説教
ということで寝室へ強制帰還することになった。
ベッドに入るとマイがいつになく強い力で抱きついてきた。
「ち、ちょっとキツい」
「何処にもいかせません」
そんなことされたら本当に別れるの寂しくなるよ。
その後、ずっと気を張っていたためかすぐに寝付けた。
翌朝。
少し気まずかったが出来るだけ普段通りを心がけた。
朝食を食べるとすぐに王城に行くことになり、レクスの部屋へ。
「お、来たな。良し、目も戻っているな」
「え?何のこと?」
「いや、何でもない。スタール、いつ戻ったんだ?」
「えっと……あの、ビンタしたら戻りました」
何?壊れた物を叩いたら直る的なやつ?
聞いた瞬間にレクスは大爆笑。
その部屋にいたローゼさんもクスクス笑っている。
少しおさまった後にレクスが
「ビンタって……………お前何したんだ?」
と聞いてきた。
少し話しにくかったが昨日行おうとしたことと何故その行動をしようとしたのかを説明する。
話し終わったところで今まで話に口を出してこなかったローゼさんが立ち上がった。
「レクス、マイさん。カイさんをお借りしてもよろしいかしら?」
「あ、ああ。良いぞ」
「私も良いですよ」
「じゃあカイさん、行きますよ」
「え?ちょっ」
ローゼとカイが退出した部屋では……………
「あれは相当怒っていたな」
「ですね。……………カイ君大丈夫かな」
「反省する良い機会だ」
「……………カイ君はここに残ってくれますかね?」
「それは正直分からんが出来る限り説得はしてみる。もしダメだったらその時は……………」
「はい。もう引き止めません」
「良いのか?」
「私達のためというのは本心だと思うのでそうだとするとこれ以上引き止める事なんて出来ません」
カイは別室に連れ出された。
大声を出してもレクスの部屋まで届かない位は離れた部屋だ。
「率直に言います。あなたは残される人の気持ちを考えたのですか?レクスやマイさんに同じようなことをされてあなたはどんな気持ちになりますか?」
「それは……………」
考えはした。
しかし、わざと考えないようにしていた。
そうしないとこんな行動は起こせない。
そして、もちろんレクスやマイにされたら悲しいし寂しく思う。
「特にマイさんはあなたの為に魔法の練習に取り組むほどですよ?本人は冗談のように私の身に何かあったら国が滅びかねない、と言っていましたが。それよりもあなたの隣に相応しい人間になろうとしていたのではないですか?そこまでしてくれている人にこんな行動をとろうとしたことを今一度考えてください」
「……………」
「今回は2人を待たせているのでこれ位にしてあげます」
そう言ってスタスタとレクスの部屋に帰って行くローゼさん。
僕は今一度立ち止まって考える。
そして、今すぐにしなければならないことが思い浮かんだ。
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