人で寝そべりながら、一緒に女の子向けの漫画を読んだり、特に目的のない会話をしたりして過ごします。


 「ちーちゃんは、卵焼きのしょっぱいのって好き?」

 「私は好き」


 そうして時間を過ごす二人だけど、お菓子を食べる時は行儀よくテーブルの横に座り、また手を拭いたらベッドに座ります。そうこうしていると、亜理紗ちゃんは何かを思い出したように学習机の引き出しを開け、ネコの形をしたキーホルダーを取り出しました。


 「これ見て!ちーちゃん!」


 見た目は普通のキーホルダーですが、そのお腹の部分にはライトがついていて、背中のボタンを押すとピカピカと光ります。亜理紗ちゃんはカーテンを閉めて、部屋を真っ暗にしてしまいました。


 「ちーちゃん!探検ごっこするよ!」

 「うん」


 ライトをつけて周りを見回してみます。まず、カーテンにライトを向けてみると、見慣れた花柄の布地が真っ白に映し出され、開きっぱなしの窓から吹き込む優しい風で揺れています。それをおもむろに亜理紗ちゃんが、なでたり押したりして見せます。


 「ちーちゃん。これはカーテンです」

 「そうだね」


 テーブルに足をぶつけないよう移動し、今度はクローゼットの方へと移動します。それを開いて中を照らすと、何着かの洋服がハンガーにかけられていました。中には亜理紗ちゃんが普段は着ないようなパステル模様の物もあり、それらは亜理紗ちゃんのお母さんが選んだものです。


 クローゼットには目ぼしいものがなかった為、2人はお菓子を食べにテーブルの近くへ戻ります。しかし、先程までは近くにあったテーブルがなくなっており、足元には砂糖のような白い砂が積もっています。パシャパシャと砂を足で巻き上げながら、二人は左手の方向にある壁を照らし出しました。


                                    その5の2へ続く

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