第2話:いきなりバッドエンド?
朝、直耶は真新しい紺色のブレザーを着て家を出ると、
学校までの道のりを走り始める
なぜ走るのかというと理由は単純、遅刻しそうなのだ
「くそっ、あのくそ親父のせいで余計に時間食った」
遅刻しそうになった原因もこれまた単純、あの父親が行かせようとしなかったからだ
あの親バカにとって、息子が学校に行くことよりも息子と遊ぶことが大事であり優先すべきこと
今日は久しぶりに仕事が休みだったが息子は学校、それが面白くないようで玄関前で妨害行動をとっていたのだ
もっとも、最終的には直耶のボディブローを食らって床へと沈んだが
入学式がつい先日行われ、今日は初登校の日
初日から遅刻するわけにもいかず、ただいま全力疾走中
息を切らしつつ、家から学校までのちょうど中間にある十字路のところまで来ていた
「はぁ…はぁ…俺がアニメの主人公だったら…左から可愛い子が飛び出してくるんだろうけどなぁ…」
直耶のそれは漫画やアニメにおける出会い方の定番
“空から女の子が降ってくる”のと同じぐらいの定番である
その可愛い子が食パンを加えながら「ちこふちこふ~!」と言いつつ走ってたらもう完璧
だがしかし、そんな出会いが現実で起こる可能性は限りなく0に等しい
現実的に考えれば十字路やT字路で出会い頭に可愛い女の子にぶつかる可能性よりも―――
走ってる車とぶつかる可能性の方が圧倒的に高い
「えっ?」
十字路に差し掛かった瞬間、一帯に大きな音が鳴り響いた
音が聞こえた方向に顔を向けると、ワンボックスカーが向かっているのが見える
次の瞬間、直耶の体が……宙を舞った
BADEND
短い間ですがご愛読ありがとうございました
モグ三郎先生の次回作にご期待ください
「勝手に殺すなぁぁぁああああああっっ!!!!」
どこからか電波を受信したかのように直耶が叫び声をあげつつ起き上がった
「つか2話目で連載終了とか早すぎるだろッ!それじゃ長編じゃなくて短編だ短編ッ!漫画で言えば読みきりだぞッ!なのに連載物に設定してんじゃねぇよコラァッ!」
そして始まる怒涛のツッコミラッシュ
大声でつっこんだためか、ラッシュが過ぎると息苦しそなぐらい息切れしていた
「ぜぇ……ぜぇ……うん?ここ…どこだ?」
ちょっと冷静になったところで周囲を見渡して見る
今直耶のいるところは、見渡す限り真っ白な世界
空も地面も……何もかもが真っ白い
「もしかして……天国ってやつか?本当に死んだのか俺?」
記憶を掘り起こして見ると、鮮明にあの瞬間が思い出せる
十字路で車に轢かれたあの瞬間を
夢だと決め付けるにはあまりにも記憶が鮮明すぎる
轢かれる瞬間の光景はもちろん、轢かれた時の衝撃や痛みまで思い出せるほどだ
「違うよ、ここは天国じゃない」
ポツリとでたつぶやきに誰かが答えた
顔を向けると、そこには一人の人物がいた
この世界のように真っ白いフード付きのロングコートを着ている謎の人物
顔がよく見えないが声の感じから男だというのは分かる
突然の謎の男との出会い………
これが直耶にとってとても重要な意味を持つことを、直耶本人は知る由もなかった