後宮での生活 19
今回も侍女の服でミリアと一緒に、クルスさんの執務室に行くと、そこは一面・・紙の山(エベレストと名付けたい)だった。
そして、その横で紙の山を燃やそうとするクルスさん(ニコニコしている)を必死に止めに入る、リーリオとルーカスにサフィロさん・・
そんなカオス?な執務室の状態に、すぐさま周り右をして帰ろうとしたが、蒼白(+涙目)のリーリオに縋り付かれ逃げる事が出来なかった。
帰らせてと目で訴えるも、涙目で助けてくれと懇願する姿に、どうしても大型のわんこの姿に見えてしまい、観念するしかなかった。
『で、どうしてこんなカオスな状況になっているの?』
『いや、それが・・あそこにあるのはお前が提案した行儀見習いの書簡なんだ』
『こんなに来ていたの?でも何でそれを燃やそうとするの、クルスさんが?』
小声でこそこそ話していた蛍たちに、クルスが笑みを浮かべながら(片手には依然燃やす為のアイテムを、持ったままで)
「それはですね、行儀見習いの書簡以外の物が大量に来ているからですよ、主に私宛にね」
怖いです、目が・・目が全く笑っていません~~~
大体の状況はクルスの言葉と態度(依然として燃やそうとしている)で判ったのは判ったが、クルスを止める事が出来るだろうか?
無理です、魔王様も真っ青な状況に太刀打ち出来る勇者なんているわけがない・・
でも、そんな事を言っていても仕方がない・・
「よ、良ければ見せて頂けますか?」
恐る恐る提案すると、クルスは仕方がないですねと言いながら(目は全く笑っていない)
書簡をいくつか手渡した。
その書簡の中身を見た瞬間、蛍は納得した表情を浮かべるしかなかった。
「お見合い用の肖像画(小)と釣書ですか・・・」
初めてみる、お見合いの釣書にしげしげと眺めていたら、その肖像画の女性に見覚えがあった・・
少し前に、執務室の近くで張り付いていて、物凄い視線を送っていた女性だった。
うわ~あの令嬢だ、まだ諦めてなかったんだ、それは加えて自分宛てと思われる大量のお見合いの書簡・・燃やしたくなるのかもしれない・・
「この紙の山は、全部行儀見習いの書簡と、そのクルスさんのお見合いの書簡の山と言う事ですか?」
「いいえ、一部はそうですが他は蛍さんへの書簡になります」
私の?と驚くと、見せてくれた書簡は匿名希望の呪いの手紙の様なものと・・
「男性の肖像画付きの書簡ですか?えっ、何でまた?」
「表向きは自分の息子を次期正妃である蛍さんの近衛騎士に推薦したいからですよ、でも本当の目的は自分の息子に誘惑させ愛人にでもなれば、裏から色々と利用できると思って居るのでしょうね」
クルスに変わり、苦虫をすり潰したような表情を浮かべながら説明してくれたサフィロに、蛍は苦笑いを浮かべながら、ぐしゃっと書簡を握りつぶした。
「面倒だわ、貴族や王家の繋がりとかしがらみとか色々な事が在ると思うけど、正直面倒くさい・・・たしかに顔は良いけど中身は軽そうね・・・それに後宮は原則男性の入室は許可なくは認められてない、それに剣の腕が良いとは到底思えないけど、ルーカス・・貴方は知っている?」
「面識はありませんが、噂と名前だけは・・決して素行の良い人物とは聞いておりません、剣の腕前も・・あまり」
今回も侍女の服でミリアと一緒に、クルスさんの執務室に行くと、そこは一面……紙の山(エベレストと名付けたい)だった。
そして、その横で紙の山を燃やそうとするクルスさん(ニコニコしている)を必死に止めに入る、リーリオとルーカスにサフィロさん……
そんなカオス? な執務室の状態に、すぐさま周り右をして帰ろうとしたが、蒼白(+涙目)のリーリオに縋り付かれ逃げる事が出来なかった。
帰らせてと目で訴えるも、涙目で助けてくれと懇願する姿に、どうしても大型のわんこの姿に見えてしまい、観念するしかなかった。
『で、どうしてこんなカオスな状況になっているの? 』
『いや、それが……あそこにあるのはお前が提案した行儀見習いの書簡なんだ』
『こんなに来ていたの? でも何でそれを燃やそうとするの、クルスさんが? 』
小声でこそこそ話していた蛍たちに、クルスが笑みを浮かべながら(片手には依然燃やす為のアイテムを、持ったままで)
「それはですね、行儀見習いの書簡以外の物が大量に来ているからですよ、主に私宛にね」
怖いです、目が……目が全く笑っていません~~~
大体の状況はクルスの言葉と態度(依然として燃やそうとしている)で判ったのは判ったが、クルスを止める事が出来るだろうか?
