パンダさん、だいちにたつ
絵本風に書いていますが、絵はありません。
すいません。
あるやまのふもとに、
パンダのおじょうさんがいっぴきですんでいました。
おおきくてまっしろなからだで、めのまわりはくろく、
まんまるなみみもまっくろでフサフサしていました。
このおじょうさんは、もうりっぱなおとなでした。
しかし、はたらきもせず、いえのまえのおにわで
まいにちまいにちゴロゴロしてばかりでした。
きょうも、おじょうさんのおにわに
にんげんのおんなのこたちがやってきました。
「かわいい!」
「かわいい!」
おんなのこたちはおじょうさんのおにわに
こうぶつのささをなげいれます。
おじょうさんは、ゴロゴロころがりながら
ささのところまでやってくると、
それをねっころがったまま、むしゃむしゃたべはじめました。
おじょうさんは、ゴロゴロしているだけで
たべものをもらえるので、
はたらくひつようがなかったのです!
おじょうさんのうちのとなりに
パンダのふうふがすんでいました。
このふうふは、とてもはたらきもので、
まいにちまいにちやまにでかけては、
こうぶつのささをとってきていました。
きょうもにひきでやまをかけまわり
ささをあつめて、ようやくうちにかえってきました。
つかれたにひきのパンダは、
とってきたささをおにわのささばこにいれると
そのままよこになってひとやすみしていました。
「かわいかったねー」
「かわいかったねー」
ゴロゴロしているふうふのまえを
にんげんのおんなのこたちがとおりすぎていきます。
ちいさくてちゃいろいからだで、めのまわりはしろく、
さんかくのみみもまっしろなこのパンダのふうふは
ゴロゴロしても、たべものをもらえないのです!
つぎのひも、パンダのふうふはやまにでかけます。
ささをたくさんあつめてうちにかえってくると、
ふたりのにんげんのおんなのこたちが、
ふうふのおにわにかってにはいっていました。
「はこのなかにささがたくさんはいってるよ!」
「となりのパンダさんにあげようか!」
たいへん!どろぼうです!
このままでは、ささをとられてしまいます!
おどろいておびえるおよめさんにかわって、
だんなさんは、おんなのこたちをとめにはいりました。
「がおー!(やめてー!)」
にほんのうしろあしでたちあがり、
まえあしをおおきくひらいてとおせんぼ!
ささばこのまえにたちふさがりました!
しかし、あいてはじぶんよりおおきなにんげんふたり。
だんなさんは、もうダメかな、となきたくなりました。
しかし、
「かわいい!」
「かわいい!」
おんなのこたちは、ささをもっていかずに、
ぎゃくに、もっていたささをパンダのだんなさんにくれたのでした。
このだいかつやくに、およめさんは、だんなさんにほれなおしました!
となりからみていたパンダのおじょうさんは、
とてもかんしんしました。
がんばると、たくさんささをもらえるようです!
それで、つぎのひ、おじょうさんのおにわにおんなのこたちがくると
おじょうさんは、とてもひさしぶりに、おもいこしをあげました。
「がおー」
「「熊だーーーーー!!!」」
おんなのたちは、にげだしました!
ささをもったまま、にげだしました!
おじょうさんは、とてもガッカリしました。
せっかくがんばってたちあがったのに
ささをもらえなかったのですから。
おじょうさんは、もうたちあがることはしませんでした。
にどとたつもんか、とつよくちかいました。
おにわでふてくされて、ゴロゴロしていました。
すると、
「かわいい!」
「かわいい!」
にげたおんなのことはべつのこたちからささをもらえました。
おじょうさんは、とてもしあわせなきもちになりました。
おなかいっぱいのささをたべられて、おじょうさんはまんぞくしていました。
でも、およめさんのためにたちあがったおとなりのだんなさんを
すこしカッコイイな、ともおもったのでした。
それで、つぎはたべものだけでなく、
おおきくて、つよくて、カッコよくて、たよりがいがあって、
そうじやかたづけもすべてやってくれて、こどものめんどうもよくみてくれて、
ささをたくさんもってきてくれて、なんでもいうことをきいてくれて
じぶんよりながいきしてくれるすてきなだんなさんもなげいれてほしいなー、
とおもいました!
パンダは「がおー」とは鳴きません。