その17の2『コレクションの話』
知恵ちゃんがコレクションしたくなりそうなものを探すため、亜理紗ちゃんは知恵ちゃんが好きそうなものを自分の部屋から探し始めました。まず、亜理紗ちゃんは自分の机の戸棚を開き、中に入っているものを選別しています。
「……ちーちゃん。消しゴム、好きだったっけ?」
「きらいじゃないけど」
亜理紗ちゃんは動物の顔の形をしている小さな消しゴムを持ってきて、それをテーブルの上に適当に並べました。消しゴムは犬や猫などの動物の他に、コアラやキリンの顔の形をしているものもあります。
「ちーちゃん、じゃあ消しゴム、集める?」
「でも、使ったらなくなるじゃん……」
「ええ……使っちゃうの?」
「使うでしょ?」
「前に見せてくれた、野菜の消しゴムは?」
「使ってなくなったけど……」
「ひええ……」
亜理紗ちゃんには可愛い消しゴムを消費するという考えがなかったので、何か恐ろしいものでも見たといわんばかりに驚いていました。すぐに消しゴムを片付けると、再び亜理紗ちゃんは机の中を探りながら知恵ちゃんに聞きました。
「ちーちゃんの好きなものってなんなの?」
「お父さんとお母さん」
「他には?」
「うちのモモコ」
「他には?」
「……たぶん、アリサちゃん」
「全部、集めれないね……」
知恵ちゃんの言うものが趣味に結びつかず、亜理紗ちゃんは困った様子で返事をしました。そんな中、亜理紗ちゃんは珍しいものを発見し机の棚から取り出しました。
「ちーちゃん。見て、これ」
「なにこれ?」
「外国のお金!」
亜理紗ちゃんが持ってきたものは一円玉に似たコインでしたが、でも刻印されている絵は外国の人の横顔です。見慣れないコインを受け取ると、知恵ちゃんは何度も裏返しながら観察を始めました。そして、それについて亜理紗ちゃんに尋ねます。
「これ、日本に持ってきていいの?」
「知らない」
「誰にもらったの?」
「お父さん」
それは2人にとって珍しいものではありましたが、知恵ちゃんが集めようと思っても集められるものではありません。しかし、コインを見ている内に知恵ちゃんは何か思いついたように話し始めました。
「あ……私、集めてるものあった」
「なになに?」
「お金」
「ひええ……」
その17の3へ続く






