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火の連合国代表の一人~戦いは突然やってくる~⑤

俺もマスタールームへと戻った後、メストニウムに俺のステータスを表示させる。


―――――――――――――――――

なまえ:メフィスト・パンデモニウム

レベル:19

HP/最大HP:41/41

MP/最大MP:197/197

残金:15555円

力:1

防御:1

知:1

速さ:1(+1)

魔法耐性:15

魔法力:122

魔法回避:15

運:1

スキル一覧

適応力・レベルMAX

魔法一覧

重力・レベル2

武器一覧

なし

防具一覧

穴の空いた重力の下級ローブ・速さ補正1

動きやすい破れたジャージ(上)・速さ補正0

動きやすい焦げたジャージ(下)・速さ補正0

汚いパンツ

汚れた靴下

破れた高性能運動靴・速さ補正0

道具一覧

自宅の鍵1個

くたびれた財布1枚

携帯電話1個

伝導魔石1個

状態異常

汚い

臭い

称号

人間をダンジョンで飼った初の魔王

―――――――――――――――――



あ、レベル上がってる。相変わらずゴミのようなステータスは変わってない。力も1だし、運まで1のまま。


目に見えない魔法の力とMPだけが上がっていく。


そういえばいつの間にか肩の傷と痛みが消えてる。マスタールームに戻ってレベルが上がったからか。後でマルチにタダで直してもらおうと思ってたのに。


あ!! 金が……10万円もあった金が、15555円になってしまった。あのあと、風呂を沸かすのに燃料がいるから各部屋に置いたりとさらに金を使ったからな。


まあ、まだあるだけマシというものか。プラスに考えていこう。悪い方に考えると際限がない。


服が……俺の服が全部ボロボロになってる。


しかも補正値も軒並み0に。


また買わないといけないのか。


今度はもっといい装備にしよう。



「メストニウム。装備品が欲しいんだけど」



確か前回は200円ぐらいな物だったはずだ。今度はもっと良いものにしよう。


……500円ぐらいの。


メストニウムに500円の装備品を表示してもらう。



木の装備+2・兜・鎧・具足・小手・各1個


大きな木の盾


鉄の額当て


各属性の下級ローブ+2・火・土・植物・風・重力・水・各1個


各属性の下級マント・火・土・植物・風・重力・水・各1個


各属性の手袋・火・土・植物・風・重力・水・各1個


戦いのポロシャツ


変なジーンズ


間違いのアースシューズ


固いスカート


幻惑のカットソー


力のパンプス


変態の下着


後悔の靴下



うーん、相変わらず不明な商品ばかりだな。


俺ってパンプス装備できるの? できたらできたで色々とまずいだろ? 逆にスカートでも装備してやろうか。



「これってローブの上にマント付けれるの?」


“そりゃできるでしょ。かなりの変人にはなるだろうけどね”


「じゃあさ、ローブにローブ装備品してマント3枚ぐらい付けても大丈夫なのか!」


“そうだよ? 今更なに? メフィストが身に付けれるだけ装備できるのなんか当たり前だよね?”



ん?


ああ、そうか。


こりゃゲームのやりすぎだな。一つしか装備できないとか、指輪は2つまでとか。


現実はそんなことはない。帽子の上に兜装備してさらにターバンも巻ける。指輪だって一つの指に5個ぐらいは装備できるだろう。


まあ、そんなことしたら動けなくなるが。


もっと頭を柔らかくして強くならなきゃいけないな。



「なんかプラスが付いてるのがあるけど?」


“ああ、補正値の事だよ。今までメフィストは重力のローブで速さ補正値+5だったと思うけど、さらに速さ補正に+2が追加されるんだ”



