初めての無詠唱魔法
歓声が渦巻く競技場が、眼前に広がっている。
マジで、行かなきゃダメなのか。
ドンッ。
進むことを躊躇していると、ここまで俺を運んで来た男達に背中を強く押され、競技場に突き出されてしまう。
まずい、戻っ。
慌てて踵を返したが、即座に鉄格子が降りて俺の退路を断った。
「殺せ、殺せっ」
観客からの温かい声援が降り注ぐ。
くそっ、こうなりゃ、自棄だ。
地面を蹴り飛ばし、壁に掛かっていた武器の中から槍を選んで持ち上げる。
槍は離れた間合いから攻撃できるので、初心者向けの武器である、という情報が漫画か、もしくはラノベに書いてあった。
漫画情報の真偽はともかく、へっぴり腰で槍を構えてから、相手を睨みつける。
相手は、先程と同じような大狼。だが別の個体のようだ。走り回って疲れている様子はなく、むしろ爛々とした瞳で獲物(つまり俺)を舐め回すように眺めていた。
俺が弱腰なのを見抜いたのか、大狼は四肢を小さく折り畳んでから、それを一気に伸ばして飛び掛かって来る。
「うおおぅっ」
悲鳴なのか、雄叫びなのか、自分でも分からない大声を上げながら、迫り来る大狼に向けて槍を突き出した。
だが当たらない。
大狼のすぐ脇を穂先が掠めただけだった。逆に狼の牙は俺の眼前に肉薄する。唾液で濡れた牙が、まるで陽光を反射したナイフのように輝くのが見える。
「うああああっ」
咄嗟に身を屈めた。反射的行動だったが、それが功を奏し、大狼の身体は俺の頭上を飛び越える
運よく回避できたようだ。だが俺が胸を撫で下ろす暇もなく、大狼は即座に振り返り、再び俺を睨む。
さっきの一瞬で、俺は自分が握る槍がいかに役に立たないかを悟った。今まで握ったこともない武器で戦えるわけがないのだ。
だが、どうする。他に何が使える?
剣やナイフを手にしたからと言って、この状況が好転するとはどうも思えない。競技場内を逃げ回るということも可能だが、狼相手に俺の逃げ足が通じるわけがない。
何か、何か、何か手段はないのか。
迫り来る大狼がスローモーションに見えるくらい、俺の思考が加速する。一秒が引き延ばされ、パラパラ漫画のように瞬間が切り取られる。
溢れ出したアドレナリンによる、錯覚なのだろうか。それでも構わない。せめて考える時間くらい、与えられたって良いだろう。
……魔法。
咄嗟に思いついたのはそれだった。さっきの試合で、狼を追い払ったあの炎を俺も出すことが出来れば、あるいは。この競技場の出場者は、どうやら魔法を使えない被差別階級の人間らしいが、俺もそうだとは限らない。もしかしたら、きちんと呪文詠唱をすれば、俺でも魔法を使えるかもしれない。
そんな目の前に垂らされた蜘蛛の糸のような可能性を、躊躇なく掴むことにする。
あの男が炎を放った呪文、思い出せ。
「……火焔は、さ、さささ、かりて、命を、喰らうっ」
やはり、言葉がつっかえる。
そして予想通り、こんな不完全な詠唱では魔法は発動しなかった。突き出した右手から、火の粉の一欠けらでさえ現れる様子がない。
この時ほど、自身の吃音を呪ったことはない。
なぜ、俺は普通の人みたいに喋れないのか。誰だって当たり前のように言葉を紡いでいる。それで愛を謳ったり、友情を育んだり、社会性を営んでいる。言語が人類の発明であるならば、それをまともに使えない俺は、人間にすらなれない。一体何者なんだ。
「見ろよ、あの忌み子。呪文を唱えようとしているぞっ」
「本当だっ、こりゃ傑作だっ。神に嫌われた分際で、身の程知らずな奴だっ」
競技場をぐるりと取り囲む観客席から、嘲笑が雨となって降り注ぐ。
せいぜい笑うと良いさ、吃音を笑われたことは今まで数え切れないほどあるんだから。
