後宮での生活 25
時間かかってしまいましたが、読んでもらえたら嬉しいです。
「それで、王妃様にすべてお見通しだったの、そこで私が次期正妃としてその侍女に処罰を自分で決めて言い渡すことになっているの」
蛍は全てを話し終え、リーリオに視線を向けたが、無言で話を聞いていたリーリオは大きなため息を吐いた。
「処罰はともかく、俺はもっと早い段階で教えて欲しかったな、さすがにへこむ」
「ごめんね、でもこれは後宮内のもめ事だからあまり外には出したくなかったの、たとえリーリオにでも、それは私が後宮に入ってからずっと心に決めていたことなの、後宮のもめ事を簡単に相談したり頼ったりしては、決していい結果にならないと思って」
後宮に入って、王妃様や皆の仕事を見ていて思ったこと、ここは王や王子の為の場所かもしれないけど、そこを纏めるのは王妃様ひいては次期正妃だって。
「蛍の気持ちは良くわかった、でもなるだけ事前に話してくれ、そうじゃないと最悪な場合動くのが遅れるからな、それで処罰はもう決めたのか?」
「うん、これからそうする、実はまだ決まってないの、自分の中で中々纏まらなくて、最終的には王妃様や女官帳に確認をとってからになるけど」
蛍とて元の世界で仕事に従事していく中で、注意することはあっても誰かに処罰を与えることはなかった、だからこそ自分の考える物が正しいのか不安で仕方がなった。
ぎゅっと自分の手を握り締めながらうつむく蛍に、リーリオは静に話し始めた。
「俺自身・・・最初に部下に処罰を与えた時、最後までこれで良かったのだろうかと悩んだ、それでも自分で決めた事だからな、アドバイスになれば良いいんだ が、処罰を与えるにしても処罰を受ける者がどう反省しその処罰の意味をどう理解するかも考えて処罰を与えるようにしている、そうじゃないと罰の意味がない と思うんだ」
(反省のない罰は意味がない・・・たしかにそうだよね、ただ処罰を与えるだけだと意味がないって事だよね、じゃあどんな罰なら反省を促せるのかな・・・処罰を通して分かれば)
蛍はリーリオの言葉に少し先が見えてきたような気がしたが、それでも答えがしっかりと見えずにいた、その様子にリーリオは蛍の頭を軽くなで始めた。
蛍は驚きの表情を浮かべたが、リーリオは気にする事なく撫で続けた。
「あまり悩みすぎても、答えが出ない所か煮詰まってしまうぞ、母上は蛍が自分で処罰を考えて言い渡すように言っているけど、誰かと一緒に考えてはいけないとは言ってないだろ」
「ありがとう、リーリオのアドバイスで少し形が見えたんだけど、それで良いのか悩んじゃって、リーリオならどう判断するかな、この処罰を」
リーリオのアドバイスを受けて考えた内容を伝えると、リーリオは撫でるのを止めて、口元に手を当てながら思案を浮かべるような表情を浮かべ、その様子を心配そうに蛍は見つめた。
「良いと思う、ただもう少し内容を煮詰めた方が良いかもしれないな」
その言葉に蛍はそのまま処罰の内容をリーリオと一緒に考え始めた、互いに意見を言い合いながら決めて行った。
最終的に決めた内容は王妃や女官長の判断も仰ぐ事にはなるとしても、現時点での自分が納得できる内容になった。
「ありがとう、リーリオのおかげで自分でも納得出来る物が出来たわ。でも誰かの上にたつって本当に大変だね、改めて思う」
蛍の言葉に、リーリオは嬉しそうに笑みを浮かべながら立ち上がり、東屋の手すりに腰かけ隠れて覗いている令嬢達に視線を向けた。
「その気持ちを覗きをしている者達にもわかって欲しいな」
令嬢達の数に若干ひきつるような表情を浮かべながら話すリーリオに蛍は静かに遠くを見るような仕草をした。
(覗魔・・・増えたんだね)
誰かに注意するのだって悩みますので処罰となればもっと大変だと思いますね。