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その58の3『予言の話』

 亜理紗ちゃんの予言通り、数分後には亜理紗ちゃんのお母さんがお菓子とジュースを持ってきてくれました。でも、それは知恵ちゃんにも予想できる範疇だったので、今回の予言については0ポイントとなりました。そこで、亜理紗ちゃんは更に詳しく、予言ごっこのルールを考えていきます。


 「今日からの一週間、1日1個ずつ予言するね」

 「相手の予言をした方がいいんじゃないの?」

 「そうしよう」


 お互いの未来を予言をする決まりとなり、知恵ちゃんは明日ありそうなこと、明後日もありそうなことを順番にメモ紙へと書いていきます。


 『はみがきする』

 『ジュースをのむ』

 『学校に行く』

 「ちーちゃん。それはありそうすぎるから、0ポイント」


 ありそうすぎる項目なので、亜理紗ちゃんから注意が入りました。ありそうでなさそうな予言について、知恵ちゃんはお手本を見せてもらいたい気持ちでいます。


 「ありそうすぎない予言って、どんななの……」

 「う~ん……あっ。こういうの」


 やや考え込んだ末、亜理紗ちゃんは明後日の予言について、こう書きました。


 『ちーちゃん家のよるごはんがカレー』

 「ちーちゃん。お母さんにカレーじゃないのをお願いしてもいいよ」

 「ジャマするお願いはありなの?」

 「ありなの」


 予言を妨害するのはありと決まり、予言の難しさを見てポイントをつけることにしました。『夜ごはんがカレー』は偶然にしては確立が低そうなので、的中したら亜理紗ちゃんが8ポイントもらえるよう設定されました。明後日の予言が決まり、次に亜理紗ちゃんは明日の予言を考えます。


 「う~ん……ちーちゃん。今日、宿題ある?」

 「あるよ」

 「そっか」


 知恵ちゃんは算数の宿題が学校で出た事を思い出し、それを亜理紗ちゃんに教えます。すると、亜理紗ちゃんは宿題にまつわる予言をしました。

 

 『しゅくだいが100てん』

 「学校で丸つけして、ちーちゃんの宿題が100点だったら、2ポイントもらっていい?」

 「それは私、100点とった方がいいの?ちょっと間違った方がいいの?」


 宿題のプリントを間違うと100点が取れず、かといって100点を取ると亜理紗ちゃんに5ポイント取られるので、知恵ちゃんは自分の立場について悩んでいます。それとは別に、亜理紗ちゃんのもらえるポイントの低さからして100点への期待の色が濃く、もしも点数が悪かった場合を思って知恵ちゃんは困惑しています。


 「アリサちゃん。今日、宿題ある?」

 「あるよ!」

 「……」


 知恵ちゃんも亜理紗ちゃんと同じ予言を書きます。でも、亜理紗ちゃんは気負う様子もなく、むしろプリントへの自信を口にしました。


 「プリントは国語だから、100点とれるはず」

 「そうなんだ……」

 「簡単だから、これは2ポイント。明日、プリントを見せるね」


 漢字についてのプリントは国語辞典を見ながら解けば、おおむね100点を取れます。プリントを見せ合いっこする約束となってしまい、ついでにポイントも低かった為、これを書いたことについて知恵ちゃんは後悔しました。次に亜理紗ちゃんは、明々後日の予言を考えていきます。


 「もっと高いポイントの予言ないかな……」

 「なさそうなことを書けばいいいんじゃないの?」

 「……そうだ!」


 亜理紗ちゃんは7日後、予言ごっこ最終日の日付がある場所へ、高ポイントになりそうな予言を書き記しました。


 「これ、100ポイントじゃない?」

 「……?」


 何と書いたのか、知恵ちゃんは自分の手を止めて、亜理紗ちゃんの方のメモ紙を見つめました。


 『わたしと友だちじゃなくなる』

 「……え?」


                                その58の4へ続く

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