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正妃様代理の道六日目

執事長さんに図書室の場所を聞いて、さっそく行ってみたが色々な本が所せましと置いてあり、正直上の方は高すぎて文字が見えないくらいだった。

そこから必要な本を数冊借りる事にした、ちなみに文字はばっちり読めたので一安心だった。


部屋に備え付けてあるテーブルに本を置くと、まず貴族一覧の本を手にソファーの肘置きに背を預け足をソファーの上で伸ばし、そのまま本を読み始めた。


何人もいる貴族の名前や家族構成を覚えるのは容易ではない、写真じゃないけど小さい肖像画のようなものが描かれていたのは幸いだった。


ほうほう、これが例の肉食獣系令達か~ 美人で可愛いんだけどな……見た目はこれで内面肉食獣系、知らない人間だったら絶対騙されるね、これは……リーリオはよく逃げられたな~ ある意味凄い。

本人に会うのが今から楽しみだわ、絵だとまた違ってくるしね。


蛍が変な関心をしていると時、ドアをノックする音が聞こえた瞬間、凄い速さで足を延ばす体勢をやめ、普通に座りなおしてから声をかけた。


「失礼します、セレジェイラ様、被服室にてサイズをお測りしたいのですがよろしいでしょうか?」

「ええ、大丈夫よミリア」


ミリアの後ろにはこの館の侍女も居たので令嬢モード? に切り替えてゆっくりと立ち上り、案内された被服室でサイズを測ってもらった。次期正妃として、公爵令嬢として最低限必要な服の量も凄いらしく、楽しい反面少し疲れたのも事実だったりする。


それからまた部屋に戻りひたすら借りてきた本を読み、貴族の名前を覚えるべく何度も読み返していたが、その間にリーリオは説教を終えて帰って行ったようだった、私に挨拶をしたかったらしいが、時間がなく慌ただしくサフィロと一緒に帰って行った。


そのあと夕食も終え、部屋に戻ろうとした時、クルスさんに呼び止められ、そのまま書斎に案内された。

そこは本棚と机と必要最低限の物だけが置かれたシンプルな部屋だった、あとで聞いたら殆ど王宮で生活している為、書斎としても最低限しか使わない為らしい。

クルスさんは机の引き出しから一枚の書類を出してきた、それには細かい文章と一緒に紋章が刻まれていた。


「ホタル殿、いえセレジェイラ様には今日から一週間後にリーリオ殿下の次期正妃様として入城して頂くことが決定いたしました」


「はい? 一週間後って、たったそれだけで宮廷作法を覚えろっていうんですか、無理ですよ、どう考えても」


付け焼刃になるのが目に見えている状況に蛍は若干顔を青くさせながら首を横に振った……

たが、同じくらい青ざめているクルスは首を横にふり、ただ一言……


「諦めてください」


その一言を聞いた瞬間叫びそうになったのは言うまでもなく、蒼白の蛍にクルスはただ慰めるしかできなかった……

ようやく落ち着いた蛍にソファーに座るように促し、紅茶を用意しながら自分も向かいに腰かけた。


「何でまたそんな短期集中になったんですか、私は最低でも一か月後だと思ってましたが、まさか一週間なんて……拷問でしかないです、王宮で何かあったんですか? 」


その言葉にクルスはビックッととする姿に、蛍は心の中でため息をついた……さすがにわかります、何もなければこんなに早まらないって

きっと例のお嬢様方やその後ろにいる方々が喚いたんだろうな、お忍びで王子様も来てたし……

私、仕事運呪われてるのかな、帰ったらお祓いしてもらおうかな……


そんな風に蛍が自分の不運を嘆いている時、クルスもまた己の不運を思い出していた。



蛍を秘密裏に王宮から出すと、すぐにクルスは王陛下そして王妃様に報告を行い、すぐさま後宮に居残っている……もとい滞在している令嬢達を呼び集めた。

緊急の呼び出しに、令嬢達は自分達に都合のいい話と信じて疑っていない様子だった。


「緊急の呼び出しをして申し訳ない、この度……リーリオ殿下の次期正妃が決定した。 」


クルスの言葉に令嬢達は一斉に歓喜の声を上げた。 自分が選ばれたと疑うことなく。


「その令嬢の名は、セレジェイラ・アベリア 侯爵令嬢でひと月後に王宮に上がられる事なっている。 」


そう、言った瞬間……歓喜に沸いていた令嬢達の表情が一斉に消えたが、すぐさまにこやかな笑みを浮かべ、リーリオを祝福したが……その目は全く笑っていなかった。


(こ、こわい……目が全く笑って居ない……)


宰相として外交で他国の人間と渡り合う事もあるクルスですら、その令嬢達の視線に恐怖を覚えた。

結局、その場を後にした令嬢達はすぐさま家族に連絡を取り、蛍の後宮に上がる日を早めさせる結果となった。

その時の事を思い出して、また胃が痛む思いがした、結果、蛍が後宮にあがる日を遅らせることは出来なかった、ならば、出来る事をするのみ。


「……お察しの通り、後宮に上がっている令嬢達や親族からのお声がありまして、ぜひとも直ぐにでも後宮に上がり、披露を行ってほしいと、国も王族だけで成り立っているわけではないので全ての事柄を拒否する事もできません」


クルスの言葉に蛍は渋々頷いた、筋は通っている、もちろん本音は別としても、でも一週間で後宮に上がるまでに間に合うのかそれが一番心配だったが、クルスが最高の家庭教師をつけてくれるらしいが

、その分スパルタらしい……


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