第1話:侵入者、侵入
まだ日が昇り始めて間もない朝……
とある少年の部屋に侵入者が現れた
静かに扉を開けて、そぉ~っと足音を立てずに部屋の中へ
ゆっくりとベッドの方に近づいて行くと、部屋の主である少年が静かに寝ていた
そんな少年を見て、体は子供頭脳は大人な漫画に出てきそうなシルエットの侵入者はニヤリと笑う
そしてゆっくりゆっくりと布団をめくると、その中へと入――
「ぐぉふぉっ!」
――ろうとしたが、強烈な蹴りを食らってベッドから落ちた
さっきまで寝ていたはずの少年が起き上がると、
蹴られた部分を抑えて痛がっている侵入者を冷たい目で一瞥ながら冷たい声色で言った
「ったく、いい加減ベッドの中に忍び込むのはやめろよ」
はぁーっとため息を吐く少年
侵入されたのはこれが初めてではなさそうだ
「やぁ……寝覚めはどうかな?」
「ご覧の通り最悪だよ、どこぞのくそ親父のせいでな」
さっきよりも冷たさが増した感じで少年はいまだにうずくまっている侵入者である実の父親を睨みつけた
その父親はと言うと、蹴られた部分を手で押さえつつどうにか立ち上がった
「直耶……父さんは父さんをそんな風に呼ぶように……教えた覚えはないぞ……」
「そりゃそうだ、母さんから教わったことはあれどあんたから教わったことは何一つない」
「ぐはぁっ!!」
息子からの言葉の刃を食らって父親は倒れた
親バカにとって今のは物理的な攻撃よりもきつかったようだ
「さて、学校に行く準備でもしますか」
そう言うと少年はすぐ部屋を出て洗面所へと向かった
強烈なダメージを受けて動かない父親はそのままに
それから数分後、少年が歯を磨いていると――
「死ねっ!このエロ親父ぃぃぃいいいっ!!」
妹の怒声が聞こえたかと思うと、大きな物音が聞こえた
どうやらあの後再起動を果たし、今度は妹の部屋に忍び込んでベッドに入り込もうとしたらしい
こうして森塚直耶の高校生活最初の日が幕を開けた