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村長のお仕事~ダンジョンはどうした~②

やっとゆっくりできるぜ。アードラの一件からこっち、ずっと動きっぱなしだったからな。


村長があれほど面倒だなんて思わなかった。ボーっとマスコットみたいに座ってればいいのかと思ってたわ。


それに気づいたことはそれだけじゃない。あんなに国に依存してるんだな。報告や献上、挨拶回りに依頼なんかまである。村なんだから、ある程度自立してるのかと思っていた。


クロウ曰く、近いうちに街まで足を運ばないといけないらしい。面倒臭いが、レイヴンから正式に変わりました、との儀式かなんか知らんがいるらしい。



“で、レベル5が――”



あ、話が始まってる。


ダンジョンレベル5で地上への影響範囲が広がってこの島を丸々覆う程になったんだって。へぇ~。金がないから意味ねぇ~。


レベル6で海への干渉ができるようになったって。まだ影響範囲はかなり小さいようだ。いつもどおりほぼなんでもできるらしい。空は? 空は? って言ってたけど、そうだ、海があったな。そういえば。


ただ、どれだけ影響範囲が広がってもねぇ。別にいいけど。あって困るもんじゃなし。


後は俺の大切な魔物達もレベルが上がったようだ。


第二期ゲル君達もレベルが上がって10になったんだって。俺が18レベルだから随分低いなって思っていたら説明してくれた。さすが球体。


ただ、ゲル君のレベル上限に達したらしい。これ以上の成長は見込めないようだ。


と初回限定ゲル君は6レベルまでいってたな、確か。壁を移動できるのと浸透ができるとかなんとか。


ひとつめは自らの体をアルカリ性に変える能力らしい。あ、そのスキル使って近付かないでくださいねぇ。人間の俺は簡単に死にますからねぇ。


ふたつめは短時間の間、二つに分裂できるようになったんだって。そりゃすごい。片方がやられたらどうなるんだろ? いや、短時間の間って言ってるし片方でもやられたら死ぬんだろうな。元の大きさに戻れずに。


みっつめは人型になれるのか。球体みたいなやつらだな。液体だからいくら人型と言っても足のある部分は水溜まりみたいになってるし、透き通っている。人を騙したり、人混みに紛れたりはできないだろう。


よっつめが粘度を増す事ができるようになったらしい。相手を鈍化させるゲル君の戦い方からして一番重要な能力だろう。多少なりとも戦力がアップしたのは間違いない。


ガダジゾバビビもレベル10、顔狼(変異種)もレベル10で限界らしい。


ガダジゾバビビは前のレベルアップで反幻術魔法を覚えたとかなんとか。今回は一気にレベルが5つも上がっている。


ひとつめは幻影投影のスキル。何もないところに何かがあるように見せるスキルだ。


ふたつめは相手の視界を短時間奪うスキル。短時間がどれだけの時間になるかがポイントだな。


みっつめはMP譲渡ができるようになったらしい。ガダジゾバビビがどれだけのMPを持っているか知らないが、許容量の間は俺や他の奴等の魔法にスキルなんかが使えるようになるんだな。


よっつめは相手へ幻痛を与える能力。物理的には何もないからダメージとしては0らしい。ただ、痛みを与える事ができる。使い道が難しいな。


いつつめは対象を消す幻術だ。いわゆるステルス状態だ。ガダジゾバビビのスキルで一番使えるだろう。


ガダジゾバビビの能力はかなり使えると思っていたが、耐性のついた奴等もいるという事がわかった。


明らかな弱点だろう。球体に聞いたが、耐性のある奴等にはガダジゾバビビの能力は全て効かないらしい。


MP譲渡以外は使えない事になる。


アードラに効かなかったのを教訓に、今後誰でも効くと思い込まないようにしよう。大切な仲間が減ってしまう。


顔狼の能力を見て、ガッカリした。


なんだ、前の顔から火を噴いて後ろの顔から氷を吐けばよかったのに。


前回のレベルアップで移動速度と毛を硬化できるようになったとかなんとか。


今回はひとつめ、嗅覚を上昇させる事ができるようになった。これにより、近くにいる臭いを持つものを策敵できるようになる。ただ、臭いを持たない敵や臭いまで擬態しているものは策敵できない。さらに風により策敵を範囲が変わるのが難点だな。


