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【番外編】3.勝利の後で side:リンネル


「ルキー、お風呂入りたくないー」


 ボクたちは雨と泥でドロドロだった。団服は戦わなかった団員が洗いたいというので任せた。

 もう眠たくて仕方がない。早くベッドになだれ込みたかった。


「ほらー、ベッドが汚れるからー行くぞー」


 ルキに腕を引かれて、服を脱がされ頭を洗われる。それだけで眠たくなりそうだった。

 ふと、獣鬼に向かって「父さん」と呟いたゼノを思い出す。帰りの宿までの道中、話をしてくれた。


「……ゼノは今、どう思ってるのかな。悲しんでるのかな」


 ルキがボクの頭を洗い流す。


「さあなー、でもまあ、今は楽になってんじゃねぇか?」


「そうなの?」


「そりゃそうだろ。もう一人で苦しまなくていいんだからよ」


 ナティスの顔が浮かび上がる。あの二人はどっちかが反対を見ていると必ず見ている。

 まるで両片思いしてます、って知らせてるようなものだった。それに匂いがすごい。まあ、ボク達も人のこと言えないけど。それにシドとセオドアもすごい匂いしている。


「ねえ、ルキ……大好き」


「なんだよ、急に」


 ルキがボクの背中を洗ってくれる。至れり尽くせりだ。

 ボクもルキの頭を洗ってあげて、体を洗い始める。

 過去にルキの肌に付けてしまった傷に触れる。


「生きててくれて良かった」


 今日の戦いも危ない場面がいくつもあった。またそういったことに出くわすだろう。

 この肌に傷を付けるのはボクだけで十分だ。ルキを閉じ込めてしまいたい。だって、そうしたら死なない。人間はすぐ壊れてしまいそうだから。大事に大事に守ってあげたくなる。

 特にルキはそうだ。罪悪感からじゃない。好きだからだ。


「当たり前だろ。俺様は強いからな」


 にかっと笑うルキの顔とその言葉。昔から変わらない。

 僕が怪我を負わせてしまい、目が覚めたルキも同じことを言っていた。

 手を離してしまうとどこかへ飛んで行ってしまいそうだと思った。


「ルキはやっぱ閉じ込めておきたいな。ボクの側にずっといて欲しいから」 


「おいおい、なんでそれで不安になる!」


「だって、ルキはボクより弱いでしょ」


 ルキに尻尾を引っ張られた。


「痛い!ひどい!」


「それはお前が側にいなかったらの話だ。リンネルがいれば俺は自由に戦える。だって、俺を守ってくれるだろ?」


 ボクはルキを抱きしめる。

 そうか、どこかへ行ってしまいそうに思えてしまうのは、ボクが彼の自由を守っているからなのか。


「いつもお前は俺を閉じ込めたくなるけど、それでも自由にさせてくれてるだろ?」


 ボクの頭をルキが撫でてくれる。


「お前はちゃんと分かってるんだよ。どんなに俺が自由にしててもお前のとこに帰って来るって」


「うん」


 ボクはルキの臀部に手を這わす。


「おい、なんでだよ」


「かっこいいルキがいけない」


 ボクはきっとこれからも閉じ込めたくなる。それでもきっとルキは変わらず同じことを言ってくれるんだろうな。


「眠気はどうなったんだよ」


「ボクのこれ見てそう言えるの?」


「……まじか」


 ルキは視線を下に下げて、苦笑する。ボクはルキの手を引き、口付けをする。


「ルキ、閉じ込めておきたいくらい大好き」


「はいはい、俺もだよ」


 そう言って、ルキは今日もボクの甘えを受け入れてくれる。

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