その83の4『コンセントの話』
「アリサちゃん。これで完成かな?」
「うん。変な形だけど」
部屋に落ちているガラクタの中から探せるだけパーツを探して、やっとロボットは全体像が把握できる程度に組み上がりました。よく見ると、つぎはぎがあっていなかったり、やけに上半身が大きかったりしましたが、それはロボットが勘違いしてくっついたのだということにしました。
「……どれどれ」
亜理紗ちゃんはロボットの周囲を歩きながら、完成したロボットの姿を満足そうにながめています。しかし、知恵ちゃんはロボットを組み立てたことに、何か意味があるのではないかと考えています。
「……これ、動かないのかな?」
「動くの?」
「だって、ロボットだし」
2人が修理したロボットには手があります。足もあります。関節もありますし、頭も顔もあります。でも、まったく動きません。ただ寝転んだまま、天井のない部屋から空を見上げています。その姿は少しさびしげで、どうにかできないかと2人は考えています。
「あっ……ちーちゃん。なにかあるけど」
「……?」
ガラクタや金属の部品に隠れていましたが、ロボットの腰の横の辺りから線が出ているのを亜理紗ちゃんは発見しました。線はゲーム機を充電するケーブルと同じくらいの太さで、ボロボロですが千切れずに繋がっています。それを持ち上げ、2人はケーブルの先端を探して辿っていきます。
ケーブルの先は隣の部屋まで続いていましたが、どこへも繋がってはおらず、部屋の中央には途切れて先端が落ちていました。ケーブルの先端には赤い宝石が組み込んであります。亜理紗ちゃんはケーブルの先をもってぶら下げながら、ケーブルの続きが落ちていないかと部屋を見回しています。
「これで線は終わってる……これ、どうしよう」
「じゃあ、ロボットまで持って行く?」
「うん」
ケーブルの先端をロボットのいる部屋まで持って行きます。しかし、それを差し込む場所はロボットにはありません。亜理紗ちゃんはケーブルの正体に勘付きました。
「……コンセントかな?」
「コンセント?」
「これをコンセントに繋ぐと、ロボットが元気になるはず」
そう予想し、ケーブルを繋ぐ先を探していきます。ロボットのある部屋と、ケーブルの先端が落ちていた部屋には、それらしいものはありません。そこで2人は、まだ行ったことのない部屋へと進んでみる事にしました。
「ちーちゃん。線の後ろ、見てて」
「うん」
亜理紗ちゃんがコードの先端を持って歩くと、引きずられた線がガラクタに引っかかってしまいます。そこで、後ろで知恵ちゃんがコードのからまりを監視しつつ、広い通路を進んで隣の部屋へと向かいます。通路には大きな箱がおいてあり、その間をぬって進んでいきます。
「……見て、あれ」
「なに?」
先に部屋へと入った亜理紗ちゃんが、部屋の中央を指さして言います。知恵ちゃんも箱の影から顔を出します。暗い部屋の中に家ほどもある大きくて丸いカプセルがあり、その中に巨大な赤い宝石が浮かんでいるのを見つけました。宝石はケーブルの先についているものと似ていますが、ピリピリと電撃のような光を放ちながら回っています。
「……あっ。差し込むところがあるよ!」
カプセルの台座に小さな穴があるのを発見し、亜理紗ちゃんはケーブルを持って歩きだします。しかし、すぐに亜理紗ちゃんは足を止めました。
「……あれ?ちーちゃん。後ろ、引っ張ってる?」
「ううん」
ケーブルはピンと張って、それ以上は引っ張っても伸びてきません。あと差込口までは数メートルという場所で、亜理紗ちゃんは残念そうにケーブルを知恵ちゃんへと手渡しました。
「コンセントのことは……知恵プロに任せた」
「任せられても……」
その83の5へ続く






