表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CHAOS.MERUHEN─カオス・メルヘン─  作者: しゅらく@メスガキ系VTuber
黒打撃シュラーク
3/3

黄昏のエゴイスト


episode3


人間を狩り 踏み潰し 蹂躙する


人間、なぜお前達は弱い?


人間、なぜお前達は声が鳴る?





乾いた荒野の大地。

この場所に存在するのは、悪魔と人間。

太陽がオレンジの色に変わりゆく時間、チェイサー・ジェネレイドは悪魔と遊んでいた。

『遊ぶ』というのはチェイサーの認識で、客観的に見るならば、それは一方的な悪魔退治だろう。


「ワカッタ──!ワカッタ!! 見逃シテクレ! モウ満足シタ!」

人間の3倍はあろうかという巨体が地面に跪く、

二本の角が生えた牛のような頭部を乾いた地面にめり込ませて。

悪魔の体は黒ずんだ硬い皮膚に覆われ、トゲのような突起物が生えている。

一見すると威圧的な見た目なのだが。

今はただ、無抵抗であることを精一杯に示している。

その姿は夕日に照らされ大きく不気味な影を写す。


「俺は満足してねえぞ」

冷たい声で悪魔を見下ろしながら、チェイサーは返す。

見た目だけは少し圧があったが、この程度ならば戦闘能力は下級の悪魔に等しい。

この程度の実力で楽しめるはずがない。


「頼ム! 頼ムヨ! モウ! 俺ハ何モシネェカラ!!」

地面に頭を擦り付けほざく悪魔。なんと滑稽こっけいだ。

あまりに情けない姿を見て、戦闘の意欲は削がれた。


「なら、失せろ」

背中に白銀の大剣 《aroma》を収め、背を向けてチェイサーは歩き出す。

この程度では遊び相手にもならない、なんの興味も無い

無価値だ──


「オマエガナ!!」


突如、悪魔は地面を蹴って上空に飛び上がり、巨体を震わせ咆哮する。

そして── いままでの恨みを晴らすかのように、口を広げ悪魔光デビルハザードを放出する。

紫の光は怒りのイメージで出力を上昇させ、高出力の

波動となり地面を抉る。

巨体の悪魔、バルザが見下ろす地上は、派手な爆風と魔光の爆発によって煙に包まれた。


「コノ鬼棍棒のバルザに勝てるト思ったカ!人間如キガ!」


勝ち誇り勝利を確信する。

が、空中で浮遊するバルザの後方、悪魔狩りのハンターは居た。

その動きは未来を予知していたかのようで、チェイサーには一切の驚きも、快感も無い。

(この程度か──)

ただ、退屈を自覚するだけだ。


「覚えておけ 俺が狩人ハンターだ」

空中から重量を伴って降下し、魔光を纏った白の刀身の

大剣で悪魔の首に一閃。

悪魔にチェイサーの声が届く事は無かった。

切られた悪魔は空中で、首と胴体が別れ地上に堕ちる。

ズドン── という音と共に牛のような悪魔の頭部が

地面に転がる。

首から上を失った体も同じく、自らの死を知ったかのように地上に墜落。

砂煙を巻き上げながら、僅かな時間の後に静寂を産む。

そして地面に落ちた胴体、頭部は黒い霧に変わって離散する。


「休んでくれaroma」

悪魔が霧に変わったのを確認して、チェイサーは言う。大剣の刀身から白く眩い光が消え、本来の色である、写るものを反射する白銀へと変わっていく。

軽く仕事終えたチェイサーは夕陽を眺めながら、コートのある内側のポケットからタバコを取り出して口に咥える。

銀色の銃 《ドロシー》のトリガーを引き、銃口から出る淡い炎で火をつける。

上品で程よい苦味と渋みの後に広がる深い旨み。

口内を楽しませた煙を吹き出すと、即座に空気に溶けてゆく。

静かに一服を楽しむそんなとき、次はコートのポケットから響く振動がそれを邪魔をする。

発信源はポケベルと呼ばれる電子機器で、厄介な振動はメッセージの受診を知らせるためのものだ。


タバコを吸いながら、片手でポケベルを取り出す。

手のひらサイズの電子機器にであるがゆえ、液晶画面も

見やすいものではない。

『アクマ シュツゲン オネガイシマス』

メッセージと共に座標が送られる。

相手は一人しかいない。マリブだ。

『リョウカイ』と定型文をボタン一つで送信してポケットにしまい込む。

日没が近づく頃合、タバコもちょうどフィルターに到達していた。


「ねぇチェイサー。また仕事なの?」

いつの間にそこにいたのか、なにかを察した様子で小さな少女が言う。

あらゆる光を反射する銀髪に 疑問を知らないような大きな瞳。

どこか物静かな印象を受けるが、その外見はこの世界ではなく創作物に登場するような格好だった。

フリルやリボンが目立つドレスにふんわりとしたスカート。頭には小さな魔女帽子──

本人が言うには魔法少女というイメージらしいが。

チェイサーには奇抜な仮装にしか認識されていない。

黒を基調とした格好に武器を持つ男、前衛的な奇抜なファッションの少女。

やはり、彼女の存在はチェイサーとの関連性に謎を深める。

「あぁ仕事だ、バイクを頼めるか」

吸い殻入れの箱に用済みのタバコを片付けながら言う。


「はーい」

その言葉と共に、少女の体は光となって消えた。

そして、チェイサーの手に白銀のピストルが具現する。

躊躇いも構えもなく、片手で地面に向かって銃弾を放つ。

着弾した場所から現れる魔法陣。

その中心から浮上するようにバイクが姿を見せる。

最高速度は200キロと標準だが、鋭い印象を与えるボディ。研ぎ澄まされた黒い装甲は適当な魔光は受け付けない。

これが愛用のバイク。名はKatana。


チェイサーは慣れた動作でシートに跨り、ハンドルに

力を込める。持ち主の生体を確認したバイクに魔光の

エネルギーが循環する、エンジンが熱を持ち、マフラーから煙を排出する。

全身に伝わる心地よい振動が心を楽しませる。

そして、エンジンが温まったKatanaは荒野を疾走する。

夕陽を追いかけるようにエンジン音を響かせ、未来に急ぐ。



目的地に到着した時、辺りは闇に包まれていた。

チェイサーはバイクから降りて、前方を見渡す。

それと同時にKatanaも光の粒子に変わって離散する──

視界に広がるのは無数の木だ、音も風もない森林の奥には夜と同化した闇が覗かせる。

星空は高くそびえ立つ木々に隠され、僅かな月の光だけが差し込む。

この森林を越えた先に悪魔が居るらしいが、この静けさ。

なにが起こるのか、起こらないのか、予想できない。

だが、その事実こそが、好奇心を楽しませる。

1歩、1歩と闇の中に踏み込む。

チェイサー・ジェネレイドは新たなる刺激と戦いを求めて──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