第3話:白い男の正体
ぜんかいのあらすじ
ちこくしそうなのでがっこうまではしっていたらくるまにひかれました。
めがさめるとへんなせかいでへんなひとにあいました。
「なんだ?この小学生低学年の作文みたいな……つかなぜ平仮名?」
「僕は変な人なのか……こんな格好してればそう思われるのもしょうがない思うけど」
場所は変わらずあの白い世界
直耶と白いコートの男が仲良く地の分につっこんでいた
「そんなことよりも……あんた、一体誰なんだ?」
気を取り直して、直耶は白いコートの男に鋭い視線を向けた
この白い場所のことも気になるが、今気にすべきことはこの男だ
視線を向けられた男は何気なく振り向いた
「お前だお前ッ!そこの白いのッ!つかお前以外に誰もいねぇだろッ!」
「ただのアメリカンジョークだよ」
どのへんがアメリカンなのか小1時間ほど問い詰めたいところだが、
それでは話が進まないので直耶は我慢した
「そうだねぇ……僕が誰なのか、分かりやすく言うなら……」
白い男はどう言い表せば良いか考えているようだ
そして、適切な表現がすぐに思い浮かび、口にする
「神さまかな」
「よし、俺は今からお前を殴る。全力で殴る。そして殴り続ける」
直耶はすぐさまファイティングポーズをする
「ちょ、ちょっと待ってっ!よく考えて見てよ!たしかに君たちの常識からすれば僕が神さまと言っても信じられないと思うけど、でも君はもう君の常識が通用しない場所にいるんだよ?」
白い男の必死の弁明を聞いてふと考える
たしかに自分は今常識では考えられない場所にいる
轢かれた後、病院に搬送されて意識が戻ったら病室にいるはずだがここは病室じゃない
すべてが真っ白でそこにはなにもない……何一つ物がない
天国なのかと思ったが、それは目の前のあの男が否定した
怪しすぎるあの男の言葉を鵜呑みにするつもりはないが、嘘だと判断するにはこの場所はあまりにも非現実的すぎる
「仕方ない……なら証拠を見せてあげるよ」
「証拠?」
「そう、僕が神さまだという証拠を……」
そう言って、男は指をパチンッと鳴らす
次の瞬間、白い桜の花びらが飛び舞うかのように視界が遮られる
思わず腕で目を守った直耶
少し経って、ゆっくりと腕を下ろすと――
「―――――ッ」
直耶は絶句した
目の前には、さっきとは違う世界が広がっていた
地面には青々と草が茂っていて、それがどこまでも続いている
奥の方には雪化粧がきれいな山々が連なっている
見上げると、青い空と白い雲があり、ゆっくりと空模様が変わっていく
さっきまでは感じなかった穏やかな風が、心地よく肌を撫でる
さっきまでの真っ白で、どこか寂しさを感じさせる世界は、もうそこにはなかった
「どうです?これで信じていただけました?」
そんなどこか嬉しそうな声が耳に届いて我に返る
顔を向けるとあの男がよく見えないがにこやかな表情を浮かべているように思えた
さっきまでの世界では保護色になっていた白いコートが今では少し浮いて見える
「………ここまですごいのを見せ付けられたら、信じない訳にもいかねぇよ」
直耶は言葉にできないほどのことを目の前で起こされて、それでもあれこれ理由をつけて否定する人間ではない
壮大なマジックショーのような世界の移り変わりに感動し、直耶は信じることにした