無理です、魔王様も真っ青な状況に太刀打ち出来る勇者なんているわけがない……
でも、そんな事を言っていても仕方がない……
「よ、良ければ見せて頂けますか? 」
恐る恐る提案すると、クルスは仕方がないですねと言いながら(目は全く笑っていない)
書簡をいくつか手渡した。
その書簡の中身を見た瞬間、蛍は納得した表情を浮かべるしかなかった。
「お見合い用の肖像画(小)と釣書ですか……」
初めてみるお見合いの釣書に、しげしげと眺めていたら、その肖像画の女性に見覚えがあった……
少し前に、執務室の近くで張り付いていて、物凄い視線を送っていた女性だった。
うわ~あの令嬢だ、まだ諦めてなかったんだ、それは加えて自分宛てと思われる大量のお見合いの書簡……燃やしたくなるのかもしれない……
「この紙の山は、全部行儀見習いの書簡と、そのクルスさんのお見合いの書簡の山と言う事ですか? 」
「いいえ、一部はそうですが他は蛍殿への書簡になります」
私が驚くと、見せてくれた書簡は匿名希望の呪いの手紙の様なものと……
「男性の肖像画付きの書簡ですか? えっ、何でまた? 」
「表向きは自分の息子を次期正妃である蛍さんの近衛騎士に推薦したいからですよ、でも本当の目的は自分の息子に誘惑させ愛人にでもなれば、裏から色々と利用できると思って居るのでしょうね」
クルスに変わり、苦虫をすり潰したような表情を浮かべながら説明してくれたサフィロに、蛍は苦笑いを浮かべながら、ぐしゃっと書簡を握りつぶした。
「面倒だわ、貴族や王家の繋がりとかしがらみとか色々な事が在ると思うけど、正直面倒くさい……たしかに顔は良いけど中身は軽そうね……それに後宮は原則男性の入室は許可なくは認められてない、それに剣の腕が良いとは到底思えないけど、ルーカス……貴方は知っている?」
「面識はありませんが、噂と名前だけは……決して素行の良い人物とは聞いておりません、剣の腕前も……あまり」
ルーカスの言葉に蛍は苦笑しながらも、いまだに魔王の様な笑みを浮かべるクルスに近づき、燃やす為のアイテム(松明)を取り上げた。
「燃やしたいお気持ちは判りますが、まずはすべて分けてしまいましょう、必要な書簡とゴミを」
本音と建前が逆になっていたが、誰も突っ込むことはなく……もくもくと分別していった。
結果、少し大きめの山と小さ目の山が四つ出来上がった。
内訳は大きな山(行儀見習い募集の書簡)小さな山(クルス達の見合い・蛍への呪いの手紙もどき・近衛の推薦状)
「まず、行儀見習いの書簡は後で選別するのであちらに、後のゴミはどうしましょうか?」
「燃やしましょう、ゴミですし」
クルスの清々しいまでの笑顔に皆何も言えずに頷くしか出来なかった……が蛍の元に来ていた近衛騎士の推薦状だけは今後の事を考えて焼却処分は免れたのだった。
「どうするの、その貴族のお坊ちゃま達は?」
「まずは訓練を受けて頂き、ご自身の体で体験して頂こうと思いまして、近衛騎士の大変さを存分に、その中で見込みのあるものが居ましたら、それはそれで使えますので」
柔和な笑みを浮かべながら、さらっと怖い事を言うルーカスに、蛍は心の中で……クルスさんに染まってきたかもしれないと思うのだった。
そして、それ以外のゴミ行きとなった書簡はすべてサフィロの魔法で焼却処分となった。