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[元]面倒くさがりの異世界譚  作者: 空里
旧帝国領編
295/304

285話

死神とベリアルの攻防は瞬時に始まった。

それぞれが、この世界が耐えられるギリギリの力でぶつかっているため、力の差はなく技術での勝負となっている。



その片隅で一人顔を青ざめさせている人物がいた。

リーセスである。

寝転んだ状態でありながらも精霊王の話を聞いていた。

彼の最後の死神への一撃。

あれは、カイと約束したものであり、今のこの状況で邪魔になるもの。


実は、ここに来る少し前のこと、カイととある約束をしていたのだ。



突然カイに話があると言われて、他の誰もいない場所に連れてこられた。

「なんや?これが終わったら皆にサプライズでもするんか?」

二人で隠れて話すときはそういう話が多かったためそうでないかと思っていた。

「それもしても良いけど、今回話したいのはそうじゃなくて、」

カイからの話。

それは、小さき天使と戦うことになり、勝てそうにないときは幻惑魔法で突破口を見いだしたいというものだった。

「それはええけど、効くかわからんで」

「多分効くと思うよ。小さき天使も無敵じゃないからね」

その言葉からカイが寂しく思っていることが何となく理解出来た。

自分を育ててくれた人(小さき天使)が無敵だと思っていたのだろう。

それが、無敵ではなかったことを居なくなったことで身に染みて感じたのだろう。

「ほんなら、やってみるわ。本気でやるから後は動けんくなるけど、それは頼むわ」



そして、今に至る。

意識は保てているものの、体は動かせない。

声だけは出せるが、果たして自分がかけた幻惑魔法の事を皆に言うべきかどうか。

ただただ、不安をあおるだけになる可能性が高い。

伝えたところでどうにも出来ない。

視線を向けることは出来ないが、戦闘音を効く限りまだ幻惑魔法の効果は出ていないようだ。

それは、幻惑魔法の効果を高めるために遅効性のものを使ったからだ。

遅効性のものは速効性のものに比べて効き始めるのは遅いが、確実に全身に行き渡るため効果は出やすい。

そうしたからこそまだ安心出来ない。

「どうかしたの?」

「なんでもないで」

レイがいつの間にか顔を覗き込んでいた。

言ったところでどうにも出来ないのだ。

死神とカイを信じるしかなかった。

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