これぐらい、なんてことはない。
……そんなわけ、あるか。
俺の中にずっと潜んでいた、殺し続けていた本音が、今になって声を上げる。
笑われることが、辛くないなんて、そんなことあるはずない。
ずっと、辛かった。馬鹿にされ、疎まれ、避けられた。俺は自分の口と舌と喉と脳を呪い、掻き毟りたい衝動と戦いながら、ひたすらに嘲笑を浴び続けた。
俺はずっと、苦しかった。その想いを言葉にすらできず、泣き言も罵声も言えず、ただ言葉を飲み下し続けた日々だった。
今日ぐらい。この一回ぐらい。せめて、この言葉だけでも、どうか声となって、響いて下さい。
この言葉に全身全霊を込めよう。この先、二度と声が出せなくなったとしても、この一回だけはしっかりと発声できるように。
言葉を、もう一度、思い返そう。
目の前にいる狼など気にするな。
男が魔法を使った瞬間を思い出し、それを脳裏に思い描く。イマジネーションを高めて、呪文をもう一度思い返す。迫り来る狼に右手を向け、成功体験を夢想するんだ。
(――火焔は盛りて、命を喰らう)
そう、こういう呪文だった。
その言葉を心中で唱え、同時に右手から火炎放射が噴き出す瞬間のイメージ図を思い描く。
俺自身の気持ちを高めつつ、冷静に呪文詠唱するための前準備としてのイメージトレーニング。そのつもりだった。
だが、想定外の、奇妙なことが起こる。
右手に熱を感じたのだ。
「あれ?」
何も喉から発していないのに、いつの間にか右手から炎が噴き出している。手のひらから生えた巨大な舌のような炎の噴射は、狼の身体をあっという間に絡め取った。
熱気と火の粉が頬を焼く。煌々とした炎の光が視界を赤く照らす。
その事態を呑み込むのに、しばらくかかった。
俺が魔法を使った、そのことに気付いたのは、火炎放射が治まってからのことだった。
熱と光が右手から消えると、辺りに恐ろしいほどの静寂が蔓延った。本当に俺が魔法を使ったのか半信半疑だったが、夢ではなかったことの証左として、焼け焦げた大狼の死体が転がっている。肉が焼けた嫌な臭いが鼻腔を突き、今が現実であることを主張していた。
「……は、はあ、っはあ」
ようやく現実感が返って来る。
どうやら俺は助かったらしい。今頃になって、呼吸が荒くなった。両膝に手を置いて、上半身を支える。そうでもしないと、立っていられないくらいの疲労があった。
「……まさか、嘘だろ……あいつ、今、何も唱えて……」
「間違いない、無詠唱魔法……」
「『千言万語の紡ぎ手』、その再来、だとぉ……」
俺が肉体の疲労に気付くのと同じ頃、観客席もどよめき始めていた。
一体、何が、起こったのか。
俺が訝しんだ、その時。
「おおおおおいいいい。か、金ならいくらでも出す、そいつを売ってくれっ」
「金貨、二十、いや、三十だっ。俺の今ある手持ち、全部払うぞっ」
「ま、待て、今は銀貨五十枚しか持っていないが、これは手付金だ。後で必ず、金貨百枚を渡す、だからワシに譲ってくれっ」
天井を割らんばかりの大喧噪が吹き荒れる。恐らく入札を意味する、札を上げるという行為をしない観客などこの場にはおらず、誰もが騒ぎながら自分の札を天高く突き上げていた。
中には、金貨や銀貨を競技場内に投げつける者までいて、もはや競りというよりも戦争と表現した方がしっくり来る状況になっていた。
「ええい、静かに、静かにっ。今回の従者競売は仕舞いであるっ。この者はここでは売らんっ。即金だろうと、後払いだろうと絶対に受け付けんっ」
競技場に金貨が賽銭のように投げ込まれる中でやってきたあの中年親父は、ほくほくとした笑顔を浮かべながら、観客に向かって大声で叫んだ。
当然の如く、観客達は不満を口にし、中年親父に対して罵詈雑言と金貨がたっぷり詰まった革袋を浴びせている。
