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その63の4『大爆発の話』

 「おはよう。ちーちゃん」

 「おはよう」


 次の日、いつものように亜理紗ちゃんと知恵ちゃんは一緒に学校へ行きます。その道中でも、亜理紗ちゃんは建物の屋根にピンクの大きな風船が乗ってはいないかと探しています。しかし、どこにも不審なものは見受けられません。


 「あれ、なんだったんだろう……ちーちゃん。なにか解った?」

 「解んない。今日も帰ったら見てみよう」


 家に帰ったら昨日のテレビ番組を見てみようと決め、学校へ到着すると自分たちの教室に向かいました。知恵ちゃんもピンク色の物体については気になっており、東京という街について友達の桜ちゃんに質問してみます。


 「桜ちゃん。東京に行ったことある?」

 「まだないけど……百合はあるよね?」

 「うん」


 友だちの百合ちゃんが東京に行ったことがあると知り、どんな場所なのかと知恵ちゃんは百合ちゃんに詳しく聞いてみました。


 「どんな場所なの?」

 「うんとね~。遊園地に、お城が立ってる」

 「お城?」

 「虹色に光る橋も見たよ~」

 「虹の橋もあるんだ……ひよことばななは?」

 「買ってきたよ~」

 

 聞けば聞くほど、知恵ちゃんの中では東京が夢の国になっていきます。となれば、ビルの上に大きな風船がついているくらいは不思議ではありません。そういった百合ちゃんの話をふまえて、家に帰った亜理紗ちゃんと知恵ちゃんは再び、亜理紗ちゃんの家でテレビをくいいるように見つめます。


 『本日は天気のぐずつきもなく、傘の心配はございません』


 アナウンサーの人が言う通り、東京の天気は雲の1つもないキレイな快晴です。やはり見間違いではなく、ビルの上にはピンク色の大きなものが乗っかっています。しかし、昨日に比べると、その大きさは少し小さめに変わっています。しぼんでいるのか、形も丸というよりかは、やや楕円に垂れています。


 「ちーちゃん。なんか今日、小さくない?」

 「元気がなくなった」


 テレビでピンク色の物体を見られる時間は1分と少しです。やや小さくなったピンクの物体を心配し、次の日も知恵ちゃんたちは2人でテレビを確認します。うすく晴れた曇り空の中、やや元気を取り戻したピンクの物体がテレビに映っています。


 「今日は大きくなってるぞ」

 「なんでだろう……」


 日々の経過を見て、東京の天気が雨に近いとピンクの物体は大きく、天気がいいと小さくなっているのが解ってきます。ある日、東京が陽の形も見えない曇り空であった日のこと、ついにピンクの物体にも動きが見られました。


 「ちーちゃん!今日、なんかスゴイ大きいんだけど!」

 「わわ……」


 ピンクの物体はテレビの画面に収まらないほどの大きさとなっていて、いまにも爆発してしまいそうなほどに張り詰めています。アナウンサーの男の人が差し棒を持ち上げた次の瞬間、それはパッとあとかたもなくはじけて、シャワーのような水しぶきがあがりました。


 「ちーちゃん!ば……爆発した!」

 「ええ……」


 東京の街を土砂降りが襲い、それについてテレビの中にいる人たちもコメントしています。そんな東京の大雨に続いて、今度は亜理紗ちゃんの家の屋根が急にザーザーと鳴り始めました。


 「……えっ?雨?大変!」


 雨の予報もないのに大雨が訪れ、亜理紗ちゃんのお母さんは急いで洗濯物を取り込みに庭へと向かいます。でも、その雨は30秒ほどでたちまち止み、くっきりとした青空だけが後には残されていました。その一連の出来事を見て、亜理紗ちゃんはピンク色の物体が雨をためこんでいたのだと気づきました。


 「ちーちゃん……爆発した。ここまで雨が来た」

 「……雨爆弾だ」


                                 その64へ続く

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