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[元]面倒くさがりの異世界譚  作者: 空里
訓練と成長
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ソラの覚悟

『早速本題に入るよ。カイの目が変わることによって殺意がわくのはあってる。だけど、もう戦闘をしなければ良いという段階では無くなっているみたいなんだ』

皆の顔が少し暗くなる。

「どういうことですか?」

相手が小さき天使だからか敬語を使うレクス。

『カイのあの目は通称死神の目。死神が加護を与えた人の目なんだ。効果は人殺しへの躊躇の激減、殺意増長、対人戦での戦闘力向上。つまり、神によって人を殺すように仕向けられているんだ』

「そんな………」

マイの目からは今にも涙が溢れてきそうだ。

「やっぱりか……………」

『あれ?カイは驚かないの?』

「あれは人の手でどうにか出来るものではないと感じていたんだ。じゃないとここを去ろうなんて思わないし。……………ここを離れるしかないか」

『ちょっと待ってよ。僕はまだ諦めろとは言ってないよ』

「何かあるのですか?」

今まで状況を把握しきれてなかったのか発言していなかったローゼさんが質問する。

『僕の力を全て使えば殺意増長の効果はなくせると思う』

「それをしたらお前はどうなるんだ?」

『やったことないから分からないけどほぼ確実に消滅するだろうね』

「じゃあダメだ」

『やっぱりそう言うよね。幸いまだ時間があるみたいだからこのことを話そうか』

「何を言われても……………」

『まあ、聞いてって。僕の記憶が戻ったんだ』

「そうなのか?」

『うん。転生させることを依頼してきたのは死神なんだ。……………』

その後語られたのはその時の条件。

1.必ず地球人からの転生者を選ぶこと

2.この世界に適応出来る人間を選ぶこと

3.その者を強くすること

4.転生させたらこのことを忘れること

それ以外はどうでも良いという内容だったらしい

『そして地球人で適応出来るのはその時君しかいなかった。つまり、意図して死神にこの世界へ呼ばれた可能性が高い。そして、このことを思い出した僕はいつ消滅してもおかしくない存在なんだ』

「何か手はないのか?」

『今回ばかりはないね。だから……………』

「でも…………………」

『よし、分かった。じゃあ明日から地獄の訓練行っちゃう?』

冗談っぽく言うソラ。

「何でお前はそんな明るくいられるんだよ……………」

今にも流れ出そうな涙を必死に食い止めながら言う。

『僕は小さき天使だよ?君が見境なく人を襲うようになればこの世界の危機になる。それを未然に防ぐことは僕の仕事だよ。それを抜きにしても君を勝手に転生させたのは僕。せめてこの世界で幸せに過ごせるようにしないとね』

僕は目元に溜まっていた涙を手で取りその手を下ろし握りしめる。

ソラはとっくに覚悟を決めていた。

それなのに僕は……………

「よろしく、ソラ」

『もう、君は面倒くさがりなのに真面目で責任感あるよね。これからやるのは加護の書き換え。今の僕の力をほぼ全て使えば1つは書き換えられると思う。成功したかどうかはカイに伝えるよ』

「分かった」

『じゃあ手を離して』

(目を閉じて集中して)

言われたとおりにする。


少しして………

(成功……だよ。僕はもうここでお別れ。もう少しで創造神も目覚めるだろうから本当に困ったら教会で祈ってみて………………)

ありがとう。ソラ

(どういたしまして。じゃあね)


目を開けると皆から凝視されていた。

「どうだった?」

レクスが真っ先にきいてくる。

「成功したって」

「良かった」

そう言ってマイが駆け寄ってきて抱きつく。




少し経ち皆が落ち着いてきた頃。

「そういえば、魔獣の群れはどうなったの?」

「ああ、今日の早朝に全て倒せたという報告があった。それもよりも大丈夫なのか?」

「うん?何が」

「ソラはもういないのだろう?」

「ああ、そのことか。全然大丈夫だよ」

「本当か?」

「うん」

これで良いんだ。

ソラは覚悟を決めていたんだ。

それなのに僕が泣くのはダメな気がした。

「ごめん。今日はちょっと疲れたから帰るわ。マイ、帰ろう」

「う、うん」

「またな」



カイとマイが出ていった後。

「大丈夫かしら」

「スタールがいるから大丈夫だろう」

「確かにマイさんがいるなら私達の出番は無さそうね」




家に帰るとより疲れを感じた。

「ごめん。もう寝るわ」

まだ昼にもなってない時間だがそうは言ってられないほど疲れている気がする。

「もう」

そう言いながら抱きしめてくるマイ。

何でこうなった?

「泣いたって誰も怒りませんよ」

お見通しってことか。

その後ひとしきり泣いて少し気が楽になった。

マイはその間ずっと僕の側にいてくれた。

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