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第2話
遅くなりました。現タイトル初投稿です。
≪正暦124万2245年3月21日 正界≫
喧騒が聞こえる。
雫が目を覚ますと、そこは見慣れない街中だった。
服装は囚人服のままであったが、新品同様になっていた。
彼女は無神論者ではあったが、宗教の知識が無いわけではなかった。“死後の世界”。その単語が即座に頭に浮かんだのは必然であった。
「私は……死んだ、の?」
実感がわかない。それでも体に傷も、痛みもないことは、自身に異変が起きたことを物語っていた。
――――――私は、死んだ。
――――――牢獄の中で。
――――――死んで私は、自由になった……?
「……ははっ……」
笑いがこみあげてくる。
私は自由だ。
私は、何物にも縛られない。
何物も、私を縛ることはできない。
自由。ソリダリエタに存在しなかった物。
雫はこの世界で自由に生きることを決意した。
彼女はまだ知らなかった。過去とは、決して決別することはできないということを――――――
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