だが親父の方は気にも留めた様子はなく。
「ええい、うるさいっ。こんな辺鄙な田舎町じゃなくて、もっと高値で売れる街に行くわいっ」
と、怒声を返している。まるまると肥えた革袋が額に当っているにも関わらず、その怒声の勢いは止まることが無かった。それどころか、きっちりとその革袋を懐に入れる辺り、商売人根性がいかんなく発揮されている。
「さあ、さあ、十三番。ここは危険じゃ。そなた欲しさに、この我欲塗れの者達が何をするか分からん。身体をゆるりと休めるがよい」
猫撫で声を出しながら俺の元にやってきた中年親父。
き、気色悪い。我欲塗れはお前もだろう。
若干引き気味の俺、だが親父はまるで恋人と腕を組むかのように俺の腕に絡みついて来る。
……やばい、これからどうするべきか。
事情はよく分からないが、俺はかなり貴重な人間と認められたようだ。ならこの親父は、これから態度を改め、俺を悪いようにはしないだろう。ならばこいつに付いて行くというのも一つの手だ。
しかし奴隷商人らしい親父に付き従うのが、果たしてこの先プラスになるのだろうか。
俺が躊躇していると、観客席から一際際立つ声が発せられ、競技場内を駆け巡った。
「そこの商人。待ちなさい。その者を連れ去ってはなりません」
その声は決して大きい訳では無かった。それでも騒いでいた観客を鎮めたのは、耳を爽やかに通り過ぎるような透明感のある美声であり、また思わず首を垂れてしまうほどの高貴な雰囲気を持った、少女の声色だったからである。
その声の主は清流の静かな水面を流れる木の葉のようにゆったりとした歩きぶりで、観客席の上段から降りて来た。紺色のローブで全身を覆われているため確認できないが、その背丈が少女であることを証明している。
ローブの少女は身体をすっぽりと包んだローブの裾を翻して、観客席と競技場を隔てていた柵を乗り換え、俺の傍までやって来る。
その背後には、同じようにローブを被った人物を従えている。俺の背と同じか、少し高いくらいだ。少女の護衛役なのだろうか。
「へ、へえ、何の御用でしょうか? 申し訳ございませんが、この商品はここでは売らないことにしましたので、いくら積まれても渡せませんぜ」
中年親父が揉み手をしてローブの少女に近づこうとする。下手に出ている口調と仕草だが、その双眸を見ればローブの少女を見下しているのが丸分かりだった。
「……あなたも、見たはずです。この者が、無詠唱魔法を使ったところを。ならばこの者の身柄は、オルファン王国に属します。あなたのような一商人が好きにしてよい御方ではありませんよ」
少女の涼やかな声がローブの下から囁かれた。その声からは静かだが、確かな怒気を感じる。
「……と、言われましてもねぇ。こいつ、いえ、この方は証明の魔法が使えず、従者でない忌み子でありながら街に侵入しようとした罪人として処罰されそうでした。そこで私が金を出して、その身を引き取った次第です。つまり、この方が何者であろうと、私が好きに出来る権利があるというわけです。……例えあなたが無知な少女と言えども、この国には商人に与えられた権利があることをご存知でしょう?」
中年親父の方も、少女に対して一歩も引かず、対立する姿勢を露わにした。
「なるほど、あなたが商人としての権利を主張するならば、それに従いましょう。……ここに金貨二百枚があります。まずはこれを手付としてあなたにお渡しします。日を置いて、更に金貨三百枚をご用意いたします。それで、この方を私に売って下さいませんか?」
そう言ったローブの少女は、懐から革製の巾着袋をいくつか取り出し、中身を中年親父に見せる。
