【番外編】1.ギフト練習のその裏で side:ルキ
「ぐるるるっ」
唸り声を上げるリンネルの瞳は初めて嫉妬で燃え上がっていた。普段は穏やかな奴なのに、他人のギフトが入るだけでこんなに性格が変わってしまうなんて知らなかった。
ベッドにうつ伏せにされ、後ろから覆いかぶされていた。はぐはぐ、と音を立て俺の首筋を甘噛みしている。
「リンネル、落ち着け、まじでちょっと怖いってぇ」
全然、聞く耳を持たない。というより聞く気がない。
これじゃあ、まるで初めて会った時のようだった。
あの日は、母親に頼まれて買い出しに街へ出ていた。
「獣鬼だーーー!!」
大人達の声に俺はすぐ近くの路地に入った。それが間違いだった。獣鬼になりかけた獣人が現れたと同時に1人の俺より小さいヤツにぶつかった。
俺は尻もちをついて、黒いもやに覆われた白い髪に大きな三角耳と長い毛で覆われた尻尾の獣人を見上げる。
俺は胸を切り裂かれた。そのチビが俺にぶつかってなければ死んでいた。
チビはわんわんと泣き、大人に助けられどこかへ消えていった。
「ぐるる、ルキっ」
はっ、とリンネルの唸り声で意識が戻る。あの獣鬼になりかけたリンネルで、正気に戻ったこいつは俺を一生大事にすると言った。そして最近知ったがチビはナティスだった。再会は最悪だったが、良い奴だ。
「ボクのことだけ、考えてよ」
「うるさい、考えてる」
騎士団の団服のボタンの金具を取られていく。雑に取っていくもんだから変な音がした。
「おい、ばか!やめろ!」
俺は自分でボタンを急いで外す。
「ルキ、やだ。この臭いやだ」
「わかったから、ほんと落ち着いてくれ」
徐々に元のリンネルの表情に戻っていく。
やだやだ、言って俺の首筋を舐め始める。ああ、このままだと抱き潰される。
俺はギフトを使って、リンネルをベッドに押し倒す。体に刻まれたリンネルの爪痕が光に晒される。
「ボクだけのルキなのに……そうだ。部屋に閉じ込めておけば…」
リンネルがおかしなことを言い始めた。これは前からあることだ。俺はリンネルの両頬を引っ張った。
「いふぁいよ、ふき」
「落ち着け、俺はお前のだよ」
目を合わせ、額にキスをする。
「へぇんと?」
図体はデカイのに可愛いく聞いてくる。そのギャップがたまらなく好きだ。
「ああ、この傷がその証拠だろ?」
俺は刻まれた傷を撫でる。リンネルは未だにこの傷を見ると悲しい顔をする。今も一瞬、そんな顔を見せた。
「うん、そうだった。ボクだけのルキだ」
リンネルがオレの傷を撫で、舌を這わす。キスを落とされればそこから、ギフトを流し込まれた。
激しくて落ち着きのないギフトが入ってくる。体の中を駆け回っているようだ。
「お前のギフトは相変わらず落ち着きがないな」
「ごめんね」
耳と尻尾がしゅん、と下に垂れる。
「いいけどな。嫌いじゃねーよ」
そう言えば、直ぐに立ち上がる耳と尻尾に笑いが込み上げてくる。ちょろい男だ。
「ルキ、大好き、もう部屋から出したくない」
またおかしなことを言い始めた。
リンネルは俺を外に出したくない、と落ち込むと言う時がある。そういう時は沢山肌を合わせると落ち着く。
「分かったから、早くギフトの上書き終わらせよーぜ。そうすればお前だって落ち着くだろ?」
俺はリンネルの服を脱がしていく。首に舌を這わせば小さな声が漏れて、肩を震わせていた。
大きな三角耳を甘噛みする。
「あっ……ルキっ、だめ」
「好きだろ、ここ」
甘噛みを繰り返すとリンネルの息が荒くなっていく。
「もうだめ、ルキ、なるべく優しくするから」
リンネルは顔を赤らめ、俺をベッドに寝かせる。優しくするから、という時は大体ねちっこく、1回じゃ絶対に終わらない。
今日は腹を括るしかないな。
「いいぜ、来いよ」
案の定、リンネルは俺を離さなかった。