ふたつめはアゴの筋力上昇。身体強化の魔法のようなイメージで、単純に筋力が上がるのだそうだ。


みっつめは肥大化。生物とは大きければ強い。魔物も例外ではなく、同じ種類の魔物でも大小が存在するのだそうだ。このスキルを使うことで自身を大きくして、短時間ステータスを飛躍的に伸ばす事ができる。ただ、大きさとしては1.5倍にもならないぐらいだそうだ。


よっつめは咆哮により、聞いたものに状態異常を与える事ができるようになったみたいだ。状態異常の種類としては失明、失聴、混乱、目眩、出血。だが、状態異常になる確率は低く、あまり期待できないそうだ。


いつつめはジャンプが出来るようになった? ゲル君みたいなショボいのを想像したが、違うらしい。普通に跳躍して、突進や飛び退いたりできるようになったとの事だ。


……球体よ、ごめん。色々言ってくれるのはありがたいけど、全然覚えれない。後で分からない所は覚えるまで聞こう。勉強を覚えるのは苦手だったが、こういうスキルやステータスなんかは覚えるのが得意だと思ってたんだが、さすがに覚えられなくなってきた。


だが、覚えてやらないと俺を含めて皆の生存確率は間違いなく下がるだろう。色々作戦も立てないといけないし、覚えるより他はない。頑張ろう。


溶岩フレアとメリマルドリルもレベルが5まであがったようだ。こいつらはレベルが上がるのにも経験値が大量に必要なようで、まだ限界には達していないみたいだ。


溶岩フレアの覚えたスキルひとつめが溶岩のように体の周りの皮膚を硬化する能力。


ふたつめは地上に居られる時間の増加。土中種という奴は全て地上に長い間居られないのだそうだ。土から生きるために必要な要素を吸収しているので、人間の呼吸と同じようなものだそうだ。


みっつめは土の中に居る間、受けたダメージが回復していくスキルだ。回復速度は極めて遅いので、戦闘中に土に潜って回復するんじゃなくて、戦闘が終わった後に、徐々に回復するようなイメージだ。


よっつめは土の中の移動速度の上昇。基本的に速度の上昇系は爆発的に上がるわけじゃなく、ほんの少しだけ上がるようだ。例外はあるのだろうが。


次がメリマルドリル。やはり奴の体に付いているドリルがメインのスキルだ。いや、ドリルに寄りすぎたスキルだな。


ひとつめからよっつめまで全てドリルが飛ばせるというだけだ。


まず、右手のドリルを発射できる。ただし、HPが20%減る。


そして左手のドリルが発射できる。ただし、HPが20%減る。


それから右足のドリルが発射できる。ただし、HPが20%減る。


最後に左足のドリルが発射できる。ただし、HPが20%減る。


そして、発射したドリルは自動で戻ってこない。


拾ったら装着できるから、発射した後は必ず探す必要がある。その時にHP20%は戻ってこない。


飛ばした箇所により、状態異常扱いなのだそうだ。


右手なら右手の消失、左手なら左手の消失、といった具合。球体で回復できるが、回復に300円かかるのだとか。金がかかるから発射したら必ず探そう。


今後の戦いで使うことになりそうなスキル達だ。効率よく使っていかねば……。俺が4008レベルの軍隊を攻略してやるんだからな。


風呂から上がって、服を着てダンジョンに戻った。


サンドレアは自分の部屋に戻ったようだ。



“ねぇ、聞いてた? メフィストがお風呂に入ると反応がないから。ちゃんと聞いてたよね?”


「ん? ああ、聞いてたぞ。聞いてたのと覚えたのはまた、別の話だけどね」


“わからなかったらまた聞いてよ。そうそう、サンドレアもダンジョンメンバーだからメフィストと一緒にレベルが上がってるよ”


「え? マジで? なんだよ、レベルが近づいたと思ってたのに一緒にレベル上がるの? まあいいや、サンドレアのステータス見せて」


“はいはーい”



―――――――――――――――――

なまえ:サンドレア・ド・シャルトレ

レベル:28

HP/最大HP:256/256

MP/最大MP:754/754

残金:0円

力:8

防御:55

知:29

速さ:6

魔法耐性:180

魔法力:195

魔法回避:70

運:90

スキル一覧

魔物使いの呪い・レベル2

精神昇華の呪い・レベル3

魔法一覧

身体強化の魔法・レベル1

火の魔法・レベル1

植物の魔法・レベル1

武器一覧

なし

防具一覧

オリジナル魔王のコスプレ(上下)

きれいな服、パンツ

魔王っぽい靴

道具一覧

赤のクリスタル

緑のクリスタル

虹のクリスタル

状態異常

―――――――――――――――――



「きっしょ!」



えー、確か23レベルだったはずだから5レベル上がったのかな?


