正妃様代理の道一日目
さて、正妃様代理の話は受けたけど、まずは状況と詳しい流れを聞かないと、そこで説明をお願いした所かなりめんどくさい事らしい。
まずこのクレアソンでは必ず一夫多妻をしないといけないわけではないらしいく、現王夫婦は王家では珍しく恋愛結婚で側室を持っていない、王子様もそんな両親を見て育ち、自分も恋愛結婚をしたいと思ってはいたらしい、周りの家臣達は王家との繋がりを持ちたい者と、次代へのとの思いからの者と半々らしく幼いころから縁談の話はあったが、当時はまだ幼く大人になってからと誤魔化していたものの、肝心の王子様が好きな人を見つけられないまま成長してしまい、あと2年で成人となった年に自分の娘を推薦していた貴族達が行儀見習いを言い訳に後宮に令嬢達を無理やり送り、王宮でも花嫁を見つける切っ掛けになればと花嫁候補として迎えたが……その殆どが冒頭で聞いた肉食獣系令嬢達だったらしく醜い争いと必要以上の行動で大人しい令嬢たちは全員、後宮を後にし・・今残ってるのは
「肉食獣系令嬢方だけと言う事ですね。もう一つ質問ですが……たとえ正妃が決まったとして、側室やあわよくば王子様の子供を先に、自分がと思わないのでしょうか?」
これは最初に話を聞いて思ったことだった、良く言えば行動力のありすぎる令嬢たちの事だ絶対やりかねない。それに、正妃の座だって諦めてないだろうしね。その確信はクルス達も予測済みだったようで。
「それはご安心ください。正式に婚姻を終えた後は1年以上たたないと側室は迎えられません。お子様につきましても、正妃・側室と正式な婚姻を結んでいない場合は、確実に王子の子でも認められないのです。もちろん結婚後はこちらの要望がない限り無理やり側室を持たせようとする事は禁じられています。ただ正妃の座を狙うのを諦めているとは思えませんが……」
聞く限り、王家に邪すぎる行動を制限する為のようだなと思うけど、問題は成人までの一年無事に過ごせるかだよな。これはかなり綿密に計画立てないと、でも私に出来るのかな?やるって言った以上は逃げれないよな、あっちも必至だろうし。
「これはあくまで大まかな流れになります。これからホタル殿にはこの国の知識に作法など勉強して頂き、1月後には正妃様になる令嬢として後宮に入っていただきます。では王子をお呼びしますので、この後は王子を迎えてから続きを話しましょう」
(ほうほう、噂の王子様にご対面ですね~楽しみだな、令嬢達が肉食獣になるくらいの王子様だものな、どんだけの美形なんだろ)
楽しそうに王子様が来るのを待つ中、ノックの音にドアに視線を向けるとそこにはミリアさんではない別のメイドさんと美形がたっていた。
黒髪に茶の瞳の可愛いメイドさんに、月光を色にした様な金色の髪に透き通る様な青い瞳で細見だが均斉のとれた体系の美形さん。
三人はやってきた美形に礼をとり、美形さんをソファーにと勧めクルスさんはお茶の用意を可愛いメイドさん(フィアさんと言うらしい)に頼むと、美形さんが座るソファーの横にある椅子に腰かけた。
「殿下、この方が異世界よりお越しいただいた、ホタル・シラサワ殿です。今回の仕事をお受けして頂きました。ホタル殿こちらにおわしますのが、クレアソン国の王子であるリーリオ殿下です」
紹介を受けて、蛍はリーリオに向かって会釈しましたが、リーリオは無表情で蛍を見るだけの姿に、蛍はにこっと愛想笑いを浮かべがらクルスの方に視線を向け。
「この国の王子様は挨拶も出来ないのでしょうか?状況には同情しますが礼儀は最低限のマナーです、私は臣下ではありませんし、それすら出来ない方と仕事など出来ませんので、お仕事のお話しは無かったことにさせてください」
蛍の様子にクルスは青ざめてしまった。一国の王子に対する口の聞き方は最悪な場合をも想像させたが、異世界の人間の蛍から見たら間違った事を言ってるつもりはなかった。
そんな蛍の様子を見ていたリーリオはいきなり立ち上がると深々と蛍に頭を下げた。
「いきなり失礼なことをして申し訳ない。必要以上に警戒してしまった……改めてこれからよろしく頼む」