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その83の1『コンセントの話』

 「アリサちゃん。なんかピカピカしてるけど」

 「……あ、ほんとだ」


 ベッドに寝転んだまま亜理紗ちゃんがゲーム機で遊んでいて、亜理紗ちゃんが持っているゲームの画面を知恵ちゃんが横からのぞき込んでいます。そんな中、ゲーム機の下側についているランプが赤く点滅を始め、それを知恵ちゃんは指さして教えています。


 「もうちょっとで充電が切れるから、コンセントにさせば大丈夫」

 「どこから充電するの?」

 「机の方」


 亜理紗ちゃんはゲーム機に充電器のコードを差して、空いているコンセントを探します。近いのは勉強机についているコンセントなので、そこからコードを目いっぱい伸ばしてみました。コードがピンと張って、亜理紗ちゃんの行動範囲を限定しています。亜理紗ちゃんはベッドへ上がろうとしますが、ちょっとだけコードの長さが足りません。


 「短くて届かないの?」

 「こうすれば届くんだけど」


 ゲーム機を充電したままでは、きちんとベッドに寝転んで遊べません。それでも、なるべく楽な姿勢で、知恵ちゃんが画面を見やすいように考えた結果、亜理紗ちゃんはベッドから手だけ出して横になり、ピンと体をのばしていました。縦には寝られないので、ベッドに体を横向きにして寝ています。


 「そこまで頑張らなくてもいいけど」

 「充電して、別のことする?」

 「うん」


 ゲームをセーブして中断し、ゲーム機を充電しながらも、2人は他の遊びを模索します。でも、亜理紗ちゃんの家にあるオモチャは一通り遊び終わっていて、カードゲームやボードゲームは2人で遊ぶと遊びにくかったり、非常に終わるまで時間がかかったりしてしまいます。そこで、外へ遊びに出ることに決めました。


 「うち、なわとびあるよ」

 「じゃあ、なわとびする」


 亜理紗ちゃんの家には縄跳びがのナワが2つあったので、それを使って家の前で遊ぶ事にしました。しかし、知恵ちゃんはなわとびが苦手なので、そこまで多様には遊びようがありません。亜理紗ちゃんが様々な跳び方をしているのを、感心した様子でながめています。


 「……そうだ。コンセントごっこする?」

 「なに?コンセントごっこって」

 「長さをはかるゲーム」


 亜理紗ちゃんは手ごろな石を持ってきて、少し離れた場所に置きました。今いる場所にも石を置いて、スタート地点を作ります。スタート地点から石ころの置いてある場所までの距離を目測で導き出し、その分だけナワトビのナワをたらして持ちます。


 「ここから、あっちの石までの長さを見て、その分のナワをたらして持つの。このくらい」

 「短くない?」


 ナワをブラブラさせながら、石までの長さを探していきます。しゃがんで視点を下げてみたり、移動して横から見てみたり。2人は長さを決めてナワを持つと、スタート地点からナワをたらして、石のある場所まで持って行きました。


 「……ちーちゃん。ぴったりだ」

 「もう1回、やろう」


 今度は先程より少し遠くに石を置き、また石までの距離を予想します。やっぱり亜理紗ちゃんの伸ばしたナワは少し短くて、知恵ちゃんの伸ばしたナワは丁度よく、スタート地点から石までの距離と同じでした。


 「すごい。ちーちゃん。コンセントごっこのプロなの?天才だ」

 「……」


 ほめられて嬉しそうな知恵ちゃんなのですが、この才能がなんの役に立つのだろうかと、やや疑問の表情を浮かべていました。


その83の2へ続く

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