ものすごい強くなってるじゃねぇかコイツ。


MPなんか480から754まで増えてやがる。全体的にステータス上がるから羨ましい。俺は物理的なステータスと知力と運が一切上がらないからな。



“メフィストより――”


「その先は言わないでくれ。わかってる。わかってるから。ショック受けるからね」



ちくしょう! 強くなりたいな。


どうにかなるように努力しよう。ステータスだけが力じゃない。……はずだ。


残り金額3325円。


これから、ダンジョンにいつ戻ってこれるか分からない。


ん? そういえばコアって影響範囲内は移動できるようになったって言ってたな。という事は村まで連れていける!?


これはダンジョンに一々戻らなくて良くなるんじゃないか?



「球体よ。お前、影響範囲は移動できるんだったな」


“うん、出来るよ。すごいでしょ”


「いや、すごい、すばらしい! という事でお前は俺と一緒に村まで来なさい」


“え? ごめん、もう一回言ってくれる?”


「お前は俺と一緒に村まで来なさい」


“なんでそんな危険な事をしないといけないんだよ! ボクが人間の集団の中に行くなんて、そんなことしてたら人間どもに壊されるよ!”


「大丈夫大丈夫。バレないバレない」


“バレるよ! いくら人型でもボクは光ってるんだぞ! ローブ付けても何してもダメだよ。バレるよ!”


「俺は魔物使いってことになってるんだ。お前も魔物ってことにして、押し通せばいいんだよ」


“いやダメだよ。こんな魔物いないよ”


「じゃあ作れ。そうだな。名前は何がいいかな……」


“待って待って。ボクの意見は無視ですか!?”



そういえばコイツもいつまでも球体やらコアやら名前が無いのも呼びづらいな。ここらでひとつ、ビシッといい名前を付けてやろうじゃないか!



“なんか嫌な予感がするんですが……”


「大丈夫大丈夫。このメフィストにまかせときなさい」



さて、呼びやすく魔物っぽいのがいいな。



「口うるさい怪物……とか、うーん、そうだな、光る人とかどう?」


“どう? じゃないよ。なにその変な名前。センスの欠片も感じないよ。まだガダジゾバビビとか適当な名前の方がマシなレベルだね。全然ダメダメだし、さっきメフィストが言ってたけど、魔物っぽくするんじゃないの? どう考えても魔物っぽくないよね。バカにしてるの? いや、バカにしてるんだよね? 名前だよ? これからその名前で呼ぶの? ボクは構わないけどね、メフィストがそれでいいんなら。第一光る人ってなに? ボクは人じゃないんですが。口うるさい怪物もどうかと思うよ。怪物っていうほど強くないし、口うるさいっておかしいでしょ。なんでそんなデメリットみたいな名前でいいと思ったの? おかしいよね?”


「ダメ出しすげぇえええええ!!」



ああ、発狂しかけた。まさかガダジゾバビビの名前よりネーミングセンスが自分にないとは思わなかった。


俺の頭じゃこれ以上いい名前が思い付かない。


こんなにボロクソに言われるとは、ショックを通り越して驚きしかない。



「どうしたのですか? メフィスト様。何かお困りごとですか?」



ナイスタイミングだ。サンドレアに名前を付けさせよう。


知力1の俺ではダメだ。サンドレアなら知力29もあるしいけるはずだ。


「なるほど。コア殿の名前を付けようと」



サンドレアも一緒に考えてくれるようで、先程出したイスに座って何かを考え始めた。



「そうなんだよ。俺の付けた名前にケチをつけるんでな、サンドレアならいい名前が付けれるんじゃないかと思ったんだよ」


“メフィストって頭がおかしいんだよ? 名前というものが何か全然わかってないよ”


「もういいだろ。お前をしゃべらせるとさっきみたいに止まらなくなったら困るから」



ふぅ、危ない危ない。まだ何かを言い足りなかったみたいで、不満そうな顔をしている。


俺にあれだけ精神的ダメージを与えておいてまだ足りないのか。名前ごときで俺を精神的に殺すつもりなの?