なるほど。ローブが二枚貰えるのかと思った。


ただ、身につけてわかったことは、ローブウザイ。


裾はヒラヒラしてるし、袖が太いから汁物食べる時に付くし。


今回はマントにしよう。


ジャージも大変な事になってるから戦いのポロシャツと変なジーンズだな。


靴はパンプス……じゃなかった間違いのアースシューズで。


下着と靴下は普通のやつでいいや。変態とか付いてるし。


2個3個と重ねて着けるのはまた今度にしよう。お金がもったいない。


全部で2020円を渡す。


また状態異常で汚いと臭いが発生しているので風呂に入った後に着替えよう。


風呂を沸かしながら、もう一度ステータスを確認する。


……人間をダンジョンで飼った初の魔王。


なんだこりゃ。


飼うってなんだよ。



「なにこの称号、いらないんですけど」


“さあ? ボクが付けてるわけじゃないからね”


「いや、お前が付けてるだろ。臭いとか汚いとか」


“だから違うって。それはステータスだから紛れもない事実だよ”



村長では無くなって変な称号を手にいれてしまったようだ。いらね。


風呂に入りながらどうやって村を作っていくか考える。


まずは俺から自立してもらわないと困る。いつまでも食費を捻出していく訳にもいかない。


自分達で食っていけるようになんか考えないと。


老人と子供とその親しかいないからな。畑仕事とかは難しいか。じゃあ動物の飼育しかないか。他に食糧を作り出す方法は知らないし。


動物が逃げ出さないように柵を作って、なんか食える動物をオスメス放り込んで増やしていこう。


……上手くいくか知らんが。


あ、のぼせてきた。


風呂を出て、新しい服に身を包んだ。


さて、今の妄想をメストニウムにいくらになるか聞くか。



――――――――


――――――


――――



完成した!


我ながら完璧ではないか!


まずは飼育部屋を一つ作った。部屋が柵替わりになるので策代が浮いた。鍵のない扉をつけたら部屋の完成。


何の動物がいいかわからなかったのでマルチを呼んで聞くとマーパという動物がいいのではないかという意見を取り入れて、メストニウムに頼んで出してみた。


コレがかなり可愛い生き物で元の世界で言うならキウイのような体つき。ただ大きい。背の高さは大人の人間よりも小さいぐらいなので150ぐらいか。横に丸々と太っているので体重は人間の4倍近くあるだろう。


それが6匹も部屋をウロウロしている。


……飼育できるのか?



「マーパ可愛いですよね! 丸々してて! 毛もふさふさなんですよ?」



知らんがな。


……本当に飼育できるんだろうな? 飼育しやすいんだろうな? 女子供に老人でも飼育大丈夫なんだろうな?


色々不安になってきた。マルチが「え? 僕がただ見たかっただけですよー!」とか言いそうで非常に怖い。


この動物1匹300円もしたから冗談では済まされないぞ?



「マルチ、お前世話係な」


「え? 僕がですか? 嫌です!」



即答だと!?



「ま、魔王ということを知って反抗するのはマルチぐらいだよ」



自分の事を魔王というと、まだ恥ずかしい。声が上ずってしまった。



「あはは! マ・オウさんですか? それ、言ったダメって言ってませんでした?」


「違うよ! もういい疲れた。飼育係決定ね。こんなに可愛い動物に囲まれて羨ましいなー」


「断ります!」


「嫌なんだったら他の奴にやらせればいいんだよ。そうだ、そうしよう。マルチは飼育係というとかリーダーになってくれ。そして何か指示があるときはマルチが――」


「嫌です!!」



強情な奴だ。って何の交渉もしてなかった。一方的に押し付けても可愛そうだな。


うーむ。マルチって何をもらったら喜ぶんだ?



「そうだな。お金をあげよう」


「やります!」



アホだ。


コイツはアホだ。間違いない。


今度からマルチに何か頼むときはお金をあげよう。


……可哀想だからやめてあげようか。



「そうか、やってくれるか。さっき話してた定期的に払う金額に上乗せするから。金額についてはまた後で話そうか」


「えへへ! お金で解決って一番スッキリしますよね!」



何を言うとるんだコイツは。


金に汚いおっさんみたいな考え方になってるじゃないか。


……マルチもお金で苦労したんだな。可哀想に。


これで村人の簡単な仕事も用意できた。


マルチは嬉しそうに自分の部屋へ戻っていく。本当に何よりも金が好きなんだな。


でも前にステータス見たとき、あまり金を持ってなかったな。何に使ってるんだろ。


……詮索はしないでおくか。マズイ事かもしれないし。


これからどうなることやら。


飼育部屋からマスタールームへ戻って今後を考えよう。



「メストニウム。サンドレアがダンジョンに近づいたら言ってくれ。せっかく集めた村人を全員殺しかねん」


“サンドレアであるという特定はできないけど、人が近づいてきたら知らせるよ”