この世界の通貨価値がどうなっているか、分からない俺でも、中年親父の目玉が飛び出たことと、周囲の観客のざわつき具合から、どれだけの大金が支払われるのか何となく理解できた。
「……ほ、ほぉ。やはり、あなたはどこか、貴族のお嬢様ですかな? 確かに、中々の代金ではございます。……しかし、伝説の千言万語の紡ぎ手の値段としては、些か物足りないのではございませんか?」
目を欲に暗ませながらも、更に搾り取ることを忘れないこの親父は、骨の髄まで商売人なのだろう。感心すらしてしまう。
「……貴様、あまり、調子にならない方が良いぞ」
ローブの少女に付き従っているボディーガードらしい人物から、警告が飛ぶ。少し高めの青年の声色のようで、誠実さを感じさせる。
「ふふ、ですが、騎士様、これが商売というものでしてな。……全部で金貨五百枚、確かに破格の値段ではございますが、所詮はこの田舎町の程度。王都に行けば、もっと高値になる可能性がありますので……」
「確かに、そうですわね。私が出せる金貨はせいぜいこれぐらい。王都に住まう貴族の中には、より大枚を叩く者もいることでしょう」
ローブの少女が、少し気落ちしたように言う。
「よくお分かりで。大変、残念ではございますが、ここでこの方を売ることは出来ませんな」
中年親父が満足そうに頷いている。
「……ならば、仕方ありません。……あなたが行っている、忌み子売買の不法行為について王国軍に告げ、あなたの身柄を拘束させてもらいましょうか」
ローブの少女が残念そうに続けた言葉に、中年親父の顔が凍り付いた。
「……な、なにを仰る。ワシはオルファン王国で定められた忌み子の権利憲章に則って商売を行っております。この地下競技場での試合では命のやり取りにならぬよう、途中で試合を止めるための魔法使いを配置して、十分に気を遣っております。商品にする奴隷も、従者ではない者、法を犯した者に限っております。断じて不法行為などしておりませんっ」
声を震わせながら主張している。
「……忌み子身分を保証した憲章では、確かに生命の担保のみを謳っており、怪我についてまでは言及していないのが現状です、悲しい事ですが。……では、あなたの取り扱いはどうでしょうか?」
ローブの少女はその場で踊るように回って、周囲をぐるりと見渡す。
「この悪趣味な競技場では、一応殺し合いまで発展させないようにしているようですが、目に見えないところ、例えば忌み子の待機場所についてはどうでしょう? 聞けば、昔の囚人監獄所を利用して、牢屋に閉じ込めているとか。また食事も満足に与えずに、試合に出させているとか。……一つ一つは小さなことですが、これらが全て積み重なった時、忌み子の生命の担保がされていると、果たして言えるのでしょうか?」
「き、詭弁だっ。そんな曖昧な訴え、王国軍が聞き入れるわけがないっ。下手な脅しは辞めることだな、小娘っ」
脂汗を流した中年親父が、唾を飛ばしながら口調を荒げる。
「ええ。あなたの言う通り。……このような陳述が、王国軍に届くことは無いでしょう。普通ならば……」
そう言ってローブの少女は、両手でフードを持ち上げ、顔を露わにした。
その面貌は、声のイメージ通りの美しさを持っていた。
亜麻色の髪が緩めの一本の三つ編みとなっており、それは新品の麻縄を思わせた。目の色は深い海のような濃い青色で、じっと見つめているだけで飲み込まれそうになる。ツンと自己主張した高い鼻に、ほっそりとした頬骨から顎にかけてのラインは、絶妙な黄金比だ。
美人な顔立ちだが、どことなく幼い愛嬌が残っている。それは少女と美女の境目の上に、奇跡的な均衡で立っている美貌だった。
