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その10の2『勉強の話』

 まだ時刻は午後の5時なので、30分だけ外に遊びに行く事となりました。天気は悪くはありませんでしたが、晴れてはいないので二人とも上着を持ち出して家の前に集まりました。


 「アリサちゃん。どこ行くの?」

 「神社。5円玉をもらってきた」


 2人の家から歩いて3分の場所には神社があり、そこへ行くと言えば亜理紗ちゃんのお母さんは5円玉をくれます。遊びに行く時、それをお賽銭するのが習慣となっているのですが、亜理紗ちゃんは入園料だと認識していました。


 「……あ、犬がいない」

 

 近所の大きな家で飼われているドーベルマンを亜理紗ちゃんはのぞいてみますが、今は小屋と鎖だけが残されています。


 「ちーちゃん……犬は連れて行かれた……」

 「誰に?」

 「飼い主さんに」

 「どこに?」

 「散歩」


 そんな会話をしながらも、2人は神社に到着しました。アリサちゃんは鳥居のある正面入り口を避け、別の場所にある草むらを切り開いただけのせまい入り口から入ります。


 「アリサちゃん。なんで、こっちから入るの?」

 「あっちはお地蔵さんに見つかる」

 「見つかるとどうなるの?」

 「夜に家にくるかもしれない……」

 「来ないよ……」


 どちらかといえば、知恵ちゃんよりも亜理紗ちゃんの方が勇気はあります。ただ、亜理紗ちゃんはホラーが苦手なので夜は寝つきが悪い時がありました。逆に知恵ちゃんは現実味のない事はあまり怖くなくて、映画やマンガをあまり怖がらない子どもでした。


 神社の本殿に近づくと、広間から楽し気な声が聞こえてきます。少しうかがい見ると、5人の男の子が駆けまわって遊んでいました。


 「アリサちゃん。帰ろっか」

 「そうしよう」


 2人は神社の散歩を諦め、引き返して家路を辿ろうとします。神社の入り口から通路へ出ると、そこには高いブロックべいがそびえていました。空には薄闇が広がっていて、目の前の道はグンと左右にだけ伸びています。

 アリサちゃんは右の道の先にある曲がり角から向こうを見つめます。しかし、その先にも更にブロックべいにさえぎられた道が続いていて、どうするか迷った様子で知恵ちゃんの元へと戻ってきました。

 

 「迷路だ。ちーちゃん。迷路」

 「なんで迷路……」


                              その10の3へ続く

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