「あ、特定できないの?」


“うん。それにわかってるだろうけど策敵できないような魔法、または装備やスキルを使われたらお手上げだからね”



ああ、そうか。そんな魔法があるんだったな。


まあ、わざわざそんな魔法を使ってきたりはしないだろうから大丈夫だろうが。


しかし、どこに行ったんだろう?


まあ、そのうち戻ってくるか。



「そうだ。ダンジョン内にいる村人達全員へ一度に連絡を取りたい場合、いい方法ってない?」


“それはボクの基本機能だから。ボクに向かって”伝えたい事を言えばいいよ”


「わお! 便利機能搭載型球体だ!」


“殴るよ?”


「調子に乗りました」



コアに殴られるとかあるの? 初めて知ったわ。


しかし、便利な機能だ。皆に飯を用意してやらないといけないし、そんなときに突然部屋に飯が出てきたらビックリするしな。



――――――――


――――――


――――



ダンジョン警護の意味も込めた、毎日の習慣になりつつある巡回をしていた。


あれから3日も経って平和な日々が続き、あの命が失われそうな殺伐とした戦闘が嘘のような気さえしている。


皆ともどんどん仲良くなっている気がする。


そんな時、コツーンっと何かが頭に直撃した。


ん?


んん?



「いってぇ!!」


「化け物!! 魔王なんか死んじゃえ!!」



そして石を投げてくる。


子供だ。かなり小さな子供だ。5~6歳くらいの男の子だろう。


痛っ! 痛い痛い!!



「ちょ……やめ、やめなさい。あ、痛い!」



目に当たったから!


HPが削られていく。ああ、俺はこのまま死ぬのか……。



「ま、魔王様。うちの子がとんだご無礼を……子供に罪はありません! どうか罰はいかようにもこの私が受けますので……すみませんすみません」



その子の母親だろう女性が子供を抱きかかえると俺にひれ伏すように謝り始めた。


死ぬんじゃないかというぐらい顔から血の気が引いていて真っ青だ。唇が紫色になっていて怖い。



「あ、いやいや子供のやる事ですから別に構いません。後、魔王様はちょっとやめませんか? いや、事実なんですけどね? ちょっとまだ呼ばれなれてないので」


「すみませんすみません。申し訳ございません申し訳ございません」



皆とどんどん仲良くなっている気がするのは撤回しよう。全然仲良くなっていないな。むしろ離れている。どんどん怖がられている気さえする。


はぁ……。このまま村長としてやっていける自信がない。


痛たたた。


あ、血が出てる。うわぁ。こりゃ酷い。後で回復しとこう。



「人に向けて石を投げたら……ってもう居ねぇ!」



親子共々、謝ったらさっさと引き上げたらしい。いや、いいけどね。別に。何か独り言を喋ってる変なおっさんになってた。


あーあ、マルチは自分の事だけだから村人の事も俺の事も考えてはくれないし、魔物は人間を憎んでるからなぁ。村人達も表には出さないがかなりの嫌悪感が俺にあるようだし。


クソ! イケメンに産まれたかったぜ。イケメンならここにいる村人達の印象も良くなっただろうに。



“メフィスト! 人間だ! 人間が近づいてくる!”



俺のところまでわざわざ急いで来たのだろう。


メストニウムが慌てた様子で飛んできた。



「ああ、サンドレアか。ヤバイなぁ。俺が村人に嫌われてる状態で帰ってきて欲しくなかったなぁ。せめて普通に喋れる状態になってからが――」


“違う!”


