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番外編の2『ちーちゃんクエスト(海と空と大地のケモノたち)』

 馬車を引く馬は知恵ちゃんの後ろを歩いてくるので、知恵ちゃんは馬車に乗ることができずに道を歩いています。そんな中、3人の目の前に何かが飛び出してきました。


 「わんわん!」

 「あ……モモコだ」


 知恵ちゃんの家で飼っている犬のモモコが、草むらの中から駆け出してきます。じゃれついてくるモモコをいつものように、知恵ちゃんはなでてあげます。知恵ちゃんが持っているドッグフードをあげると、モモコは満足したように、どこかへ去って行きました。


 「ちーちゃんはモモコを倒したから、経験値を手に入れた」

 「あれで倒したの?」

 「うん。レベルも上がった」


 亜理紗ちゃんの説明にあわせて目の前に黒い四角が現われ、その中に知恵ちゃんたちの能力が数字で表示されました。亜理紗ちゃんや桜ちゃんのレベルも上がった為、全員の能力が目の前に貼り出されています。


 『知恵:レベル2 優しさ:2 かしこさ:2 スタミナ:2 足の速さ:2 運:1』

 『アリサ:レベル2 優しさ:4 かしこさ:4 スタミナ:5 足の速さ:5 運:3』

 『桜:レベル2 優しさ:5 かしこさ:4 スタミナ:4 足の速さ:4 運:4』


 「私、何も勝ってる数字がないんだけど」

 「知恵は後々、強くなるタイプだから……」

 「あと、運が上がってない……」


 桜ちゃんが知恵ちゃんは大器晩成型だと教えてくれますが、レベルが上がっても運だけ上がっていない事実について、知恵ちゃんは残念でなりません。目の前の数字が引っ込むと、再び知恵ちゃんたちは道を歩き始めました。


 1分ほど徒歩で移動し、知恵ちゃんたちは湖の近くへとやってきました。バシャリと湖面の揺れる音が鳴り、カエルに似た生き物が水の中から顔を出します。亜理紗ちゃんが真っ先にカエルに気づき、知恵ちゃんの肩を叩きます。


 「ちーちゃん。あれ」

 「うわ……」


 知恵ちゃんはカエルを見て少しまゆを下げますが、亜理紗ちゃんと桜ちゃんは特に臆する様子はありません。カエルは水から上がってくるでもなく、じっと知恵ちゃんたちを見つめています。


 「ちーちゃん。あれも倒す?」

 「たおす必要ある?」

 「まあ、魔王のところに行って、レベルが足りないのと困るし」


 そう言って、桜ちゃんが手に持っている玉結びされたロープを揺らします。すると、カエルはロープの玉を口にくわえて遊び始めました。


 「知恵。今がチャンスだから、なでてきて。大丈夫。毒とかないから」

 「えええ……」


 桜ちゃんになでるようにうながされますが、知恵ちゃんはカエルを触りたくありません。そうして知恵ちゃんが嫌がっている内にも、亜理紗ちゃんがカエルに近づき、テカテカとした青い肌に触わりました。その手触りを大雑把ながら、亜理紗ちゃんが知恵ちゃんに伝えています。


 「……なんか、いい感じだよ!」

 「いい感じって……どんな感じなの?」

 「ゼリーをさわってる感じ」

 「ゼリーを手で触ったことないけど……」


 知恵ちゃんがしぶっている間に亜理紗ちゃんがカエルをなで終え、カエルはロープを口からはなして水の中へと戻っていきました。


 「ちーちゃんも、さわればよかったのに」

 「私はいい……」

 「あっ。ちーちゃん。上」


 今度は空に鳥が飛んでいるのを見つけ、そちらを亜理紗ちゃんは指さします。ですが、鳥は知恵ちゃんたちを見つけても興味がなく、降りてくる気配は全くありません。桜ちゃんが鳥を見上げながら、どうしたら触れるかと考えています。


 「……何か、食べ物とか置いたら、下に降りてくるかな」

 「ドッグフードしかないけど」

 「それで試してみよう」


 お母さんのお店で買ったドッグフードを取り出し、知恵ちゃんは岩の上に置いてみます。でも、鳥はドッグフードに興味を示しません。そこで、亜理紗ちゃんは知恵ちゃんの持っているぬいぐるみを貸してほしいと言いました。


 「これ、貸して」

 「うん」


 亜理紗ちゃんがぬいぐるみを岩の上に置くと、すぐに鳥はぬいぐるみを持ち去っていきました。鳥を倒したことで、また3人のレベルが上がります。


 『知恵:レベル3 優しさ:3 かしこさ:3 スタミナ:3 足の速さ:2 運:1』

 『アリサ:レベル3 優しさ:5 かしこさ:5 スタミナ:6 足の速さ:6 運:5』

 『桜:レベル3 優しさ:6 かしこさ:6 スタミナ:5 足の速さ:5 運:5』


 「む……」


 レベルアップによって表示された数字を見て、知恵ちゃんは不満そうに口をふくらませていました。

 

                                  番外編の3へ続く

番外編は次回で終わります…。

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