後宮での生活 2
食事を終え、後は予定も入って居なかったので、そのままお風呂に入り、本を読みながらのいつも通り就寝となった、ミリア達も自分たちの部屋に戻りそのまま何事もなく一日が終わった。
次の日も朝から予定がぎっちりらしい、正妃と側室ではもちろんしきたりは違えど、いろいろ大変らしいとミリア達から聞いた瞬間、うわめんどくさそうって呟いたら、ミリアにお説教されました……怖かった……
心の中の怒らせたら怖い人リストの上位に載せたのは言うまでもなかった。
(ちなみに一位はもちろんクルスさん)
ミリアのお説教を終えた後、今日の日程を確認するとこの後、リーリオと一緒に国王陛下、王妃様に謁見し正式に正妃なる事を伝え、その際にともに謁見する大臣方にも紹介となるらしい。
まずリーリオが後宮に迎えに来て、共に謁見の間に向かう事になるので、正装しないと行けない、つまりまた朝からコルセット地獄……
化粧をしてもらい、薄いピンクの生地を花弁のように幾重にも重ねたドレスに着替え、髪を結い上げ、緊張を和らげられる紅茶を飲みながら待っていると、リーリオが正装の装いでやってきた。
「じゃあ、行きますか~」
頑張るぞ~と腕を高く上げながら、リーリオと一緒に王宮に向かう通路をミリア・ルークスを引き連れて歩いていると、いろいろな場所から見られている気配を感じた。
リーリオには熱い視線が向けられている(気づいているのか、若干青くなっている)私の方には嫌な視線しか感じない……もうちょっとオブラードに包もうよ、横にリーリオがいるんだし
その視線を肌に感じながら私達は謁見の間に着き、ルークスとミリアは脇に控え、国王陛下、王妃様の前でリーリオと共に挨拶を交わし、大臣達との挨拶もまた滞りなく済まされた。
これで正式に私が正妃になる事を公式の場で公表した事になるけど、この場にいる人達の中には自分の娘を正妃にと望んでいる人もいる(気づいてないとは思ってるかもしれないが面白くない表情をしている者や嫌な視線を感じる)
「そなたが、セレジェイラ・アベリアか、まだ未熟者な我が息子だが頼むぞ……リーリオよ、そなたも未来の伴侶を守るのだぞ」
「はい、この命に代えましても、側で支えて参ります」
王様の言葉に深々と頭をさげながらそう答え、リーリオもまた王様の言葉に深く頷いていた。
そして王妃様からもお言葉を頂き、そのまま私たちは退室した、その後謁見の間では色々ややこしい話がさえていたが、私達は知る由もなかった。
~王妃side~
蛍ちゃんと、リオが退室してすぐに騒ぎだしてきた、もちろん想定済みだからこそささっと退室して貰ったけど、本当に煩い人たちね。
「何故、我が娘ではなくあの様などこの馬の骨とも判らない娘を正妃にとお許しになったのですか、陛下」
バールド伯爵は相変わらずね……よく吠える事、まあ皆そうよね、自分の娘が正妃か側室になれば権力の恩恵を受けれると思ってますものね。
今だ騒ぐバールド伯爵の言葉に周りの者達も一緒に騒いでいた(騒いでいるのは、今後宮に残っている花嫁候補達の父親ばかり)騒ぐ者達をしり目に王はただ静かに聞いているだけだった。
王が何も言わない事に焦りをみせてきたのか、矛先が王妃に向かった。
「王妃様、王妃様はどうお考えなのですが、私達の娘達が候補として上がってからリーリオ殿下からのお渡りもなく、いきなり見知らぬ娘を連れてきて、正妃など……許される事でしょうか?」
王妃は扇子を仰ぎながら笑みを浮かべていたが、王妃をよく知るものがいれば目が笑ってない事に気づいただろうが、もちろん伯爵は気づいていなかった。
「わたくしも、結婚する前は候補として上がっておらず、陛下と出会い結ばれましたの、お忘れかしら? 」
微笑みながら話す王妃に伯爵は自分の失態に気づき、蒼白になりながらひたすら謝るしか出来なかった。
結局、あの後宰相の取り成しで、その場を収め王、王妃供に退室し、大臣たちも各々の仕事を行う為にその場を後にした。
「もう、貴方が何も言わないから私に矛先が来たのよ」
怒る王妃に王は何も言わずに抱きしめながら、頭をなで始めた。
子供扱いのように見えて二人にとっては仲直りの恒例行事の様なものだった。
「すまない、あの場で私が何かを言うのは最適ではないと思ってな……許してくれるか、レイナ」
「仕方がないですわね……もう」
未だに新婚夫婦の様な二人に、すっかり忘れられている宰相閣下のクルスは戻ることも出来ず泣きそうになっていた。
(お二人とも、私もいるのをわすれないでください~~~~~~~~~~~)
と声にならない悲鳴を上げたが、クルスの存在に気づくのはそれから20分後だった。