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[元]面倒くさがりの異世界譚  作者: 空里
訓練と成長
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戦争前日

翌日。

今日はアゴットさんに呼ばれ本陣のテントに来ている。

同行者は自由とのことでマイと一緒に来た。

僕達のテントまで呼びに来て貰ったので他の人を連れて来るのは待たせてしまうため遠慮した。


「朝から呼び出してしまってすまないな。横にいるのは私の後任になる予定のアレスだ」

「アゴットさん、それはまだ決まってません!……………失礼しました。

お話しするのは2回目ですね。以前は失礼しました」

「いえ、あの状況でしたししょうがないですよ」

以前というのは最上級の群れの後の事情聴取の事だ。

あの時とは大分印象が違う。

以前はピリピリしていたが今は雰囲気が落ち着いている。


「さて、挨拶もすんだところで本題に入ろう。………………正直に答えてくれ。君は人を殺せるか?」

「え?」

「何を言ってるんですか!?」

困惑する僕と聞き返すマイ。

マイがこう言うのは死神の目の効果を知っているからだろう。

「まだ学生の君に来て貰ったのは最上級を討伐した経験があるからだ。しかし、今回はその近くに敵兵がいる可能性が高い。学生に人を殺せと指示は出さないが、魔法に巻き込まれる可能性はある。出来るか出来ないかでこちらの動きも変わってくる。だから正直に答えてくれ」

旅の時のアゴットさんの印象は優しいというのが強かったが今はとても威厳がある。

今のアゴットさんの威厳は初対面の時の国王を彷彿とさせる。

「僕は幼い頃戦争とは無縁、だけど人との関わりがないところで恩人であり師匠と言える人に育てられましたら。その人はこの世界の平和を望んでいました。この戦争、帝国側が勝てば間違いなく他国への侵略が始まり戦争が絶えなくなるでしょう。だからこそこちら側につきました」

ここで一旦区切り、続ける。

「未来の平和の為なら僕は………」

「その顔なら大丈夫そうだな。これで話は終わりだ。明日に備えてゆっくり休んでおくように」

「はい」

こうして僕達は退室した。


「あの子は凄いですね」

「そうだな。以前から思っていたが考え方が大人だ」

これはカイ達が立ち去った後の会話である。

「アゴットさんの威厳も凄かったですね。やっぱり後任は別の人に………」

「あんなのは年をとれば誰でも出来る。私はある人を真似しているのだがな」

「ある人とは、やっぱり……」

「ああ、あの方は私の憧れだ」


その頃、ウェンテライウ王国、王城の国王の自室からは盛大なくしゃみが聞こえていた。

そこに威厳というものはかけらも無かった。

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