「私の名前は、テファーヌ・ド・オリファン。この国の王位継承権を持っています。私からの訴えであれば、腰が重いことで有名な王国軍でも、風の如き速さでこの地に駆け付けてくるでしょうね」
明朗とした声と、屹然とした表情で自身の名を誇るように口にする。
「……ま、まさか、……あんたが、……お、王国のお転婆娘……」
「あら、私の異名をご存知とは光栄ですわね。……私のお転婆ぶりを、あなたも味わってみてはいかがかしら?」
整列する白い歯を見せつけるように、にっこりと微笑むテファーヌ。
「……嘘だ。……そんな、騙されんぞ、ワシは……。王族の名を騙ったところで……」
中年親父が贅肉で弛んだ頬を汗で濡らしながら、テファーヌの言葉を否定する。
「では、こちらをご覧になれば、信じて頂けるのではないかしら?」
テファーヌは動じた様子もなく、後頭部に手を回し、三つ編みの根元を止めていたバレッタを外す。テファーヌが手に持ち、見せつけるように突き出した楕円形のバレッタの表面には、金細工でとある紋章が描かれていた。
それは、角笛を模しているようだ。
「……お、オルファン王国の国章……。王家のみが、持つことを許される、という……」
中年親父はしばらく愕然と口を開いた後に、印籠を前にした悪代官のように慌てて平伏する。
「あなたが、今後もご自分の商売を続けていきたいと思うのなら、このお方を私に売って下さるかしら?」
テファーヌがバレッタを再び髪に戻すと、勝利を確信したように微笑んだ。
「く、き、汚ねえ。王族であることを笠に着やがって……」
口汚く罵る中年親父だが、それを前にしてもテファーヌは晴れた日の陽光のような笑顔を崩さない。
「王国から保証された自らの権利で、忌み子を乱雑に扱い、あまつさえ伝説の存在さえ我欲の慰み者にしようとしたあなたに言われる筋合いはありませんね。……さあ、他に文句はございまして? もしご不満なら、王国軍を相手に弁舌を振る舞ってはいかがかしら。ただ、彼らは私より物分かりが良いとは思えませんけれど」
「……ぐ、…………喜んで売らせていただきます」
あっという間に手のひらを返した中年親父が、テファーヌから丸々と太った革袋を恭しく受け取り、一目散で競技場を後にした。
「せいぜい、泣きながら家に帰り、赤子のようにお母様のお乳でもお飲みになりなさい」
テファーヌが中年親父の背中に、丁寧な口調の煽りを浴びせたので、俺は少々驚いた。
「……テファーヌ様、お言葉はもっと考えて……」
テファーヌの護衛らしい人物が憮然とした口調で窘める。
「あら、ごめんなさい、ジャン。つい、昔の癖が。でもこれでも抑えたつもりだったのだけれど。……まあ、とにかく、これで安心というところかしらね?」
テファーヌが小さく口元を綻ばせて、俺の方に向き直った。
テファーヌの紺碧の瞳の中に、俺の顔が映る。まるで波一つ立たない穏やかな海面を覗き込んだようだった。
「あ、あ、ああ、ありがとう、ございます」
吃音、ではなく疲労感と緊張のせいで、流暢にお礼が出て来なかった。
「いいえ、どういたしまして。さて、色々とあなたの話を伺いたいところですけど、まずは腰を落ち着けられるところに参りましょうか。この場は少々騒がし過ぎますから」
テファーヌが未だに興奮の冷め止まない観客を見渡し、苦笑を浮かべて言った。
「それでは、私の仮住まいご案内いたしましょう。積もる話はそれからということで。……あ、でもお名前くらいは、先にお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「…………相葉、清治、です」
奇跡的に、つっかえずに言えた。
「よろしくお願いしますね、アイバ様」と微笑むテファーヌ。
そうして、俺は彼女と出会った。