旦那とファッション
ウチの旦那は少しおかしい。本人は「今流行の理系男子だから」と誤魔化しているが、仮に理系男子だとしてもその中でもかなり特殊な人間だと思う。
……あと、もう男子と言う年ではない。世間から見れば中年のオジサンだ。
旦那とわたしは所謂幼馴染みで幼稚園からの仲だ。しかしながら、娘を儲けて結婚十年目を迎える現在においてもイマイチ理解しきれていない。
◇◇◇◇
旦那は服装に無頓着である。ファッションに興味がない。まあ、わたしもどちらかというと女性にしては気にしない方だが、旦那はそれ以上だ。
オジサンのファッションの云えば、野暮ったいイメージがある。
旦那はファッションを気にしない・・・を通り越してガン無視である。
本人の意思としては周囲に変に思われない恰好なら、別に良いんじゃない?というスタンスだ。
けれど、多分変に思われているから。手遅れだと思われる。
旦那の服装は奇抜と言う訳ではないが、適当に全く同じモノを何着もまとめ買いしてくる。それを着回しているから、ちゃんと毎日着替えていても分からない。
傍から見ればいつも同じ服しか着ていない様に見える。
どう考えても、近所の方々に不審に思われている。
遠まわしに言われてたこともある。言い訳すると「大変ね」と言われたが、納得はしてもらっていないと思う。
旦那はやめてくれと言っても、変えてくれない。
「体型が変わったらどうするの?」
「高校の時から体重変わっていないから大丈夫」
旦那は中年太りになる気配がない。どちらかというと、ヒョロッとしている優男だ。ウエストもほぼ変わっていないらしい。
一方で、旦那は勘違いした外国人が着ている様な変な日本語Tシャツを時々買っていくる。ネタとしては面白いが、実際着ていたら、頭の可笑しい人である。
旦那が見つけて来るのは書道家が書いたキチンとした物じゃなく、チープな物である。一体どこで見つけてるのか、謎である。
その一例を挙げてみよう。
『人生崖っぷち』呑気な生活してるように見えるのに。
『似非外国人』アンタ日本人だろ。
『変態』確かにこんなの着ている人は変態である。
『女体山』下ネタっぽい名前だが、実在する山の名前らしい。
『男体山』前の山の対になる実在の山の名前。
日本語を理解していない外国人ならともかく、日本人がこんなの着ていたら、正気を疑われるレベルである。
実際、旦那が変日本語Tシャツを着て行って上司に注意されたらしい。上にYシャツを着ていたから気にしていなかったが、バッチリ透けていたらしい。・・・良く考えたら当然である。
その時に着ていたTシャツの文字は『働いたら負け』
・・・そりゃ、上司も小言の一つも言いたくなるであろう。
だが、それ以来着る機会が激減しているので変Tシャツは溜まる一方である。
しかも、チープな色落ちしやすいのが難点で更に嫌だ。
それをどう活用しているかと言えば、娘が旦那のTシャツを寝巻代わりにしている。嫌がっている訳でもなく、むしろ嬉々として着ている。漢字が可愛らしい?そうだ。近頃の小学生のセンスは分からない。
お気に入りの文字は『一撃必殺』 何を攻撃する気だ?
我が娘は旦那と共に一体どこへ行こうとしているのだろうか?