表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/367

その10の1『勉強の話』

 今日は知恵ちゃんが亜理紗ちゃんの家に勉強道具を持ち込み、2人で一緒に学校の宿題をしていました。だけど、知恵ちゃんと亜理紗ちゃんはクラスが違うので、宿題の量に幾らかの違いがあります。比較的、亜理紗ちゃんのクラスは宿題が少なく、知恵ちゃんのクラスは学年でも宿題が多く出される傾向にありました。


 「ちーちゃん」

 「なに?」

 「……一枚、やろっか?」

 「いや」


 亜理紗ちゃんは先に宿題が終わってしまった為、知恵ちゃんの宿題を手伝うと言います。でも、知恵ちゃんはズルをするのが嫌なのです。先に宿題を終わらせてしまった亜理紗ちゃんは早く知恵ちゃんと遊びたいので、知恵ちゃんのプリントを横からのぞき見ています。


 「ちーちゃん。そこ、ちがってるよ」

 「あとでなおすの」

 「ちーちゃん。ここもちがうよ」

 「……アリサちゃん……怒っていい?」

 「怒っちゃダメなんだけど……」


 結果的に宿題の邪魔をした亜理紗ちゃんは反省すると、自分のベッドへ体をポンと投げ出しました。そのまま、だらっとしながら天井を見つめていた亜理紗ちゃんでしたが、何か思い立った様子で起き上がるとテーブルに置いてある麦茶を飲みました。


 「ちーちゃん」

 「なに?」

 「ちーちゃん。なんか変なことを気づいたんだけど」

 「……なにを?」

 「……ん。ちーちゃんは間違ってなかったかもしれない」


 それを聞くと、知恵ちゃんは宿題から目を離して、亜理紗ちゃんの方へと正座しながら向き合いました。

 

 「……なんでなの?」

 「……ちーちゃんと一緒に買い物に行くけれど、たまに駄菓子屋さんじゃない知らないところに着く時があるもん」

 「……?」

 「算数の答えも、たまに違うかもしれないでしょ」


 そこまで聞くと、なんだか知恵ちゃんは気が抜けたように姿勢をくずして、また宿題へと鉛筆を突き付け始めました。そして、ぼやくように言いました。


 「それは困るからダメ」

 「なんで?」

 「だって……」

 「……?」


 知恵ちゃんは消しカスを指で潰しながら、口をとがらせて言いました。


 「急にアリサちゃんが、近くにいなくなったらイヤだから。いつも通りがいい」

 「……そうだね。うん」


 そう伝えると、知恵ちゃんは再び宿題に取り掛かりました。その後、20分程で知恵ちゃんの宿題は全て終了しました。


                                    その2へ続く


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