3. たすかっちゃった
二度目です....
お詫びとして12時にもう1話投稿します。
目が覚めて、すぐに絶望した。
どうしておれは生きているの?
しにたい、しにたい。
喉だけでは致命傷にならなかった。血をたくさん出したらしねる?
綺麗に包帯が巻かれた喉を触りながら思う。
包帯に手をかけて、しゅると外す。見えないけれど、空気に触れて痛むから、きっと傷はまだ治っていない。
そんな傷に容赦なく爪を立てると、すぐに血が出始めた。
白い布団と、おれの服は汚れて、少し申し訳ないけれど、幸いにも、もともと血の量が少なかったのかおれの意識はだんだんぼんやりしてきた。
しねる?
手に力を入れて、より深くまで爪を立てる。
そこまでだった。
突然に病室の扉が開いて、男が入ってきた。
男はおれの方を見て目を見張るとすぐに走ってどこかに行った。
まずい、誰か呼ばれる。
早くしななきゃ、はやく、はやく。
意識が朦朧としているせいで、手に力が入らず、後ろへ倒れてしまった。
だめだ。これじゃあしねない。
まだ、あと一歩、もっと深く。手を喉元まで持って行こうとしたとき、手首を強く掴まれた。
その瞬間に身体中の傷が治っていく。
ああ、来ちゃったんだ。
おれは知っている、この不思議な力が何かを。
何よりも馴染み深くて、何よりも愛しくて、おれを何度も助けてくれた優しい力であり、人。
「ヴィル?」
あいつが立っていた。