「ちなみに、メフィスト様はなんという名前を(さず)けられたのですか?」


“聞いてよ! 口うるさい怪物か、光る人だって! バカにしてると思うでしょ?”


「なるほど。考えさせられますね。その名前からは崇高(すうこう)な意思を感じます。正直羨ましいです。メフィスト様に名前を賜るなど」



崇高!? それはないだろう。適当だぞ? 適当に付けた名前が崇高なわけがない。



“どこが!? どこが崇高なの? おかしいと思わないの?”



ほら、コアも直ぐに食いついた。黙って聞くわけがないが。



「崇高です! まず、口うるさい怪物ですが、この口が――」


「やめろ! 俺が恥ずかしいわ!! ささ、俺の付けた名前はそのへんに置いて、一緒にコアの名前を考えようか」



黙って聞いていたら鳥肌が立ってきた。もういい、早く名前を決めよう。


「そうですね。名前、ですか」


「ああ、できるだけ魔物っぽくな」


「そうですね。では、メフィスト様の名前から取って、メストニウムというのはどうですか?」



メストニウムか。うん、なんか知らんが語呂はいい。それに俺のバカみたいな名前から取ったのもあって魔物っぽいじゃないか。



「いいんじゃない? 適当であり、意味もない。魔物っぽいし、俺の考えた名前よりか遥かにいいだろ? おい、どうだ? メストニウムで」


“まあいいよ。何でも良かったし、名前でボクがコアだとバレなきゃいいだけだったし。沢山の人間の前に行くんだからメフィストがフォローするんだよ”


「ん? コア殿……いや、今からはメストニウム殿ですか。どこかに行かれるのですか?」


「ああ、コイツはこれから俺の村まできて色々してもらう。俺も一々ダンジョンに戻ってこなくて良くなるしな」


“ダンジョンマスターが外に出て活動しているのなんか前代未聞だよ。まあ、色々仕方ないのは分かるけど”



まったくだ。全ては金がないから……いや、金がないだけじゃない。化け物みたいに強いやつがいるのが悪い。せめてレベルの上限があって100だったらよかったのに。


メストニウムに聞いたが、レベルに上限というやつは無いらしい。ということは際限無く上がるし、ステータスもどんどん上昇して怪物のようなふざけたやつが出てくるというわけだ。


一日だけ村から離れる許可は降りてる。なんか嫌だな縛られたみたいで。


さて、疲れたから眠ろう。



ーーーーーー


ーーーー


ーー



『マ・オウさん! じゃなかった、メフィストさん! 聞こえますか! マルチです! 聞こえたら返事をください!』



ん? マルチか。んん!?


なんでマルチがダンジョンに!!


勢いよく起き上がって辺りを見渡す。


……何もない。なんだ夢か。


まだ夜中だ。いや、朝方か? どちらにしろマルチが活動し始める時間帯だな。


こんな時間に起きても俺にはすることがない。もう一眠りしよう。



『聞こえませんか!!』


「うわっ! うるさい!」



なんだなんだ。頭に響くぞ。


あ、伝導魔石が反応してる。なんだよこの石。全然使いなれないな。


魔石に魔力を通すように念じる。



「どうやるんだったか、こうかぁ? おい、マルチか! なんだ。なんかあったか? 後、これからマ・オウって呼ぶなよマジで」


『あ、よかった繋がりましたか! 何やら見たこともない黒装束の集団に囲まれてるようで、何もしては来ないのですが、助けて欲しいんです』



黒装束? こんな夜中にか? 動物か何かを見間違えたんだろ、どうせ。



「知らんがな。何もしてこないのなら放っとけよ。一々助けになんかいけないぞ、そんな事で。お前、今どこにいるんだ?」


『森の中です。いや、明らかに殺意というのか敵意を感じるんです。もしかしたらどこかの国のスパイとか諜報員かも』



スパイってお前、映画かなにかかよ。そうそうお目にかかる事は無いぞ。



「なにその面白展開。こんな国にというのか島に諜報員やらスパイやら送っても仕方ないだろ。……まぁ、わかったよ行くよ、行けばいいんだろ? 大体こんな魔力飛ばしててそんな奴等にバレないのか?」


『尾行されたり、見られてる感じはあるんですが、多分かなり離れた位置にいるんじゃないかと思います。分からないですが』



丁度いい。策敵能力を嗅覚でできるようになったやつがいたな。


連れていくか。どうせマルチの勘違いだろうし。


安眠妨害されて目が覚めたし。

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