「は?」


“大勢の人間だ! 180人はいる! 真っ直ぐこっちに向かって来てる! 進行速度はかなり遅い。警戒しているのか疲弊しているのか、怪我人が多いのかは分からないけど歩く速度の5分の1以下の速度でこっちに来てる!”



なんだと!!


マズイ! 非常にマズイ!


ここで戦闘するのか!?


こんなダンジョンですらない居住区と化した地下で?


ただ、進行速度が遅いのは助かる。地上で迎撃するべきか。いや、そうだな。どちらにしろ村人のいるここで戦う訳にはいかんな。


地上戦だ。


相手の戦意を削ぐだけでいいんだ。


まだ敵と決まった訳じゃないし、敵であれば迎撃。先手必勝。全戦力を連れて出よう。


しかも180人だと?


もし戦闘になるとしたら相手は軍だ。


この場所に真っ直ぐ向かってきているということは、間違いなくここを知っているもの、別れた村人達が必ず何人か、もしくは全員いるのだろう。


数人が裏切って街の軍を連れて討伐に来た可能性が濃厚だよな。クソ! どうすりゃいいんだ。


敵はどれだけ強いんだ? 戦力が気になる。敵の武器は? 魔法が使える者が敵にいるのか……。



「メフィストさん、どうしたんですか?」



どうすることもできない無力感に頭を悩ましていると、いつの間にかマルチが隣にきていた。


最近まともに話してるのってマルチしかいないじゃないか。



「ああ、マルチか。今ちょっと忙しい」


「僕のお給料について話したいんですけど!」


「……聞いてました? マルチさん。ちょっと取り込み中だから後にしてくれ」


「毎日そればっかりじゃないですか~。どうするんですか?」



い、いかん。こんなところで面倒だからと後回しにしたツケが回ってきやがった。



「本当に今日はダメ。今から出掛けるから」


「え!? 外に行くんですか? どこいきます? ちょっと頼みたい事があるんですけど」


「ダメだ! 今日はダメだ。ん? そうかマルチか……ちょうどいいや。……今から言うことは他の村人には絶対に内緒だ。いいな」


「はい? なんですか?」


「今、何者かがこのダンジョンに向かってきている」


「へぇ~村人が増えるんですか? それは確かに忙しくなりますね」



何を呑気な事を……。いや、マルチはいつも呑気な奴だったわ。いまだに俺の事を魔王とわかってないっぽいし。


このダンジョンに人間が来るというのがどういう事か理解できないんだろう。



「違う違う。いや、そうかも知れんが。まだ確定してない憶測だし。今、こっちに向かってきているのが敵かもしれない。その場合、俺を含めて仲間の魔物達も怪我をするだろう。俺たちが戻ったら治療は任せるぞ?」


「あ、はい! 治療の準備ですね? お仕事お仕事~」



鼻歌を歌いながらてけてけーっと自分の部屋に戻っていった。


……事の重大さがわかっとるのかね。まったく。


迎え撃つ……かどうかはわからないが、とりあえずダンジョンの全魔物で出陣する。


何者だ? やばかったら逃げよ。


メストニウムも一緒につれてきたので、敵の方向は問題なくわかる。


変異種・顔狼だけダンジョンの見張りに入り口に置いていく。


メストニウムに案内をさせ、大勢の何かへ向けて歩き始めた。


それらに近づく頃には戦略をあれこれ考えていたが、どれも多勢に無勢、180人をこの少ない手駒で葬る策などあろうはずがない。



“近いよ!”



というメストニウムの声に魔物に指示を出す。


まず、全員をその場にとどめる。


策はそれだけだ。


後は俺がソイツらが何者か目視で確認して、もしバレたら申し訳ないが魔物達を盾にしながら逃げる。


自らにかなり少な目の重力の魔法を使い、体を軽くして足音を消しながら進む。


木や草の影から顔を出して前方の状況を確認しながら。


まだ奴らの足音も聞こえてこない。


ただ、メストニウムの情報によると、何故かかなりの低速で進んでいるとの事だ。何かある。


気配を感じられないようにゆっくり近づいているのかもしれない。


用心に越したことはない。こちらもゆっくり進んでその顔を拝んでやる!

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